こんにちは、かめねこです! 7月16日に、「KubeConの感想を肴に語らう会」という名前で、KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 の振り返るイベントを開催しましたので、そのレポートとなります!
本イベントでは、KubeConに参加したfreeeのメンバーに加えて、外部の参加者もお呼びし、「KubeConの感想」をテーマに開催しました。 感想がテーマであるため、単なるセッションレポートに限定せず、さまざまな視点で学びが得られました。
登壇者には、freeeのメンバーに加え、他社のスピーカーの皆様にもご参加いただき、総勢8名の発表となりました。登壇者の皆さん、改めてご発表ありがとうございました。
本イベントの様子はYouTubeのfreee developersチャンネルにてアーカイブが公開されておりますので、ぜひご覧ください!
Maintainer Meetupで「生の声」を聞く 〜講演だけじゃないKubeCon / Takuto Nagami (千葉工業大学)
トップバッターは公募で応募していただきました、Takuto Nagamiさんです。

Nagamiさんからは、「Maintainer Meetupで『生の声』を聞く 〜講演だけじゃないKubeCon」と題し、KubeConにおける対面コミュニケーションの価値についてお話しいただきました。
セッションの聴講だけでなく、メンテナミートアップやピアグループメンタリングといった「現地でしか体験できないこと」を通じて、人脈の拡大や深い学びが得られる点が強調されました。
KubeConほどのイベントになると、多くのプロジェクトメンテナの方々が現地に来ており、そういった方に質問したり、彼ら同士がガチンコの議論をする姿を体験できるとのことです。
私も当日は参加していたのですが、セッションを聞くことに集中してしまい、他のサブイベントがあったことを全然知りませんでしたので驚きました。次回に活かしていきましょう。
KubeCon Japan Keynoteで登壇するまでの道のり ~ なぜ東京ガスが KubeCon に?~ / 杉山祐介 (東京ガス株式会社)

続いては、当日Keynoteでもご登壇されていました、東京ガスの杉山祐介さんより、「KubeCon Japan Keynoteで登壇するまでの道のり ~ なぜ東京ガスが KubeCon に?~」としてご登壇いただきました。
エンドユーザーコンテストでの優勝をきっかけに、KubeCon Japanのキーノートスピーカーを務めるまでの貴重な経験が語られました。また、企業におけるオープンソースを活用した事業推進の重要性、そしてコミュニティへの貢献が新たな循環を生むことへの熱い思いが共有されました。
最近では、いわゆるJTCと呼ばれる企業においても、Kubernetesなどのクラウドネイティブ技術が使われる機会は増えてきました。今回の東京ガスさんのように、今後そういった会社がKubeConなどのイベントで登壇される可能性が増えてくると考えるととてもワクワクしますね…!
Linkerd × Cluster API × Sveltos で実現するResilienceな基盤で、障害対応から自動回復するマルチクラスタの作り方 / kahirokunn (株式会社クラフトマンソフトウェア)

kahirokunnからは、「Linkerd × Cluster API × Sveltos で実現するResilienceな基盤で、障害対応から自動回復するマルチクラスタの作り方」をテーマにご発表されました。
本セッションでは、Linkerd、Cluster API、Sveltosの3つの要素を組み合わせることで、大規模なインフラ障害からも自動的に回復するレジリエンスなマルチクラスタ基盤を実現するアーキテクチャが解説されました。
システムにおける可用性というのは、高度化複雑化していくことに比例して、より難しくなってくる問題だと感じます。セッションの中でも語られていますが、100%問題が起きないことを実現するのは不可欠であり、壊れてもちゃんと回復することが大事な考え方ですね。
KubeCon + CloudNativeCon Japan を 120%楽しむ 〜現地での体験・初登壇・出会いのすべて〜 / Asami Okina (株式会社クラフトマンソフトウェア)

Asami Okinaさんからは、「KubeCon + CloudNativeCon Japan を 120%楽しむ 〜現地での体験・初登壇・出会いのすべて〜」というタイトルで、KubeConの参加を最大限に楽しむための実践的なヒントが共有されました。
初めてのライトニングトークご登壇の経験や、カンファレンスを通じた人との出会いの素晴らしさが語られ、来年以降の参加を検討している方々にとって非常に有益な情報となりました。
人生初のKubeCon登壇に加えて、さらに現地を全力で楽しむという姿勢に感動しました。特に現地でであった方と食事に行き、日本の食文化を伝えるお話は、そのバイタリティに驚きました。
英語が苦手なエンジニアがKubeConに参加するためにやったこと / Pon (フリー株式会社 SRE)

freee登壇1人目のPonさんは、「英語が苦手なエンジニアがKubeConに参加するためにやったこと」と題して、自身のKubeCon参加体験を共有いたしました。
英語に対する苦手意識を持ちながらも、セッションサマリーの読み込みや文字起こし・自動翻訳ツールの活用といった事前準備と工夫によって、イベントを十分に楽しむことができた具体的な方法が紹介されました。言語の壁を恐れずに一歩踏み出すことの重要性が伝えられました。
Ponさんは、実際にKubeCon参加のきっかけを作っていただいたり、事前準備が充実していたりと、全力でKubeConで学ぶ/楽しむ姿勢が見えて非常に驚きました。いかにセッション情報をリアルタイムでインプットしていくか、非常に参考になります。
Ponさんのレポート記事は以下にて投稿されてますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください!
Recap for "From ECS To Kubernetes (and Sometimes Back Again): A Pragmatist's Guide To Migration" / nkgw (フリー株式会社 SRE)

続いて、nkgwさんは、「From ECS To Kubernetes (and Sometimes Back Again): A Pragmatist's Guide To Migration」について、Canva社のECSからEKSへの移行戦略を詳細に分析し、freeeの移行戦略との比較を行いました。
スケーリングやPodの強制退去といった課題への対処法(KEDA、PDB、Topology Spread Constraintsなど)が解説され、大規模サービスにおける実践的な移行アプローチの重要性が強調されました。また、トラフィック移行戦略やヘルスチェックの標準化における両社の技術的アプローチの違いについても触れました。
freeeでも、サービス移行はガンガン行われており、単にRecapだけでなく、そういった自社の事情と比較して話がされたのは面白かったですし、見てくれた多くの会社さんにとっても参考になったのではないでしょうか!
個人的には、「戻る道を適切に用意する」という戦略がまさに重要だと感じました。こういった大規模な作業だからこそ、安心して作業するために必要な考えですね。
nkgwさんのレポート記事は以下にて投稿されてますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください!
Recap for "What's New in Open Source Kubernetes?/Access AI Models Anywhere: Scaling AI Traffic With Envoy AI Gateway" / しょー (フリー株式会社 Platform Orchestration)

freee枠最後ののしょーさんは、「What's New in Open Source Kubernetes?/Access AI Models Anywhere: Scaling AI Traffic With Envoy AI Gateway」のセッション紹介と、KubeConで注目された「Crossplane」の魅力について語りました。
Kubernetesの主要なアップデートや、生成AIトラフィックのスケーリングを目的としたEnvoy AI Gatewayが紹介されました。また、インフラをKubernetesのように管理する「Crossplane」について、Terraformのステート管理やCI/CDにおける課題と比較しながら、その利点が分かりやすく解説されました。
TerraformにおけるState管理は多くの企業が抱えてる課題であり、Crossplaneは新しい視点で面白かったです。Stateの概念がないことで生まれるメリットとデメリットがあり、簡単に比較できるものではないですが、こういったものがあるのだと驚きました。
しょーさんのレポート記事は以下にて投稿されてますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください!
KubeCon + CloudNativeCon 2025 Recap / donko (ウォンテッドリー株式会社)

公募枠にて発表いただいたdonkoさんからは、「KubeCon + CloudNativeCon 2025 Recap」として、注目された技術セッションのリキャップが行われました。
コンテナイメージのプル時間短縮技術「CIRC」や、ローカルストレージの効率化をKubernetesコアに取り込む「Topo LVM」などの話題が取り上げられ、会場の圧倒的な熱量と日本企業の存在感を肌で感じられたという感想が共有されました。
会場の雰囲気については、キーノートに日本に特化したセッションが多く、日本企業の事例紹介が中心であった点が印象的でした。企業ブースとコーヒーブレイクは常に賑わっており、セッションの合間に気軽に交流し活発な議論ができたと述べられました。
PFN(Preferred Networks)によるコンテナイメージのプル時間短縮のための「Sark」というキャッシュシステムが紹介され、Pod起動時間の20%削減というインパクトが共有されました。これはAI/ML系の巨大なイメージ利用において現実的なアプローチだと評価されました。
また、Topo LVMに関するセッションが印象的で、日本人がKubernetesのコア機能(スケジューラー)に貢献し、KubeConで発表していたことに感銘を受けたと述べられました。Topo LVMはノードローカルストレージを効率的に扱い、ノードボリュームの空き容量を考慮したPodスケジューリングを可能にする仕組みです。開発はサイボウズ社が行っています。
いずれも日本企業による開発であり、まさに日本企業の存在感を感じられる良い発表でした。
おわりに

本イベントを通して、KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025という大規模なカンファレンスをいかに楽しみ、いかに多くの学びと繋がりを持ち帰るかについて、多様な視点からの新しい選択肢が提示されたことと存じます。 また、2026年も日本で開催されることが決まっており、ぜひ今回の振り返りイベントでの学びを活かして、2026年のKubeConも楽しみたいですね。
KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026
— Linux Foundation JP (@Linux_Fdtn_JP) 2025年7月3日
🗓️ 2026年7月29日・30日
📍 横浜
イベントサイト : https://t.co/AVMRj7jMEV#KubeCon #CloudNativeCon #CloudNative #Kubernetes
今回、私はKubeConにはボランティアという形で参加させていただいたのですが、特にコミュニケーションの面で英語ができないため悲しい思いをしました。 ぜひ来年は多くの方とコミュニケーションを取れるように、英語を頑張ろうと思います…!
