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AI開発マニア

こんにちは。この記事は freee Developers Advent Calendar 2025 12/05(5日目) の記事です。

Claude Codeを始めとするコーディングエージェントツールはとても便利なツールで、使いこなせば開発効率を飛躍的に向上させるポテンシャルを秘めています。 しかし、これらのツールを最大限に活用するためには、適切な設定やコツなどを理解しておく必要があります。

コーディングエージェントが生まれたのは最近で、まだまだ発展途上のツールですから、体系だった情報が少なく、使いこなし方が分からないという方も多いでしょう。 例えば「Next.jsの使い方」などであれば、ドキュメントや解説記事が豊富にありますし、社内外に詳しい人もたくさんいるでしょう。しかし、コーディングエージェントはそうもいきません。freeeの開発組織ではそういった課題に対処するために、ノウハウを共有するためのSlackチャンネルを設けたり、AI合宿を開催したりといくつかの取り組みを行ってきました。

一方で、そういった領域ではノウハウ共有も大事ですが、まずはとにかく使う量を増やすことも重要です。さもなければ、使いこなし方が分からないから使わない、使わないから使いこなせない、という負のスパイラルに陥ってしまうからです。

AI開発マニア制度の誕生

そこで、freeeではAIを活用した開発を積極的に推進するために、「AI開発マニア」*1という制度を設けることにしました。

AI開発マニアは、AIツールを積極的に活用しながら開発生産性を高いレベルで維持しているエンジニアを、できる限り定量的な指標にもとづいて認定する制度です。認定はマージされたPR数やLLM利用量、およびそのバランスに関する基準を満たしているかどうかで行われます。例えば下記のような基準を参照します。

  • マージされたPR数が一定以上
  • LLMの利用トークン量が一定以上
  • トークン量÷PR が極端に高すぎない(=「AIを使っているがアウトプットは出ていない」状態を避ける)

これにより、単にAIを使うだけではなく、AIを活用した開発アウトプットがしっかりと伴っているかどうかを判断する仕組みになっています。

Yuhei NakayamaがSlackでAI開発マニア認定を告知し、今週15名追加と祝うメッセージ

このAI開発マニア制度は、メンバーに強制的にAIツールを使わせるのではなく、あくまで自主的にAIツールを活用する文化を醸成することを目指しています。メンバーが目指せる/目指したい!と思えるようなホワイトボックスの基準とSlackのコミュニケーションを通じた奨励を組み合わせることで、メンバーが自発的にAI活用に取り組んでもらうことを狙いました。

反響

XXXX YYYY が『xxxxx さんマニアになってる!』と投稿したSlackメッセージ

7月から始めた施策ですが、最初は一握りのメンバーだったマニア数は順調に増加し、12月時点では半数以上のメンバーがAI開発マニアに認定されることとなりました。

AI開発マニア数の推移を示す折れ線グラフ。2025年7月から11月にかけて継続的に増加している様子を示す

また、社内での認知も拡大し、例えばチームによっては、チーム全員がマニアになることを目標にするなど、AIを使いこなすエンジニアの理想として共通認識を持ってもらうことができました。

XXXX YYYY がAIマニア認定され、チームのOKR達成を報告するSlackメッセージ

また、AI開発マニアとそれ以外のメンバーでのPR数の増加率を比較すると、AI開発マニアの方が有意に高いことも分かりました*2。これは、AIツールを積極的に活用することで、開発生産性が向上する可能性を示唆しています。

2024年7月〜2025年9月のAIマニアと非AIマニアの数を比較した折れ線グラフ。AIマニアは全期間で高く増加傾向で推移し、非AIマニアは低水準で変動

一方で、PR数やトークン数はその気になれば操作できるのでよくない*3、コーディング以外でのAI活用が評価されない、などの声もあり、今後の改善点も見えてきました。

次のステップ

AI開発マニア制度は、freeeのエンジニア組織のAI活用文化を醸成する上で大きな役割を果たしました。しかし、PR数以上の生産性やAI活用の評価、また個人ではなくチーム全体でのAI活用にはまだまだ伸びしろがあります。

そのため、今後はチームでのプラクティス展開に注力し、チーム全体でAIツールを効果的に活用するためのガイドラインやベストプラクティスの策定していく予定です。

*1:『マニア』はfreee内のジャーゴンです。

*2:AI開発マニアの条件にPR数が含まれるんだから、マニアのほうがPR数多くなるに決まってるじゃん、というツッコミがあるかもしれないのですが、もろもろ差し引いての傾向です。

*3:実際にそういうひとはいなかった、たぶん