メリークリスマス!今日まで毎日QAメンバーによるfreee QA Advent Calendar 2025が続いてますが、最終日の25日目は、フリーの横断 QA 部長、ymty(ゆもつよ)が担当します。
今回は、先日行われたfreee技術の日2025で登壇した「freeeのQA組織の現在地とこれから」の内容をベースに、フリーのQA組織が現在どこにいて、どこへ向かおうとしているのかをご紹介します。
当日の登壇で使用したスライドは以下になります。
freeeのQA組織の現在地とこれから-freee技術の日2025 - Speaker Deck
当日の動画も公開されています。
freee QAのミッションとビジョン
まず、私たちが組織として何を目指しているのかを再確認します。
freee QAのミッション
起こしちゃいけないハッピー*1が起きにくい体質にすることでマジ価値*2を継続的に届け続ける
このミッションには、品質という言葉の定義が広いためにQAがやることが中途半端になることを避け、当たり前品質にフォーカスする意志が込められています。また、品質をプロセスやマインドに組み込むことで、「起こしちゃいけない不具合」が発生しにくい体質を作ること、そしてリリーススピードにこだわり、マジ価値を継続的に届けることが重要だと考えています。
freee QAのビジョン
当たり前品質の高速フィードバックの実現
どの開発フェーズにおいても、目指すべき品質とのギャップを高速にフィードバックすることで、手戻りをなくし、高頻度にユーザーに価値を届けられるようにしていくことを目指しています。
私たちの行動指針は「もっと速く、もっと手前で!」です。いつでもどこでもフィードバックするのが大事としました。QAによるテストもフィードバックの一つとして位置づけています。これは英語で Act faster, Align earlierとしました。Tシャツを今年の夏にyamaeriさんに作ってもらったので、登壇でも着てます(笑)。

なぜ組織の「現在地」を変えていく必要があるのか
freeeはここ数年で急激な成長を遂げています。現在、freeeを使ってくださっている事業所の数は60万を超えています。プロダクトの数も、freee会計だけでなく、freee人事労務、freee販売、freeeカードなど、どんどん増え続けており、プロダクト間の連携機能が多い「統合型」プラットフォームであるため、内部の連携まで確認が必要でテストが複雑になりがちです。
さらに、freee会計のように10年以上の歴史を持つ大規模なプロダクトもあれば、去年リリースされたばかりでこれから成長していくプロダクトもあり、ステージの異なるさまざまなプロダクトが混在しています。
私たちが直面した大きな問いは、組織が急拡大し、プロダクトが複雑化していき、QAの難易度も変わり続ける中で、「このミッションとビジョンをどうやって実現し続けていくか?」ということでした。
過去の組織と活動の軌跡
フリーのQA組織は、2019年頃、私が入社したときは、案件ごとに人がアサインされる派遣型組織でした。この体制には、QA担当者の自分ごと感が足りず、開発スピードが遅れるという課題がありました。
そこから脱却するため、各開発チームにQAエンジニアを専任配置する一体型の組織へと変更しました。

この結果、2019年から2025年までの比較で、以下の実績が出ています。

PR数の増加は3.3倍になり、QAエンジニア数が2.2倍になるが、参画する案件数は3.6倍に増加している(より効率的に多くの案件に参画できるようになった)。
無闇な網羅的テストを排除し(目的ベースでテストするテストチャーターの考え方を導入)、実行したテストケースの数は80%削減したが、QAで見つけるハッピーの数は2.9倍に増加している。
QAで見つけるハッピーの数は2.9倍に増加しているが、障害(リリース後に起きる重篤な不具合)は1.3倍となっている。
自動テストは安定して短時間でたくさん実行できるようになり、2019年は実行回数が年間で10万回だったのが、2025年は、11月時点で実行回数は年間60万回となっている。

これらの実績を出すために、2022年-2024年の3年間のロードマップを作り、実行しました。その中で取り組んだことは、QAのテストプロセス標準化とQAの人材育成、重篤度の定着や品質目標KPIの設定、リグレッションテストの自動テストカバー率の向上など多岐に渡ります。
今年行ったこととしては、人材育成のひとつとして、ソフトウェアエンジニアリングについて理解するワークショップの実施があります。また、品質目標KPI達成のための施策として障害DeepDiveをトライアルしてる最中ですが、品質企画のkuritaroさんがこの取り組みの考え方に関してアドベントカレンダーを書いてくれました。 developers.freee.co.jp
しかし、組織の人数が増えて、プロダクト数も増えていく中で、組織全体の品質/生産性を向上させるには、次のステップが必要となりました。

Whole QAの概念と組織再編
組織の急拡大と複雑化に対応し、freeeのミッションを最速で実現できるチームを目指すために、私たちは「Whole QA」という考え方を提唱し、何をしていくかを決め、組織全体でできるように努力しています。 Whole QAとは、QAチームだけでなく、開発に関わる人全員(各工程)で品質を良くするぞ!という考え方です。WholeQAの取り組みは、kenseiさんが昨年のアドベントカレンダーで書いてくれています。 developers.freee.co.jp
このWhole QAを全体的にできるようにし、進化していくために、2025年7月から組織体制を再編しました。
組織再編の狙い:分離と横断
QA組織は、大きく「各開発組織に所属するプロダクトQA」と「横断QA」の二つに分けました。
1.プロダクトQA (分離:各プロダクト配属)
- 狙い:プロダクトへのコミットメント強化と迅速な意思決定。
QAがプロダクト組織の一員となり、プロダクトのOKRとQA活動を直結させることで、「もっと速く、もっと手前で!」のフィードバックループをプロダクト内で完結させやすくなります。ドメイン知識の深化も目指します。
2.横断QA (これまでと同じ独立した部署)
- 狙い:サイロ化の防止と技術の標準化・横展開。
各プロダクトにQAを配属すると、プロダクトごとにやり方がバラバラになってしまう(サイロ化)リスクがあります。横断QAは、この新しい課題を解決することをミッションにしています。
具体的には、開発全体で取り組むべきテーマ(例:組織的な障害削減施策、AI活用 による生産性向上)から方針や具体的な施策を決めて、各プロダクトへ展開する役割を担います。そのため、品質企画やSEQは横断QAにいます。QAエンジニアの採用、育成、評価といった、freee のQAが同じカルチャーで取り組めるための土台も横断QAがリードしてQA全員で取り組むことが出来るようにしていきます。

これからのフリーQAの取り組み
この新しい組織体制のもと、私たちはさらなる高みを目指します。現在のフリーのQA組織全体の重点領域には、以下のようなものがあります。
リソースの選択と集中: QAの関与にメリハリをつけるため、重篤度が高いハッピーが出るリスクを開発の最初に判断できるようにして、より集中が必要なプロダクトにQAエンジニアが確実に入れるようにします。この判断にはAIを活用していきます。
開発生産性にマッチしたQA: Whole QA(前述) 、テストレシピやテストアーキテクチャーを活用し、提供したい機能をより早くリリースできる体制を作ります。ここでもAI活用を施策のために進めます。テストレシピやテストアーキテクチャーは昨年のアドベントカレンダーを参照してもらえればと思います。
- AI駆動QAの推進: 新しい技術力を上げるため、AI駆動QAチームを新設しました。ここで得られた成果を全QAに浸透させ、全方位的に人の力からAIへのシフトを目指しています。以下にrenさんが技術の日で発表してくれた、AI駆動QAチームの活動についてのスライドのリンクとアドベントカレンダーの記事を貼るので参照してもらえればと思います。
誰も置いて行かない、freee QAのAI活用戦略 / Inclusive freee QA's AI Strategy - Speaker Deck
おわりに
横断QAとプロダクトQAが協力し、同じ目標(OKR)を追い、理解し合った上で最適なアプローチを考えていく組織体制によって、プロダクトのスピードと品質を両立させていきます。 この組織再編とWhole QAの推進を通じて、私たちは、予測不能な成長と複雑化するプロダクトに耐えうる、一貫して高い品質を予測可能な形で生み出し続けられる組織であり続けたいと考えています。
freee QA Advent Calendar2025は本日で最後になります。最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。 それでは、よい品質を〜
