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AI Agentに関する試行錯誤を共有する社内LTイベントを開催しました!

こんにちは!freee請求書の開発エンジニアをしているkochanです。

近年、AI Agentの進歩が目覚ましく、AI Agentを使って開発生産性を向上させた事例や、AI Agentを組み込んだ機能提供の事例が続々と登場しています。 しかし、いざ実務に投入しようとすると、プロンプトの微調整に追われたり、期待通りの挙動にならず頭を抱えたりと、理想と現実のギャップにぶつかることも少なくありません。

今回は、そんな現場の泥臭い試行錯誤を組織で共有するために開催した、社内LTイベントの様子を紹介します。

スライドを投影し、壇上で発表を行なっている様子。オンライン、オフラインともに多くの視聴者がいる。
LT会の様子

開催の背景

組織全体でClaude Codeを利用した開発が推進されていたり、AI Agentを利用した機能提供が進んでいます。その中で、Claude Codeによる生産性向上やAI Agent機能開発の知見が、各チームや個人に閉じてしまっているという課題が出てきました。

AI Agentを業務に適用するにはまだまだ試行錯誤が必要です。特定のタスクに適用するために格闘したプロセスをオープンに共有し、「不確実性を楽しみながら乗りこなせるエンジニア」を増やしたいと思い、今回のイベントを企画しました。

社内でAI Agentを用いた機能開発をしている方やClaude Codeを使った開発生産性向上のための仕組み作りに取り組んでいる方々にお声がけし、9人の方に発表してもらいました。

セッション紹介

全9セッションの中から、特に印象的だった2つの発表をピックアップして紹介します。

Rails UpgradeをAI Skillで仕組み化した話

登壇者:nuresen

内容の要約

nuresenさんは、Rails 7系から8.1への一気通貫したアップデートを、Claude CodeのSkillsを活用して仕組み化した事例を共有してくれました。

初めは1つのセッションでUpgrade作業を実施しようとしましたが、コンテキストの肥大化による精度低下の問題があることや、途中で人間による細かい介入がしづらいといった課題が見つかりました。

そこでUpgrade作業を、調査、依存関係解決、失敗の分析、修正、設定更新の5つのステップに分割し、それぞれに対応したSkillを定義。各ステップの成果物をMarkdownとして出力し、それを次のステップの入力にする設計にすることで、コンテキストの肥大化による精度低下を回避。人間が各チェックポイントで意思決定できる仕組みを構築しました。

詳細はfreee Developers Hubにも投稿されているので、気になる方はぜひこちらの記事も見てください!

developers.freee.co.jp

スクリーンにスライドを投影し、nuresenさんがマイクを持って発表している
nuresenさんの発表の様子

現場の反応

「ベテランの暗黙知がSkill化されて、誰でも簡単にRails Upgradeできる状態になったのすごい」「巨大なタスクをステップごとに分割するアプローチは、他の業務自動化にも展開したい」と、実用性の高さを評価する声が多かったです。

まほう経費精算プロジェクト

登壇者:momoji

内容の要約

まほう経費精算の開発に関わったエンジニアのmomojiさんからは、サービス提供に至るまでの、泥臭い試行錯誤の記録が共有されました。

まほう経費精算とはAIエージェントが過去の傾向から申請内容を推測することで、誰でも迷わず正確な申請ができる機能です。

corp.freee.co.jp

開発当初はのチャットUIで何でも解決できるという構想でしたが、ユーザーの入力負担が多く、利用してもらえないという失敗談からスタート。そこからターゲットを大量の領収書が発生する訪問ワーカーに絞り込み、まずは利用してもらってフィードバックを得ることを目指しました。フィードバックと改善を回す中でAIの推測が正しいか確認することに特化した専用UIへと方向転換した経緯が語られました。

まほう経費精算のUIが3種類紹介されている。チャットベースのUIから始まり、モバイルの申請承認画面をベースとしてチェックに特化したUIへと変化していった。
まほう経費精算のUIの試行錯誤

現場の反応

「まずはN=1でもいいから使い倒してもらい、フィードバックを回す姿勢を見習いたい。」「AI Agentという不確実な対象だからこそ、これまで以上にアジャイル開発の重要性が上がっている。」といった、反応がありました。

振り返りと今後

AI Agentの進化スピードは凄まじく、今日得た正解が明日には古くなっているかもしれません。だからこそ、組織全体で知見をオープンにし、互いの失敗と成功を共有して資産にしていく文化が重要だと思います。

これからも定期的にこうした知見共有の場を設け、freee全体でAI Agentという荒波を楽しみながら、開発生産性とプロダクト価値の向上に挑み続けていこうと思います!