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隣の会社のEMも、同じことで悩んでいた─EMConf 2026 freeeスポンサーレポート

正解がない。相談できる人も少ない。それでも意思決定を続けなければならない。 Engineering Manager(EM)という役割を担っていると、そんな場面に何度も直面します。freeeのEMたちも例外ではありません。「任せると丸投げの境界線がわからない」「デリバリーに集中するあまり、気づけば視野が狭まっていた」日々そんな悩みを抱えながら、それでも考え抜くことをやめない人たちが、freeeには集まっています。でも、その悩みはfreeeだけのものではありませんでした。

freee は2026年 EMConf(Engineering Management Conference Japan)にプラチナスポンサーとして参加しました。EMConf は、日本のエンジニアリングマネージャー(EM)たちが実践知を持ち寄り、共有するカンファレンスです。2026年のテーマは「増幅」と「触媒」。EMが組織や個人の能力を引き出し、変化を加速させる存在であることを象徴しています。 freeeがスポンサーになったのは、ブランディングや採用のためだけではありません。正解のない課題に向き合う EM たちが、会社の枠を超えて集まり、泥臭い悩みも成功体験も「あえて共有する」その場を一緒に作りたかったからです。 この記事では、当日の様子とともに、freee の EM たちが EMConf で何を感じ、何を持ち帰ったかをお伝えします。

EMConf 2026 当日の様子

メンバーに任せているのに、なぜかうまく回らない。その原因は、信頼の問題ではなく意思決定の設計の問題かもしれません。ある登壇者は「"信じて任せた"は失敗する」という言葉からはじまり、意思決定を「必ず止まれ/確認して進め/止まらず走れ」の3色に色分けして移譲する、という具体的なアプローチを紹介しました。 デリバリーを回すことに集中していたら、いつの間にか視野が狭まっていた。これはfreeeのEMが自分自身について語った言葉です。数字は「何が起きたか」を教えてくれるが、「なぜそうなったか」は顧客の声と隣接組織への理解からしか得られない。頭ではわかっていても、できていない。そのギャップをこのカンファレンスで突きつけられた、という話です。 AI時代に開発スピードが上がるほど、マネージャーとして考えることが増えている気がする。その感覚は正しくて、アウトプットが爆発的に増える今だからこそ、考えるための時間を「たまたま空いた余白」ではなく「戦略的に確保するもの」として設計し直す必要がある、という話も出てきます。

悩みの種類は違っても、どこかひとつは刺さるはずです。以下、EMConf 2026当日の熱を「増幅」させるべく、参加者の感想を載せていきます。

「増幅」参加者の感想

mattsun

支出管理開発本部で、部長をしている mattsun です。フリーには入社して4年弱になるところで、プレイングマネージャーを経て去年から部長という役割となり日々挑戦中です。

冒険する組織のつくりかた

著書を事前に読んだうえでセッションに臨みましたが、読了済みにもかかわらず新しい気づきが次々と出てきました。本来はマネージャー専用の書籍ではありませんが、このカンファレンス向けのセッションとして「目標」「興味」「会議」「文化」という4つのマネジメント観点に再構成され語られており、自分の日常業務と照らし合わせながら聞くことができました。 「会議」のマネジメントでは、「メンバーから意見が上がらない」というどの組織でも起きがちな課題が取り上げられました。そこで強調されていたのは、オープンクエスチョンではなく「答えやすい問いかけ」の重要性です。

問いかけの例:

  • 点数でいうと?
  • どれが一番おもしろかった?
  • どちらがよい?

心理的安全性の話は昨今あちこちで語られますが、「場のデザイン」という具体的な行動レベルに落とし込まれているのが印象的でした。「意見が出ない」のは、メンバーの問題ではなく問いかける側の設計の問題—そう捉え直すことで、自分自身のファシリテーションを見直すきっかけになりました。

「文化」のマネジメントでは、文化とは風土とは異なり「他にはない独自の価値基準」であるという定義が示されました。価値基準の集合が文化であるため、以下のような実践が必要だという話がとても刺さりました。

  • AよりもBを大事にする
  • 繰り返し伝える
  • 体現しているメンバーを称賛する

「文化づくり」と聞くとつかみどころのないものと捉えていましたが、こういった価値基準を言語化し、伝えていくことが部長の役割だと捉えると自分も実践できることが多いと理解できました。

「事業目線」の正体〜EMがもつべき視点〜 資料

3つのレベルで「事業目線」の正体を解説するセッションでしたが、特に「Lv2 お客さまと隣接組織を知る」に大きな発見がありました。 数字は「何が起きたか」を教えてくれますが、「なぜそうなったか」はお客様の声からしか得られない—という指摘は、シンプルながら改めて刺さりました。データドリブンが強調されるほど、定性的な顧客理解が相対的に軽視されがちだという構造的な問題を改めて意識しました。 隣接組織を知ることの意味として挙げられていたのは以下の2点です。

  • 組織ごとに業務フローや力学が異なるため
  • 自組織のアウトプットに関わる組織を理解することで、成果を出しやすくなるため

「言われてみれば当たり前」と感じた瞬間に、むしろ警戒が必要だと思っています。「当たり前」と感じる事柄こそ、できていないまま放置されやすいからです。部長という役割になり、関連セクションからの期待をより深く理解すべき立場になった今、正直に言えば「全然できていない」と気づきました。知っていることとやっていることの間にある溝を、このセッションで突きつけられた感覚です。

感じたこと・今後

新規プロダクト立ち上げに関わる自分の立ち位置を、改めて厳しく見直す機会になりました。EMとしてデリバリー領域にフォーカスしてきた一方で、プロダクトの中期的な方向性や周辺組織への理解が不足していることは否定できません。「デリバリーを回す」ことに集中するあまり、組織の外側に対する視野が狭まっていたと感じています。 EMお悩み相談室でsotarokさんと話すなかで、異なる組織間の連携における視座の違いをリアルに感じることができました。自分の「当たり前」が、他の文脈では通用しないことがある。そのことを体感できたのは、カンファレンスならではの収穫でした。

今後、隣接組織との連携を深めるうえで、以下のようなフォーマットで対話を積み重ねていくつもりです。

  • ミッション・役割の理解:その組織が何を目指し、どのような価値を生み出しているかを聴く
  • 現在の課題や優先事項:今抱えている問題や注力していることを整理してもらう
  • 自組織への期待・連携ニーズ:自分たちのチームにどう関わってほしいか、どんな貢献が期待されているかを具体的に聴く

そして、この先1年間の目標をひとつ宣言します。来年のEMConfに、自組織のマネージャーの参加者を増やすこと。 スポンサーとして「増幅」と「触媒」に貢献すると書きましたが、まず自分の足元から始めます。

micci

冒険する組織のつくりかた

安齋さんのルーツが研究者ということで、お話の中でも頻繁に歴史的に重要なポイントになった書籍や、初めて経営の文脈で軍事用語が使われるようになったタイミングなど、事実や先行研究をベースにした内容はとても高い納得感とウンチクを知る時のような楽しさを持って聞くことができました。特に印象に残っていたのは、人の興味のパターンを2つの軸の掛け合わせて分類できる、という話でした。具体的には、対象を「ヒト」「コト」どちらかの2つと、対象へのアプローチの「創造」「解明」「介入」「運用」の4つを掛けた8パターンに分類できる、というものです。十人十色あって捉えづらいものを少ないパターンに分け、それにあったアサインを考えやすくなるものとしてとても使いやすそうで、早速自分のチームでもそれぞれ興味はどこに向いてそうか聞いてみたいなと思いました。

エンジニア組織全体で取り組むDX改善:現場とマネジメントが連携した生産性向上への挑戦 資料

私は主務でネクスト開発グループのPMOをしており開発生産性の計測や向上のための企画をしているので、他の現場でどういったアプローチが取り組まれているのかとても興味がありました。3ヶ月に一度のアンケートでの定点観測、グッドハードの法則を意識して数値上で見える改善にこだわりすぎないこと、上がってきたフィードバックに素早く返すこと、取り組まれていたことの1つ1つは珍しいことではないように見えます。しかし、様々なプレッシャーがある中で真摯に取り組んで着実に進ませることの難しさを私も日々感じてるので、実践者の方には頭が上がらないなぁと感じました。

マネージャー版 "提案のレベル" を上げる 資料

以前こにふぁーさんが話されていた内容のマネージャー版でした。以前の内容に大きく感銘を受け周りのメンバーにもよくオススメしていたので、マネージャー版を聞けるのをとても楽しみにしていました。マネージャーが提案のレベルを上げることの難しさと、こにふぁーさん自身の経験からきた乗り越え方のお話がありとても参考になりました。特にマネージャーがまず「組織図」「目標」「会議体」「予算」を抑えると理解しやすい、というお話は、普段PMOとしてEMがもっと活躍しやすくする環境づくりをする上でのヒントとなりました。ask the speakerでもこにふぁーさんの経験からPMO的な立場の人にやってもらうと嬉しいことなどを会話させていただいて、より理解を深めていくことができました。

感じたこと・今後

今回初めてEMConfにスポンサーとして参加して振り返ってみると、EMConfの場自体が安齋さんのお話の中にあったALIVEの法則を体現しているなと深く感じました。ALIVEとは、組織の目標設定において「変化に適応できる」「学びの機会になる」「好奇心をそそる」「未来を見据える」「実験的である」の5要素を重要視する考え方でSMARTとの対比で語られていました。EMConfは、今後の社会の変化にも適応できるような学びを得ることができ、それぞれが好奇心をそそるような内容で、組織を超えて未来を良くしていく人たちの交流ができ、アンカンファレンスのような当日まで何が起こるかわからない要素もありました。だからこそ、EMConfの場にいる全員が前向きに参加しているように感じられたのかなと改めて思いました。私もPMOとして現場でキックオフや交流の場作りをすることが多いので、全員にとってALIVEな場になっているかを常に考えて設計していきたいです。

sentokun

統合flow基盤本部 IAM部で、権限管理基盤チームのEM 兼 PdM を務めている sentokun です。フリーには入社して3年半ほどになります。現在は権限管理基盤のEMとして主軸を置きつつ、Product、Project、People Managementといった多岐にわたる領域でオーナーシップを持って活動しています。

自律型組織の真実:『甘い自走』を捨てて導いた、EMによる戦略的組織変革 資料

どのように自律型組織が活躍できる状態を設計するか?というセッション

チームに対してずっと持っている課題として、自律型のチームに対する「任せるところは任せる・締めるところは締める」の塩梅があると思っています。このあたりのテーマについては、理想論としてのあるべきは色々たまっているのですが、じゃあどうするかは個人的にずっと抱えている課題です。 なので同じ悩みを抱えてる方の生の事例だと思い、セッションを聞きました。

スライド頭、「メンバーを信じて、現場を任せる」だからあなたは失敗する。いやほんとそうなのよ。悪く言えば丸投げ、無計画を隠した「信じてる、任せた!」は失敗する。そして、これは組織の設計上の課題である。 ここがコアなメッセージだと思います。おっしゃる通り、耳が痛い。

内容の要点は以下だと思います

ちゃんと期待値とその責任、そして自由に振る舞う境界(ガードレール) を設計し、チームやリーダーに持ってもらうことが大事だよ そのために必要なことは色々あるが、全部は無理。レバレッジが効くセンターピンは「意思決定の移譲」で、ここからはじめるとチームは自律に向かう EM が意思決定を移譲するには、業務判断を3つに色分けすること。「RED:承認 必ずとまれ」「YELLOW:相談 確認して進め」「GREEN:報告 止まらずに走れ」。

要は、意思決定をするための判断基準(意思決定に対する判断)を構造化して、その構造に従い行動するというアプローチ。わかりやすいし理にかなっているなと感じました。

私自身の経験として、このあたりは例えばティーチング・コーチング・メンタリングの使い分けだったり、介入ポイントを意識して任せるといった手段で会話しているのが主でしたが、濃淡もあり都度の判断も難しかった印象でした。 その意思決定に対する判断を設計してしまうアプローチはなかったので学びになりました。

特定領域から複数領域へ、そのとき何を求められるのか?縦と横、2つの影響力:統合型を目指す大規模な開発組織での実践 資料

freee 社内で統合の EM といえば名前が必ず上がる tomoz さんのセッション。

「仕事は待ってくれないので、意思決定を続けないといけない」というのは、tomoz さんの基本姿勢としても日々感じられます。リーダーとして純度が上がるほどこの強度が高まる、重要な変数だなと思った。 また、組織の内側だけ見ていては、適切な判断は下せないので、ちょっと外から広げていくことの重要性も感じます。

縦の影響について、領域を深く全部は見きれないことを認めて任せる。そのためにどこまでの意思決定を移譲するのかの期待値設定をして、ガードレールを引くのが重要なんだろうなということを感じました。

横の影響について、組織全体へ波及させていくことの難しさは実感しています。うまい人と自分の違いはメッセージングだなと常々感じている。焦点と胆力というポイントはほんとそうだなと思う。幅広く課題を捉え特定していくのも大事だが、最後に広めるぞ!のフェーズでは腹を決めて焦点を当てる・後はとにかく何度も伝える!実行する!とできる環境を整えていくことが重要だなと改めて感じました。

組織・文化・技術の壁に挫折したEMが、アーキテクトとして「構造化思考」を手に、再び保守開発組織の変革に取り組む 資料

個人的一押し学びセッション。モデリング・構造化思考を活かして組織に立ち向かうという話で、共感と学びの両面が深く、めちゃくちゃよかった。 元々 EM -> 挫折してアーキテクト -> EM と転籍し、アーキテクトとして培われた構造化思考を EM に転用しましたという話。 freee VPoE のyoshi さんが語られていた話 (https://ttj.paiza.jp/archives/2024/08/06/14953/) ともリンクして興味が沸いたのと、私自身 PdM と EM の兼務になって視点が変わったなと感じる体験が面白かったので、期待を胸に発表を聞きました。

レガシーの本質は「モデルのずれ」により発生し、そのずれから技術的負債や組織的負債が発生する。そのため、あらゆるものをモデルにし、概念を構造化していくことで全ての課題がとける!という立ち向かい方をされていました。私にとっては、とても説得力のある話だった 過去この方も EM=仕事しやすい環境づくりと捉えており、その環境が作れないならうまくいかないよねと考えていた。 そこから組織の課題を「モデルのずれ」として思考し、なぜずれるのか?どうすればずれをなくせるのか?の構造を捉え改善するアプローチに変えた。構造化思考により EM としてやれることが生まれたという話をしていました。

とにかくソフトウェアの原理原則から組織を捉え、紐解いていく話をしており、AI時代でもその構造化思考によりプロセスや組織を整理することが、成果につながると語られていました。かみごたえのある資料なので、ぜひ見てみてください。 私も友人から「 AI 時代のマネジメントってどう変わるの?」と聞かれ、「ソフトウェア開発の原理原則は変わらず、それを実現する手段が劇的に変わるって感じなんじゃないかな」と話していたことがあったのですが、綺麗に言語化されて感動した。

組織崩壊と向き合う技術〜2度の崩壊から得た再生の実践知〜 資料

個人的一押しエモセッション。失敗談は栄養価が高くて大好きなのですが、自身の組織崩壊というどでかいテーマに対して身を切るようなお話を聞かせていただき、感謝しかないです。 登壇内容の要約については、伝聞により意味合いが変わることを避けたいので NG とのことでした。なので公開記事の内容 + 感想に留めます。

個人的に一番共感したポイントは、頭と心を整理するという話。自身・チームが変化により混乱している状態では、頭と心の整理がめちゃくちゃ大事だととても共感します(私の経験とは規模がまるで違うけど)。頭の中で事実関係を冷静に整理すること、そしてなにより心の状態に向き合い、本音で話すこと。チームを作る上では両面が大事だと痛感しています。特にうまく行っていない時は後者が足りない印象があります。腹を割るって、大事ですよね。 そしてそういった向き合ってくれる人に気付いて、大事にしていきたいものです。人生の教訓です。

感じたこと・今後

懇親会でも濃い話ができ、周りとの会話も楽しかったですね。例えばタイミーさんも様々な業種のドメインをバイトで繋げるため統合体験が大事だし難しさがあるという話をしてて共感高かったです。 セッションでは、共通して、期待値やメッセージングでガードレールを引き、その範囲内で任せることの重要性を感じました。ここはよく言われたことですし、AI 時代だからこそ色濃く成果に現れそうだなと感じています。

共感できる話は勇気につながるし、自身の解像度もそれによって変わる。そしてそれが自身の思考につながり新たな視座にもつながる。いい循環ですね。 EM Conf 2026 のテーマ、増幅と触媒でした。この内容を触媒に、チームの観点やアイディアを増幅させる機会になったらいいな

sayoshi

AI時代、mentoが考えるマネジメントのサクセスとその実践 資料

最近、AIエージェントの活用で「1週間に1,000件以上のプルリクをマージした」なんていう驚くようなニュースをよく耳にしますよね。開発スピードが劇的に上がるのはワクワクしますし、技術の進化にはもちろん期待しているんですが、一方でどこか「それって数字遊びになってないかな?」という疑問を抱いている自分もいます。生産性を上げた先に、僕たちは一体何を求めているのか。そこが曖昧なまま、数字上の効率だけを追い求めてしまうのは、ちょっと危ういなと思っています。 実際、現場の生産性が上がったからといって、マネージャーの仕事が楽になるわけじゃないんですよね。むしろ、AIがどんどん出してきたアウトプットを適切に評価したり、組織の方向性とズレていないか確認したりするための「思考のコスト」は、以前より増えている気がします。僕自身、専任マネージャーになってから、「考える」という行為には想像以上に体力と時間が必要なんだな、ということを身に染みて感じています。 そこで大切になるのが、今回のセッションでも中心的に語られていた、マネージャー自身の「戦略的な余白」を作ること。これは、効率化して「たまたま空いた時間」のことではありません。そうではなくて、「成し遂げたい目的があるからこそ、そのための考える時間をあらかじめ戦略的に確保しておく」という、攻めのリソース配分のことです。 こういう「余白」の大事さって、実はAI時代になる前からマネジメントの本質だったはずです。でも、アウトプットが爆発的に増える今だからこそ、その価値が改めて見直されるべきなんじゃないでしょうか。むしろAIという強力な相棒ができたことで、これまでオペレーションに追われて後回しにしてきた「本来やるべきクリエイティブな仕事」や「中長期の組織設計」に、ようやく本気で向き合えるチャンスが来た、とも言えるのかもしれません。

マネージャーってどうしても「偉い役割」に見られがちなので、「自分の余白が欲しい」なんて、なかなか言い出しづらい雰囲気もありますよね。でも、組織を長く続けていくためにも、次世代のマネージャー不足を解決するためにも、この「戦略的余白」は欠かせないものです。それが巡り巡って、組織の成長や、お客様にとっての本当の価値を追求するための、一番のエンジンになるんじゃないかと思っています。

技術的負債の泥沼から組織を救う3つの転換点 資料

今回の発表は、負債をどう解消し、どうロードマップに組み込み、ビジネス要件とどう優先順位を折り合わせていくのかという問題や解決策について一つの道筋を提供してくれるものでした。プロダクトの規模が大きくなるほど、これらの意思決定は難しくなります。10年以上稼働していて、かつ各ユーザーの社内基幹システムとなっているfreee人事労務の開発を続けているとこういった課題は常に避けて通ることのできない大きな問題ですし、それは結局、組織の規模が大きくなっていき複雑性が増していってる中で自然と解消されるものでもありません。そんな中で、この発表は「問題の捉え方」を非常にクリアに整理してくれたなと感じています。

特に納得感があったのは「玉ねぎモデル」の考え方です。技術的な問題はあくまで表面的なもので、核心に近づくほど難易度が上がり、最終的にはステークホルダーの価値観や意思決定の問題に行き着く。これはマネジメントの現場にいると本当に痛感することばかりです。利害関係が絡むダイナミクスの中で意思決定をする難しさは、どれほど素晴らしい本を読んでも、やはり「百聞は一見にしかず」で経験に勝るものはありません。だからこそ、ピープルマネジメントに限らず、プロジェクトやプロダクトのマネジメントも含め、エンジニアも一度はマネジメントを経験してみると、ものの見え方が変わるんじゃないかなと最近は強く思います。

解決策の方向性としては、『要件最適アーキテクチャ戦略』や『実践ドメイン駆動設計』に加えて、組織力学も利用するという内容だなという印象も受けましたが、難しいのはそれをどう「組織の動き」として落とし込んでいくかだなと改めて感じました。「How」と「What」の両方の視点を持ちながら、「コト」と「モノ」、そして「具体」と「抽象」を常に行き来し続ける。改めて、これは特定の問題解決というより、極めて高度な総合力が問われる仕事だなと感じました。 だからこそ、これを高い再現性で実行できる人はものすごく重宝されるはずですし、さらにそういった人材を育てられるようになれば、社会にとっても欠かせない存在になれるのではないか。そんな希望も感じる内容でした。

感じたこと・今後

僕は今回始めてオンサイトのカンファレンスに参加したのですが、やはりオンラインでは感じられない熱量であったり、参加者の方との交流がありました。特に僕はfreeeに新卒で入社したというのもあり他の環境におけるEMの役割や悩み、やりがいというものを聞く機会がなかったのでブースを訪れてくれた方や懇親会でたまたま会った方との話の中で一口にEMと言っても様々な規模や、事業における様々な役割があるんだなというのを肌で感じる事ができました。 なんとなくマネージャーって大変そうだから避けてるけど、嫌ってわけでもないというぐらいのエンジニアの方はそれなりにいるのではないかと思っています。僕はEMになってからの参加となった今回ですが、そういう方にこそ参加してもらって難しさと面白さを感じてもらえると良いのかなと思いました。

hiwa

EMからICへ、二周目人材としてAI全振りのプロダクト開発で見つけた武器 資料

取り扱うテーマ:EMからメンバーロールへの転職の実体験、現場に戻ってできたこととできなかったこと

自分もEMからメンバーでの転職を経験したので、共感できるポイントが多くありました。EM経験を持ったメンバーの転職は、客観的な視点やコート上の監督のような振る舞いなど、ポジティブな側面に言及するテックブログを目にするが、実際には手を動かすメンバーとのスキルギャップを感じる人も多いのではないかと思います。AIにより、リスキリングの一歩目を踏み出しやすくなったからこそ、アクティブラーニングの機会創出にこだわることが大事だと改めて感じました。

経営と会計とエンジニアリング 資料

取り扱うテーマ:技術戦略を立てる・技術的な提案(インフラの最適化・技術負債の解消・新しい技術スタックの取り込み..etc)を会社経営の視点でどのようにとらえ、何を根拠に提案すべきか

前田さんがVPoEとして経営会議に参加しながら、どのように技術戦略を提案したかという切り口で発表されていました。提案の規模を変えると「EMが上長にどのように提案すべきか」「エンジニアがどのようにPdM・セールスに提案すべきか」「エンジニアはどのように考えることで事業貢献できるか」という観点でも有効な、広く応用できる内容でした。

事業への貢献性が高い提案には、キャッシュフロー(C/F)観点での合理性を伴わなければならない。何を決定するにも、まず「現在のC/Fに照らして、そのリソースを投資することが適切か」の評価がスタート C/Fの状態により、「技術投資を積極的にするべきなのか」「一刻も早くPMFを目指すべきなのか」「生存することを最優先として、コスト最適化に努めるべきなのか」を判断できる。この延長線上に置かれた技術戦略は、事業の健康状態と一致して取り組むことができる ただし、どんな時でも探索を0にすることは回復手段を失うことである。C/Fが厳しい時でも探索を辞めるのではなく探索の規模や投入リソース、検証サイクルを縮小し、小さく継続しよう 経営の言葉で技術戦略を提案することは、単に経営陣との合意形成をやりやすくするだけではなく、事業のフェーズと一致した「正論であり、的確」な戦略をエンジニアが考えることにもつながる。AIにより一層エンジニアリングにおいてもアウトカム思考へのシフトが進む中で、アウトカムへの足掛かりとなるセッションでした。

感じたこと・今後

EMは組織の規模や人員構成によって業務内容が多様化しやすいからこそ、色々な分野・角度からの登壇が多く、登壇者・参加者との交流によって学ぶことが多いと感じました。EM向けの発表は多いものの、メンバーロールの方にとっても考え方の幅を広げたり、自分の上司やマネージメント層がどのような意図を持っているか理解することにも役立つ内容が多いと思います。あらたまいくおの公開収録でも言及がありましたが、参加したことが後から自分を助けてくれるかもしれない、くらいの気軽なモチベーションで参加するのも良さそうです。

まずは、学んだことを持ち帰って自分の行動を内省していきたいです。

「触媒」スポンサーブースの様子

当日のスポンサーブースの様子です。EMと1on1できる他、 sweeeちゃんのノベルティグッズがもらえました。ブースに遊びにきてくれた皆様ありがとうございました。

イベント慣れしているメンバーには友達が集まっていたり、みなさん温かい雰囲気でホーム感あって楽しかったです。後は freee-mcp の話をよく聞かれましたね。流石は大 AI 時代と感じました。

とてもかわいい sweee ちゃんのノベルティグッズ

ブース設置時の様子

ブース設営おわったよ

また、当日はフリーの EMs による 1 on 1 だけでなく、フリーが出版した書籍の展示もしていました。

freeeのEMが1on1をしている様子

もっとブースを活かすような展示を色々できればよかったなーという思いもありますが、それは次に生かしたいと思います。

また、展示していた freee 技術の本について「欲しい!」と言っていただける方が多くいたのですが、技術書店での出版であり今は販売していないので申し訳なかったです。再販や公開できないかは社内で話したいです。

他ブースの感想も載せておきます

  • mentoさんのマネジメントスタイル診断面白かった!
  • kickflow さんのAI効きクイズも面白かったです!
  • bitkeyさんでノベルティをいただく際に金庫の鍵を開けさせていただいたのですがサービスの体験ができたのが楽しかったです!
  • 他のブースでお話を聞くのが楽しかった!業種違うかな?と思ったのに、フリーと似たような悩みを抱えていたりと発見がありました。

「触媒」スポンサーセッションの様子

スポンサーセッションでは、弊社統合flow開発基盤本部 事業部長の友澤(https://x.com/tomozkit)が登壇しました。 資料:特定領域から複数領域へ、そのとき何を求められるのか?縦と横、2つの影響力:統合型を目指す大規模な開発組織での実践

登壇の様子

X でも登壇の反応いただいていました。感謝です。

ask-the-speaker の様子

ちなみに、セッション枠はブースにいるメンバーも応援しにいきました。

「増幅」と「触媒」EMConf 2026後のフリー内の活動 フリー内でも、参加者を「触媒」に今回の学びを「増幅」させるため、社内でのセッション再演をしました。登壇者の tomoz さんは資料そのままではなく、当日は語れなかった踏み込んだ内容にも触れてくれ、フリー全体での深い学びに繋げてくれました。

slack のわいわいスレの様子。

社内でスポンサーセッションの再演しているときの様子

スレの中にとても含蓄のある話も出てきたので、合わせて貼っておきます。 「自分の担当している範囲の一つ外に対して意見を言えるようにする」 このメッセージが更なる増幅につながれば幸いです。

スポンサーセッション再演後のメッセージ

あえて共有:スポンサーに込めた思い

発案者 mattsun (X:mtskhs )としての思い

私自身が freee に入社したきっかけのひとつは、freee がとあるカンファレンスにスポンサーしていたことでした。「この会社は自分と同じテーマに本気で向き合っているんだ」という共感が、応募への第一歩になりました。 今、 EM として freee で働く中で、組織文化の豊かさや、隣のEMたちから日々受け取る刺激の大きさを実感しています。だからこそ、今度はスポンサーという立場で、コミュニティの「増幅」と「触媒」に貢献したいと考えました。

会社としての思い

freee の技術広報チームは、freee の開発組織のことを社外の皆さんにも知っていただきたいのはもちろんですが、freee の開発者が社外の方と交流し、セッションを聞くことで、仕事を楽しみ成長の糧にしてもらうことを大事にしています。EMConf の「触媒」「増幅」というコンセプトは、まさに私たちの考え方と近しいと思っています。 また、EM という役割は、正解がない課題に向き合い、時に孤独を感じながら手探りで進むことも多いポジションだと思っています。freee の社内でも、EM 同士が「あえて、共有する」ことで悩みを相談し合い、試行錯誤しながら知見をアップデートしてきました。 だからこそ、会社の枠を超えて EM たちが一同に会し、泥臭い悩みも成功体験も「あえ共」できる、EMConf という場を一緒に盛り上げたいという思いで、スポンサーとしてご協力させていただきました。

さいごに: フリーなりの「増幅」と「触媒」

「業種が違うのに、同じような悩みを抱えていた」「他社のEMと話したら、自分の当たり前が当たり前じゃなかった」参加した freee の EM たちの言葉に、共通してそんな驚きがありました。 EMという仕事は孤独になりやすい。でも、同じように悩み、同じように考え抜いている人たちが、会社の壁を越えてこれだけいる。その事実を肌で感じられたことが、今回最大の収穫だったかもしれません。そしてその学びを社内に持ち帰り、さらに増幅させていく。これがfreeeなりの「増幅」と「触媒」の体現でした。

EM という仕事の孤独を、ひとりで抱えていませんか。来年の EMConf で、ぜひ一緒に悩みましょう。 最後に、この機会をくださった EMConf 運営の皆様、そしてスポンサー参加を支えてくれた社内関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

freeeのEMメンバーが集合している様子