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タイムラインを使って、振り返りの材料をうまく集めよう

こんにちは、moaiです。 この記事はfreee Developers Advent Calendar 2018 12/18の記事になります。

今日はタイムラインという振り返りの材料をうまく集める方法を紹介したいと思います。

振り返りするときにこんな悩みはありませんか?

振り返りというのは古今東西どのような組織でも行われていると思います。 そのため、振り返りをやっているうちに、 自分たちの振り返りは本当に振り返りはうまくいっているのだろうかと思うこともあると思います。

例えば、振り返り自体の悩みとしてはこんなものがあるかなと思います。

  • 話題がいつも発散してしまう。
  • うまくメンバーから意見が出てこない。
  • 何か問題がありそうな気もするが対策が良く分からない。
  • 問題は分かるが対策が出てこない。
  • 次にやることがなかなか決まらない。

今回は、『うまくメンバーから意見が出てこない。』、 『何か問題がありそうな気もするが対策が良く分からない。』という悩みに効くタイムラインの紹介です。

そもそもタイムラインって?

ざっくり

タイムラインは振り返りの手法です。 具体的にはホワイトボードに振り返りたいテーマに対して、 あったことや感情を付箋で時系列に沿って貼りだすことを行います。

こんな感じで話し合いを行います。

ホワイトボードに時系列で起こったことを付箋で張り付けながら、それについて話し合う人たちの図
ホワイトボードを使って話し合う人たちの図

大事なポイントはホワイトボードを使うことと、付箋を使うことです。

この手法を用いた振り返りの結果として、こんな成果物が出来上がります。

時系列で起こったことを付箋で張り付けて、ホワイトボード上でGood, Badで分類している様子を図示しているものと、ホワイトボード上で全体的にGood、Badなことを付箋で貼り付け、分類している様子を図示したもの。
タイムラインの成果物

詳しく

事前準備として、付箋を貼れる壁と付箋、付箋に文字を書くためのペンを人数分用意しておきます。

手順は以下のように行われ、特に太字にしたところがタイムラインの特徴的なところです。

  • ファシリテーターが振り返りたいテーマを決めます。
  • 時系列を表す線と、Good、Badの区分けをしておきます。
  • 最初に時系列でもマイルストーンとなるような出来事をいくつかピックアップして書き出しておきます。
  • 参加者にテーマに沿った出来事と思ったことを各自書いてもらい、時系列に沿って貼ってもらいます。
  • 壁に貼りだしたものを使って、良かったこと、悪かったことを分析します。
  • 次にやることを決めます。

この手順にかかる時間は2週間から4週間くらいのプロジェクトでは経験的に30分から1時間くらいでした。

タイムラインの役に立つところは?

振り返りの材料が集まります。

タイムラインを行うことで、振り返りをする際の材料がとてもうまく集まるようになります。

なぜかというと、(振り返り材料を出す)書き出しという行為の心理的な障壁を下げることができるからです。

まず、書き出すという行為と分類する(GoodとBadに貼る)という行為を分けることで、 分類のことはいったん忘れて、書き出す行為に集中できるようになります。 人間はきちんと分類しながら、書き出していくという作業が意外と苦手なのです。

書いている人と分類している人の画像の間に同時にやらないという文字が書かれている図
書くと分けるを同時にやらない

また、付箋を使うことによって、分類や起こった出来事の順番が誤っていたとしても、 すぐに修正できるということが、書き出しや分類する(GoodとBadに貼る)ということに対する 心理的な障壁を下げます。

タイムラインにおいて、付箋を使うことは、書き出す、分類するという行為を分けることでき、 また、すぐに位置を修正できるという非常に重要な意味を持ちます。

こういう小さな工夫が意外と振り返りの材料を出すのを妨げます。

分析のインプットになります

タイムラインを行うことによって、振り返りの良いインプットになります。

なぜかというと、すべての出来事、感情が同じホワイトボードにあることが一覧性が高まり、 それらの関連性が判断しやすくなることが、分析を助けるからです。

タイムラインでは、起こった出来事に対して、どう思ったのかをホワイトボードに貼っているため、 どのように関連しているのかを線でつなげることも、 似ているとおもったら、付箋を近くに持ってくることもできます。

ホワイトボード上でGood, Badで分類している様子を図示しているものに対して、分析した結果、書き込んだ注意書きと注意書きと起こった事象の関連性を線で書き足した箇所を黄色く囲って強調している図
関連性を線で書き足した

人間は二次元的に並べられたものに対して、関連性を見つけたり、違いを見つけることが得意なのです。 箇条書きのように等しく並べられたものに対して、行うよりもずっとうまく行うことができます。

また、この手法は出来事と感情を同じく付箋に書いてもらいます。 そのため、出来事に対して、参加者がどう思ったのかのかも等しく扱うことができます。 これによって、起こったことに対する感情がなぜ起こったのか分析したり、 追加で書き込んだりすることができるため、とてもうまく行えます。

タイムラインにおいて、付箋とホワイトボードを使うことは、すべてのものを二次元的に並べることができるという意味で、 とても重要な意味を持ちます。

タイムラインの役に立たないところは?

タイムラインはあくまで、振り返りの材料をうまく出すということにフォーカスした手法です。

そのため、基本的にはそれ以外のことには効きません。 振り返りの材料は、分析のインプットになるため、分析のために良いインプットを出すという意味はあります。

一方で、『話題がいつも発散してしまう。』や、『次にやることがなかなか決まらない。』といった悩みには効きません。

ホワイトボード上でGood, Badで分類している様子を図示しているものに対して、タイムラインが有効に働かない箇所として、次にやることの箇所を黄色で囲っている図
あまりタイムラインが有効に働かない箇所

これらの悩みはつまり、話し合いのスコープを絞り切れていなかったり、 やることを決める方法が決まっていなかったりすることが原因なので、 タイムラインは、これらの問題の対策としてはうまく作用しないのです。

終わりに

今回は振り返りの手法としてタイムラインを紹介しました。 しかし、振り返りの困りごとは今回のような『うまく意見が出ないなー』ということだけではないと思います。

そんな時でも先人たちは振り返りに対する困りごと毎に、いろいろな対策を考えてきました。 その悩みと対策を紹介した本として、アジャイルレトロスペクティブという本があります。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

この本を読むと、自分の悩みが振り返りにおいては、どんな意味を持つのか、 また、その悩みにはどんな対策があるのかを知ることができます。 是非参考にしてみてください。

この記事を読んだ、みなさんの振り返りがより実りあるものになると願っています。

明日はShuhei Kotegawaさんによる『APIの話 or プロマネデビューして学んだこと』です。 お楽しみに。