こんにちは、freeeでDevBrandingをやっていたり採用管理システムを開発している @noblejasper です。
今回は前回のDevBrandingの話ではなく、私の主な業務の話を書きたいと思います。
現在私は社内向けの採用管理システムの開発を行っています。昨年の9月から半年で、既存システムから新規開発した内製システムに移行出来ました。経緯や良かった事などを振り返ろうと思います。
採用など業務を改善していかないといけない場面に立ち向かっている方々の参考に少しでもなれればいいなと思います。
そもそもATS(Applicant Tracking System)とは?
まず採用管理システムとは何かを簡単に説明します。
日本語では「採用管理システム」と呼ばれる事が多いです。企業の採用活動を支援するシステムです。
採用活動ではいくつかのデータを紐付けて管理する必要があります。
- 求人
- 候補者
- 面接官
- 面接官の評価
- 選考状況
これらのデータを用いて、採用活動を可視化し効率化や精度向上をするためのシステムです。(他社様からサービスとして提供されているものの中には、この範囲におさまらないものも多くあります。)
経緯
ATS(Applicant Tracking System、採用管理システムといわれるもの)を作る事になった経緯から振り返っていきます。
① エンジニア→採用担当者→採用管理システム開発者
私は採用管理システムを開発する前は採用チームでエンジニアの採用担当者でした。
入社した当時はWebアプリケーションのエンジニアでしたが、今では採用チームにいた期間の方がfreeeでの在籍期間の中で長くなりました。
② 採用担当者xエンジニアのキャリア
リクルーターをしている間も、簡単な自動化や効率化、見える化を行っていたりしていました。 場当たり的にツギハギに解決策を作ったりしていましたが、「抜本的に解決したい」という課題感を持っていました。
とはいえ、本業はリクルーターなので改善活動に割ける時間はかなり限られたものでした。
③ 既存システムの契約更新とSalesforce開発のノウハウ
数年利用していた既存システムの契約の更新の期限がが近づいてきており、違うサービスはどうかという検討が出てきていました。
社内にSalesforceを用いた開発のノウハウがあるプロフェッショナルなチームがいた事、満たしたい要求はSalesforce上で実現出来そうだという事で「Salesforceで開発やってみよう」という事になりました。
④ 採用管理システムの開発者に
リクルーターの経験と、エンジニアの経験をもっているということで、私が開発担当者になりました。私としても適任だと感じていたし、解決したい抜本的解決が実現出来るかもしれないとワクワクしていたのを覚えています。
今考えてみると、エンジニア→リクルーターに異動したのは「採用管理システムを作るための布石だったのではないか」という大いなる意思のようなものを感じています。(おそらくリクルーター異動時にはそこまでの意図はなかったのではないかと思っています)
おおまかな移行へのスケジュール
今回は半年で既存システムからの移行を完了出来ました。
9月に開発を開始してから2月の完全移行、3月の既存システムの廃止へのスケジュールをおおまかにまとめてみました。
- 2019年09月 キックオフ
- 2019年10月 段階的な移行開始
- 2019年11月 全面接官の評価入力の移行開始
- 2019年12月 隔週でミーティング開始(情報共有、Q&A、フィードバックが目的)
- 2019年01月 2月完全移行に向けてラストスパート、採用情報サイトの応募フォームの開発&リリース
- 2019年02月 3月の既存システム廃止に向けた必須機能の開発&リリース
- 2019年03月 既存システムの廃止、データエクスポート&インポート
実際に採用チーム以外の社内のメンバーに認知され始めたのは11月の「全面接官の評価入力の移行開始」からです。既存システムから新システムへ移行していく中で、実際に面接をする面接官が評価などを入力する部分も段階的に移行していく必要がありました。
はじめに社内の選考に関わる全メンバーに説明会を3回に分けて実施しました。freeeでは選考に関わる人数が100人を越えるのでどんなフィードバックがあるかドキドキしながら実施しました。
面接、面談時の入力の方法や、候補者の情報の確認方法。社内で問い合わせする方法などを共有しました。この説明会でもらったフィードバックから出来た機能や改善があったり、説明会内で出た問題点の代替策をその場で相談できたりなど、とても有意義な会でした。
比較対象となるプロジェクトがないのですが、個人的には開発、導入、移行までスピーディーに進められたと感じています 順調に進められた大きな要因が2つありました。
① Salesforce 開発の知見があった
上述しましたが、freeeにはGYOMUハックチームという、Salesforce開発のプロフェッショナル集団がいます。 GYOMUハックチームと協力して開発を進められた事がかなりのスピードアップに繋がったのは明らかでした。
- 初期ラーニングのコストがかなり低かった
- ちなみに私はこの開発をするまでSalesforceにはほぼ触れた事すらありませんでした
- 開発開始から基礎部分の開発、移行開始まで1ヶ月で出来ている
- 作りたいものに対して、インプットしておく必要のあるリファレンスを教えてもらえた
- Salesforceにおけるバッドプラクティスやアンチパターンを指摘してもらえた
② 採用チーム一丸となって取り組めた
実際にシステムを使う採用チームのメンバーが積極的にフィードバックをくれた事も大きいです。
開発の初期段階から「ここはこういうふうに使う」とか「この情報を見る時はこの情報も一緒に見たい」などかなり多くのフィードバックをもらいました。
「採用チーム内でも採用管理システムを活用して移行しきること」をチームの四半期目標に設定してくれた事も順調に進められた大きな要因の一つだったと思います。
- 採用チームの目標にシステムを移行しきる事を設定できた
- 1人1人がシステムを使ってみて多くの意見をもらえた
- 開発している自分自身が採用チームにいた
- 不便な物事が日々見えたことで、必要な機能・不要な機能が判断しやすかった
採用ホームページの応募フォームの機能紹介
すべての機能をここで紹介することは出来ませんが、1つだけ簡単に紹介したいと思います。
freee 採用情報 の応募フォーム機能です。
画像は、募集職種一覧 → 応募したい職種をクリック → 下部の「応募する」ボタンをクリックした時の表示です。
Salesforceは社内のメンバーが利用するためのサービスだと思っている方もいらっしゃるかもしれません(私はそう思っていました)が、社外に公開する情報や社外の方が入力する情報を管理する事も出来ます。
コミュニティ機能で実現
Salesforceには『コミュニティ』という機能があり、社外の方が入力する情報を扱う事ができます。
この応募フォームはコミュニティ機能を用いて実現しています。 各種Validationやファイルのアップロードなども標準の機能の範囲内で構築出来ます。つまりノーコードです。
最近のATSではこういった機能は珍しいものではなく、多くのサービスで実装されているものです。
社内のシステムと直接繋がっているためデータの転記やコピー&ペーストが不要で漏れぬけしづらく、効率的に候補者の方に対応する事ができます。
また、現時点ではまだまだUIが簡素ですが、内製している事でfreeeらしいページやデザインに改善していける可能性を持っています。
採用管理システムのこれから
採用管理システムを移行する話をここまで書いてきましたが、重要なのはこれからです。
まだまだ開発したい機能や解決したい課題がたくさんあります。
freeeが今後も拡大成長を続けていく限り、採用の精度向上と効率化は更に大切になってきます。
社外サービスでは成し得なかった『freeeらしい採用管理システム』に進化していけるようにしていきたいです。
また、社内の利便性や効率だけではなく、選考を受けてくださる候補者の方々やfreeeに興味を持ってくださった方にも寄り添った形で、最高の仲間を採用しつづけられるシステムを開発していこうと思っています。
またDevelopers Blogなどで新たに開発した機能などをご紹介出来たら嬉しいなと思っています。
応募フォームの入力をお待ちしています👍🏻
freee では複数のポジションで一緒に働く仲間を募集しています。「興味あるよ」という方は是非私の開発した応募フォームから応募頂ければ嬉しいです。