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わたしが新卒で会社を選ぶときに知りたかったこと

この記事は freee Developers Advent Calendar 2024 の 25 日目の記事です。本記事は、freeeの共同創業者で取締役CTOの横路が担当します。

わたしが新卒で会社を選ぶときに知りたかったこと

毎日起きるのが楽しみになるくらいエキサイティングなチームと一緒に自分の持てる力を最大限発揮して、世の中が大きく前に進む瞬間に立ち会い、そこに少しでも貢献したという実感をもって生きていきたい。

でも人生をかけて取り組みたいテーマはまだ分からないし、まずは誇りを持てる仕事で社会貢献しつつ、圧倒的に成長しながらその中でやりたいことを見つけたい。では、どうやって最初の会社を選び、どう行動すればそうなれるのだろうか?

わたしが新卒で会社を選ぶときに知りたかったのは、その答えでした。

以前、Advent Calendarの最終日に「新卒で入ってくる君たちへ」という記事を書いてからちょうど6年が経ちました。世の中の人々の働き方や価値観、そしてfreeeも大きく変わりましたが、新卒で会社を選ぶときに知りたいこと、そしてfreeeに新卒で入る皆さんにわたしたちが求めているものは、本質的にはあまり変わってない気がします。

今回は、最短で成長して社会に大きなインパクトを与えるチャンスを得るためのエッセンスと、それを得るための会社の選び方や行動習慣に対するわたしなりの哲学をお話しし、その中でfreeeがベストな環境であり、そのような行動習慣を持つ人はぜひfreeeに来てほしいということをお伝えします。

最短で成長するためのエッセンス:打席数・没頭・巨人の肩の上に立つ

freeeのミッションは、テクノロジーでスモールビジネスを世界の主役にすることです。多様な価値観や生き方を持つ中小企業や個人事業主などのスモールビジネスこそ、大企業にはない柔軟性とスピード感で社会に多様な価値とイノベーションを生み出し、それによって社会がさらに面白く、世の中全体がより良くなっていく。そう信じて12年前に創業しました。

わたしたちは、freeeのプラットフォームに乗りさえすればスモールビジネスはうまくいくし、本当に使いやすいから広く使われて世の中が変わる。そんな世界を目指して、スモールビジネス向けの統合プラットフォームというこれまで誰もチャレンジしたことのなかった領域に12年間取り組んできました。そしてその中で、一緒に社会を変えたいと共感して集まってきてくれた多くの仲間たちが、誰も解いたことのない課題に熱量と執着を持って取り組むことで、大きな社会インパクトを出しながら自らも大きく成長し、社内外で大きく飛躍する様子を見てきました。

その経験からわたしは、最短で最大成長するために最も有効なキードライバーは、以下の要素だと考えるようになりました。

実行回数(打席数) x 実行強度(没頭 + 巨人の肩の上に立つ)

社会に大きなインパクトのあるような難易度の高い課題を解決するためには、いっぱい試していっぱい失敗して、しかも1回1回のチャレンジに本気で取り組んで最大限学び続けること。そして目的思考で課題解決に取り組み、先人の成果物や知見を最大限活用していかに素早く課題解決できるかにこだわること。

以下では、なぜこれらが大切だと考えていて、どうすればそういう環境を得られるかを説明します。

なぜ打席にたくさん立つことが大事なのか

そもそも社会に大きなインパクトを出すようなチャレンジは、総じて難易度が高いことです。誰もやったことがない課題に取り組むときには、たとえ小さな課題でもどんなベテランでも頻繁に失敗します。もちろん成功すると信じて本気で取り組むのだが、失敗して当たり前で、そこから「少なくともこれは間違っていた」ということを素直に認めて学ぶことで次のチャレンジにつなげ、成功確率を高めるという考え方で物事を進めます。このような状況下では、このフィードバックループをどれだけ速くたくさん回せるか、つまり打席に立つ回数を増やすことで、成功確率を高めることができます。

なぜ没頭することが大事なのか

目的に対して実行をはかるとき、人間にとって「没頭していること」が最大のブースターになると信じています。同じことをやっても努力している人は夢中で没頭している人に敵わないというのは、誰でもどこかで一度は経験しているのではないでしょうか。そもそも没頭できないと、打席にたくさん立ち難易度の高い課題に向き合い続ける中で、心が折れてしまうでしょう。没頭しやすいテーマや環境を選ぶことも重要です。社会を変えるような大きな目的を達成するためには、チームで多種多様な課題に取り組む必要があります。やってみたら楽しくて気づいたら夢中で取り組んでいたというステップで、自分に出来ることの幅を広げ、実行強度を大きく高めていくことができます。

なぜ巨人の肩の上に立つことが大事なのか

世の中のだいたいのことは、これまで社会を変えてきた過去の偉大な先人達がすでに考えたことがあって、自分が初めて考えるなんていう場面はほぼありません。しかも世の中には同じ時代を生きるたくさんの人たちがいる中で、先んじてスピード感を持って社会に新しい価値を生み出すためには、常に先人の知恵を探して最大限活用し、その土台の上に新しい価値を構築するしかありません。大事なのは、先人の知恵は本で読んだりインターネットで検索できるものが全てではないということです。それどころか、言語化されていないものが大半です。何かの領域でもっとも頭を絞って考え抜き試行錯誤した経験がある人に、直接話を聞いたり一緒に仕事をするのが最も効果的ということも多いです。いまの時代のルールを知り、ベストプラクティスを求め実践することで、課題解決の速度や強度を高められます。

なぜ会社選びと行動習慣が大事なのか

圧倒的成長にとって大切なのが、打席にたくさん立って先人の知恵を活かしながら課題解決に没頭することだとしても、それは新卒でどこかの会社に入らないと出来ないことではありません。はじめから起業することもできます。しかし、新卒当時のわたしを含め、多くの人にとって最初から人生をかけてやりたいテーマなんて分からないし、まずは誇りを持てる仕事で社会貢献しつつ、圧倒的に成長しながらその中でやりたいことを見つけたいという状況においては、会社という環境の力を使いながら自ら主体的に動くことで、大きな成長を狙うことができます。

環境と個人は互いに影響を受けて変化していくものですが、特に個人が環境に影響を受けるのは、仕事に取り組む姿勢や習慣だと思います。これまで多くの人と働いてきて、仕事に取り組む行動習慣のほとんどは新卒の頃に培われ、あとから意識して変えるのはとても難しいと強く感じています。これから成長して大きな仕事を成し遂げ、見たことのない山を登ってみたい方は、ぜひ打席に立つこと、没頭して働くこと、よりよいやり方を常に外に求めることを習慣化し、うまくいくか分からない高い目標に対して信じてチームで熱狂して働くのが当たり前という感覚を、新卒のときに身に着けてほしいです。

打席数を増やすための会社選びと行動習慣

打席に立つ数の多い会社とは、端的に言えばリスクをとって成長する意志があり、人が足りない会社です。本気で社会を前に進めようとしている会社は、やりたいこと・やらないといけないことが無限にあるので、常に人が足りません。人が足りないと、まだ豊富な経験や実績を積んでいない人でも抜擢して任せないと仕事が回りません。そういうときは、熱意と課題解決への執着がある人、失敗して学べる人に新しいチャレンジが任されます。会社として、失敗するリスクを当たり前に覚悟して任せ、失敗を責めずにむしろ失敗から学ぶ姿勢を評価する環境が大事です。逆に新たなチャレンジが少なく人が足りている環境では、打率が高く実績のある人しか打席に立ちづらくなります。

freeeではスモールビジネス向けにすでに30以上のプロダクトを提供していますが、多様なスモールビジネスの働き方に寄り添うためにはこれでもカバレッジは全然足りておらず、今後さらに桁違いの数のプロダクトを作っていくことを計画しています。これを実現するために、多種多様な業種・業態のスモールビジネスの世界に自ら飛び込んで課題を深く理解・共感し、爆速でプロダクトとして価値を届ける取り組みに、同時多発的にチャレンジしていきます。これらの開発プロジェクトはPdL(プロダクトリードエンジニア)を中心に組成され、新規プロダクトであればおよそ数ヶ月に1つというペースでリリースされていきます。社内ではAIを使った開発プロセスの再構築にも取り組んでいて、今後は最短で1ヶ月1プロダクトのリリースを目指したいと考えています。社内では無数のプロジェクトが同時に走っているので、課題や関心に応じて手を挙げ、他ドメインとのコラボプロジェクトに参加したり異動したりすることで、さらに知識や経験の幅を広げていくこともできます。

没頭するための会社選びと行動習慣

本当に何も関心のないことに没頭できる人は稀です。何の関心も持たない人の実行強度も「やってください」「やります」と上意下達でやり切る前世紀的な方法で上げることはできますが、夢中で没頭する環境に身を置くためには、出発点として大きな目的やその達成の方向性に共感できる会社を選びます。熱意や熱量は伝播します。没頭しながら最短で成長するなら、目指す方向性に共感でき、会社全体に強い熱量とコミットメントを感じる、基準の高い会社を選ぶことが大事です。

そして、没頭することで自分に出来ることの幅を広げ実行強度を高めていくためには、そこまで関心がなくても機会があればとりあえずやってみる行動習慣が有効です。はじめから強い関心があり、絶対にそれをやるんだという領域がある場合、それに取り組むのももちろんよいのですが、それが社会インパクトに繋がるかどうかはタイミング次第です。成長スピード x 社会インパクトを考えると、関心があるからやるのではなく、本気でやるから関心がわいてくるという行動習慣のほうが期待値が高いと考えています。本当にやりたいことができたら、タイミングを待って仕掛ける。それまでは力を付け自分の意志を育てながら虎視眈々と機会を狙うのがおすすめです。

実はやりたいことを見つけるコツは、なんでもよいので新しいチャレンジを引き受け、本気で取り組み、その過程を楽しむことです。本気で取り組んでいると、顧客(=価値を届ける対象)の解像度がどんどん上がっていき、「本来こうあるべきなのに、なんでこんなことになってるんだ」「これは辛いだろうな、絶対に解決してあげたい」というふうに感情が自然と湧き上がってくるようになります。これが原体験として積み上がっていくことで、本当にやりたいことの発見・言語化につながります。

顧客との対話も、没頭の大きなきっかけのひとつです。freeeはすでに50万以上の事業者に使われていて、日本のスモールビジネスの1/10はすでにfreeeを使っているという状況です。行きつけのお店やフリーランスの友人など、身近な人に実際に使われるプロダクトに携わることでその社会的価値を実感し、自分ごととして課題意識を持ちやすい環境にあります。また、実際のお客さまを訪問したりオフィスにお呼びして話を聞く機会も多く、生のフィードバックに重きを置いています。このような機会を通じて、freeeの開発者は自分の枠に収まらずに顧客のための課題解決に没頭できる習慣を身につけていきます。

巨人の肩の上に立つための会社選びと行動習慣

巨人の肩の上に立つ習慣を身につける上で最も大事なことは、課題解決に執着する姿勢です。あるお題をなんとか早く解決するために、もっとうまくやる方法はないのか?を常に視野を広げて探すのを癖にしておくことです。車輪の再発明は楽しいしスキルも身につきますが、それを無自覚にやろうとしていることには敏感になる必要があります。

そしてその次に、巨人の視点を得やすい環境を選ぶことです。ずっと難易度の高い課題に向き合ってきたが故に、ノウハウが大きな資産として会社に蓄積されていることもありますし、教科書に載っているようなことも載っていないような知見も、具体で実践してきたが故に圧倒的な解像度で語れるようなベテランの人たちに直接深いところまで聞けるというのも、会社に所属するメリットです。

スモールビジネスを世界の主役にするというfreeeの大きなビジョンを実現するまでにはまだまだ時間がかかると思っており、わたしたち開発チームはそれまで、世の中のベストプラクティスを駆使してスモールビジネスに最高の体験を最短で届け続ける必要があると考えています。国内外の先進企業で経験を積みfreeeに参画しているメンバーたちのグローバル水準の知見を注ぎ込むことで、創業からこれまでの12年間で、技術スタックやアーキテクチャ、開発プロセス、組織設計を時代に合わせて全方位でアップデートし続けています。また、これまで30以上のプロダクトを作る中で培ったオリジナルの共通基盤とプラクティスもあります。どのプロダクトでも必要な箇所の設計実装を基盤でショートカットできるので、打席数をさらに増やし、価値づくりに没頭することができます。

成長のその先へ

本気で仕事に取り組み没頭していると、その中で顧客(=価値を届ける対象)の解像度が高まり、こうしたいという自分の意思が出てきて、その先にやりたいことが見つかるという話をしました。では次はこれをどうやって仕事にするのか?という話です。会社というものは、大きな目的と抽象度の高い遠くの目標地点は決まっているものの、どうやってそこに向かうかは案外詳しく決まっていないものです。これまでの成長の過程で熱量を持って本気で課題解決に取り組み、深い顧客解像度に基づく熱意と意思を身につけてさえいれば、あとはタイミングよく手を挙げてなぜそれが必要か?どう実現するのか?のストーリーを語れば、自分のやりたいことを仕事にするチャンスを得られます。会社の資産を活かしてやりたいことをやれるというのは、会社に所属する大きなメリットのひとつです。巨人の肩の上に立つことの応用とも言えます。

日本では、企業の99%以上・労働人口の6割以上がスモールビジネスに従事しており、その事業者のうち1/10がすでにfreeeを使っています。世界中で見ても日本はスモールビジネスの割合と絶対数が圧倒的に大きく、いま日本発でスモールビジネスから世界を変えるために、全社ミッションレベルでスモールビジネスに特化しているfreeeは絶好のポジションにいると言えます。わたしたちの感覚でいうと、プロダクトで顧客の課題を解決し世の中を変える実行力に、年齢や経験年数はほとんど関係ありません。上記のエッセンスを実践して身につけているメンバーは、入社して3年以内にトップクラスの成果を上げています。わたしたちのミッションに少しでも共感するかたは、最短で成長して社会に大きなインパクトを与えられる力を身につけながら、世の中が大きく前に進む瞬間に立ち会うべく、ぜひfreeeでキャリアをはじめてみてほしいと思っています。

まとめ

以上、社会に影響を与えられるようなキャリアを最短距離で歩みたければ、打席にたくさん立って先人の資産を活かしながら課題解決に没頭することが近道というわたしの考えをお話ししました。

そして勘のいいかたはお気づきかもしれませんが、freeeが提供する成長のフレームワークと環境は、世の中に数多あるテンプレート(これも巨人の視点です)によるものでなく、あえて独自色が強いものになっています。それは、わたしたちがfreeeの成長や競争力の源泉はfreeeメンバー一人ひとりの成長にあるという信念を持っており、これ自体がわたしたちの創造的な取り組みのひとつだからです。没頭から生まれるひとりひとりの解像度と意思の力を、社会を変えるムーブメントのために一点に集中させ、スピード感をもって世の中を変えていくというのが、わたしたちの哲学であり、やりかたです。

最短で成長して社会にインパクトを与えるチャンスを得るための、キー指標(実行回数・実行強度)、キードライバー(打席数・没頭・巨人の肩の上に立つ)、そしてそれぞれに対応するfreeeの環境とfreeeメンバーの行動習慣
最短で成長し社会にインパクトを出すためのfreeeのエコシステム

「スモールビジネスを、世界の主役に。」

ぜひ、わたしたちのムーブメントに加わり、一緒に最短で成長して社会に大きなインパクトを与えるチャレンジを始めませんか?

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