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社内向けシステムの社内アンケートをしてみたら結果が最悪だった事で多くの事を学んだ

こんにちは、freee Tech Night Online でラジオパーソナリティをしていたり採用管理システムを開発していたりする @noblejasper です。

先日「半年で採用管理システム作ったぜドヤ!」的な記事を書きました。リリース後しばらくして社内ユーザに「使い勝手どうですか?アンケート」というものを実施しました。今回はアンケートの結果やフィードバックから学んだ事を書きたいと思います。

学んだこと

今回アンケートを集め、改善を重ね、再度アンケートを集めて学んだ事はこれでした。

  • 定量化する事の大切さ
  • やることを整理して明確にしていく
  • 目的を”やる気が出るもの”に設定する
  • 積み重なれば結果は出る

どれも目新しいものはないかもしれません。私も知識として知っているものばかりでした。しかし知識ではなく経験をした事で今までよりも少し自信がついたので今回言語化してみようと思います。

最悪のアンケート結果

アンケートの1問目で「元のツールと比べて使いやすいか?」という最重要な設問を聞いてみました。

結果は最悪でした。「使いづらい(1)」から「使いやすい(3)」の3段階のアンケートで「使いづらい(1)」が36.6%の値でした。

棒グラフ。1が36.6%、2が31.7%、3が31.7%
元ツールと比べて使いやすいか?の回答分布

作ったばかりのツールなので使いやすい訳はないとわかってはいました。わかってはいましたが定量値で現実を突きつけられました。ちなみに採用に関わっている人はアンケート回答数よりはるかに多く、限定した期間で回収したアンケートです。そのため実際にはもっと多くの「使いづらい」と感じている人たちがいただろうと思っていました。

これはまずい

せっかく既存のツールから内製に移行したのに、使いづらくなってしまうのは本末転倒です。 自社のフローや理想像に向けてカスタマイズできるような理想像がドンドン遠ざかっていくような気持ちがしてきました。

「なぜ使いづらいのか」と向き合わないといけない

アンケートでは「使いづらい」と答えてくれたほぼ全ての人が一緒に「なぜ使いづらいのか」の理由も記載してくれていました。自分で作ったシステムなので読むだけで苦しさも感じました。逆に期待してくれているからフィードバックをくれているという嬉しさも感じていました。

理由を細かく書いてくれる人もいて、眺めていたら数が多すぎて無理なんじゃないかという気分になって憂鬱になってきました。私はしばしばこういう場面で茫然自失してしまいます。その度に考えるのは「整理すれば実は大した事ない」という事です。今回もそれにならって整理をする事で前進しました。

まずは1つ1つ何が使いづらいのかをタグ付けしていきました。全てのフィードバックをタグ付けしていった所、多くのフィードバックで共通するのは3つほどでした。

  • 他の面接官の評価が見づらい
  • 面接の評価の入力がしづらい
  • 候補者の情報が見づらい

もちろんその他のフィードバックもありましたが、明らかに複数人から指摘されている部分とそうでないものを分離する事ができました。優先度付けが出来てきました。

アンケートの結果を良くするにはどうしたらいいのか

結果を定量化し、フィードバックを整理してやることは明確になりました。しかしあまり乗り気にはなれませんでした。 「面接官の評価が見づらい」や「面接の評価の入力がしづらい」事を修正、改善するのは正直億劫でした。きっと私にとって意義や目的が小さかったのです。

今考えると実際のシステムはかなり使いづらい状態だったと思います。フィードバックを洗い出した時には「見えるし、入力できるのに!新しいシステムに慣れてないだけじゃないのか?」ぐらいに思っていました。お恥ずかしながら。

そこで上位の目的を設定しました。アンケートの結果を「使いづらい」から「使いやすい」にするという目的です。これはやる気が出ました。普段から話しをしていたり顔を合わせている仲間から定量的な結果をもらえることは私にとってとても大きなモチベーションでした。 実はこれは自分で気づいた訳ではなくチームでの目標設定をしている時に「修正後にアンケートを取って結果見てみましょう」という提案をもらった事で後から気づきました。

フィードバックをくれる環境は本当にありがたく、感謝してばかりです。この提案がなければ今でもまだモチベーションが低いままだったかもしれません。

ドラッカーの『マネジメント』に載っている三人の石切工の話や、ラダー効果というような話で知識としては知っていました。しかし実際に体験できたのはとても良い気づきと学びになりました。自分の目の前の事になると視野が狭くなってしまっていました。

1つ1つ実行していく

あとは3ヶ月後に実施する再アンケートに向けて改善を積み重ねていきました。 途中でバグもいくつか発生させてしまいましたが概ね順調に改善をリリースしていきました。

せっかくなので、リリースした中で特に好評だった機能を紹介させてください。

評価入力の自動保存機能が好評だった

面接官の評価を入力する画面はSalesforceのLightning Web コンポーネントという機能で実現しています。JavaScriptとHTMLとCSSを組み合わせてコンポーネントを作成しSalesforce内に埋め込む事が出来るものをイメージしていただけるといいと思います。今回の画面は面接官が開くページの一部分に表示されています。もちろんデモ用の画面です。

評価を入力するフォームのスクリーンショット。自動更新した表示を強調している。
面接の評価を入力すると内容を自動保存される

一般的なWebサービスでは入力中の文章が自動保存される機能は珍しいものではないと思います。しかし移行前の元ツールでも自動保存機能はありませんでした。

アンケートの回答の中で「ログアウトしてしまって入力内容が消える」や「面接中にメモを取れる欄がほしい」といったフィードバックがあった事から自動保存機能を作り随時書いてもらえる形に改善しました。実際の面接では、面接直後に別の用事や打ち合わせが入る事も少なくありません。面接中にこのフォームにメモを取って用事が終わった後に清書するような用途に対応する事が出来ました。

技術的には特別なものではないのですがSalesforce上で構築したシステムでは少しトリッキーなものなのではないでしょうか。

これ以外にも大小いくつかの改善を行いました。

ドキドキの再アンケート

絶望のアンケート結果から約3ヶ月後に再アンケートを実施しました。回答数は1度目のアンケートより少なくはなってしまいましたが、大幅な改善が出来たと感じています。

棒グラフ。1が3.1%、2が40.6%、3が56.3%
再アンケートの結果が一目瞭然で改善されていた

「使いづらい」が3.1%、「使いやすい」が56.3%でした。使いづらい」から「使いやすい」に改善出来たのではないでしょうか。

やっと理想に向かっていける舞台に立てたのでは?

今回アンケートの結果を改善出来た事で使い勝手は問題ないものに出来たと思います。 しかし私自身はやっとスタートラインに立てた気持ちです。ここまでは「使えるようにする」フェイズだったと考えています。

これからは「未来を創る」フェイズです。freee独自のフローなどに合わせたカスタマイズや理想の採用の実現に向けた機能を開発していきたいと思っています。

フィードバックを大切にする分化

思っていたよりエモくなってしまいましたが、freeeの社内システムを開発する気持ちが少しでもイメージ出来たのであれば嬉しいです。

freeeでは今回書いたように率直な意見やフィードバックをとても大切にしています。エンジニアだけでなく採用チームやビジネスサイドもフィードバックする/される機会が多くあります。フィードバックを自ら求めにいくタイプの人になりたいと思っています。

freeeではフィードバックが大好きな仲間を募集しています。一緒に働く機会があれば私に是非フィードバックをください!

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