はじめに
freee Developers Hubでは初めましてです。riotaroと申します。
freeeでは2023年5月に入社し、CREに在籍しています。
この記事では入社後に日々の課題の把握と改善活動をすることを目的に、チームでKPTを導入しその後の経過について書きたいと思います。
なぜKPTを採用したのか?
採用した理由は2つあります。
- 社内でもOKRを利用しているシーンを見かけていたのでメンバーにも経験があるため、スムーズに行えると思ったから
- Problemについて話し合い、Tryを出すというやり方をすることで、問題を再確認をし、次のアクションにつなげる動きがしやすいと思ったから
そもそもKPTとは?
ご存知の方が多いと思いますが、説明を書いておきます。
KPTとは振り返りのフレームワークの一つであり、仕事やプロジェクトなどを対象に「Keep(成果が出ていて継続すること)」「Problem(解決すべき課題)」を洗い出し分析した上で、具体的な改善策としての「Try(次に取り組むこと)」を検討するという流れで行われます。
KPTは振り返り(スクラムのイベントでいうところのレトロスペクティブ)の一種のやり方です。
振り返りの具体的な運用方法
- KPTを出す対象
- 直近1週間以内の業務に関わること全て
- 開催頻度、時間
- 毎週金曜日に25分程度
- ツール
- miro
なぜ振り返りをしたいのか
私は、振り返りによって得られることの中に「自立的なチームを自分たちで育むこと」、「心理的安全性の高いチームを自分たちで育むこと」があると思っており、所属するチームではその点において、より改善できると思ったからです。
自立的なチームを自分たちで育むこと
私は、KPTをやることによって、自分たちが日々、チームの業務のために頑張っていること、目標のために頑張っていることを自分たちで評価して、自分たちで問題を把握して、自分たちで改善されたかどうかを確認して、自分たちがまた次のアクションにつなげる動きによってチームを改善していくことで、自立的なチームへと成長できると考えました。
心理的安全性の高いチームを自分たちで育むこと
心理的安全性が高い状態の定義はこちらを参考にしています。
1.チーム内でミスを起こすと、よく批判をされる 2.メンバー内で、難しい問題や課題を指摘しあえる 3.チーム内のメンバーが、異質なものを受け入れない傾向にある 4.チームに対して、リスクのある行動をとっても安全である 5.チーム内のメンバーに助けを求めづらい 6.チーム内で他者を騙したり、意図的に陥れようとしたりする人がいない 7.チームで業務を進める際、自分のスキルが発揮されていると感じる
※ Q1・Q3・Q5はスコアが低いほうが良い設問、Q2・Q4・Q6・Q7はスコアが高いほうが良い設問
KPTの場で自分の抱える問題を率直に共有し、次回のアクションについてメンバーと話し合い、改善していくことで心理的安全性が高まっていくのではないかと考えました。
さらに心理的安全性が高まることで、チーム目標達成のための改善活動が活発になることが期待できると思いました。
3回開催してみて、自分のKPTの振り返りのKPT
全体としての総評としては、以下がポイントかなと思います。
良い点
- KPTへの慣れも出てきてか、Keep, Problemの数が増えてきていて意見をだす数は増やすことが出来ていそう
- 全てのProblemについて話し合うことができるようになり、根本解決にならなそうであっても1step目としてのTryを出すことが出来ていることで改善活動は継続してできていそう
改善できる点
- 全員が同じ量のKPTを出すわけではなく、人によって出る数に差があるので、改善できることの着目点をまだまだ増やしていけそう
- まだまだTryの数は少なく感じているので、本質的なProblemが増え、それに対してTryがたくさん出るようになれば、より改善活動が進みそう
- 今は、ラフにどんなことでも出していいことにすることでKPTを出すハードルを下げているが、チームの目標について考え、より改善する価値のあるKPTを行えるようになることを目指したい
ここからはせっかくなので各会での私のKPTの振り返りとしてのKPTを載せておきます。
1回目の開催について
Keep: ・Keepで自分以外のメンバーを褒めることが発生したのは良いことだと思った ・しかもKeepの数が多かった Problem: ・Problemに対してTryを出す時間がなくなってしまった。 ・Tryの管理方法について考えられていなかった。 ・Problemは捻出するものではないので、Problemが出ない理由が大事だと思うので要観察。 Try: ・Problemについて話すのが優先順位の高い目的なので、Keep, Problemについては前日までに他のメンバーが読んだだけでわかるように書いてもらい、KPTの実施までにコメントを記載してもらう。 ・KPTの会では、チームメンバー全員に関わるものから順にみんなでTryを出し合う。全部に対してTryを出すのは必須ではない。 ・KPTをやりたい理由を改めて明文化する。
ポイント
- 思ったよりもKeepの数は多く、お互いの良いfeed backの機会になったのが良かったと思いました。
- 私がファシリテーションを務めたのですが、25分内にKeep, Problem, Try全てについて話し合うことが出来ず、うまい時間配分が出来ませんでした。
- KPT開催の意図について明文化することで、メンバーがさらに前向きに取り組めるようになることを狙いました。
2回目の開催について
Keep: ・Keepの量的には継続した感じ ・Keepに対しては読んでコメントをつけてもらうようにしたことで時間は短縮された ・Problemのすべてについてただの嘆き以外はdoneがわかるようにTryを出すことが出来た ・Tryの今週やるやらについては、月曜日の朝にやるようにした Problem: ・Keepを全員で一緒に見るのはなくなったので、全てについて他のメンバーが受け取ってくれたかはわからない。(Keepを出すモチベが下がるようなことになれば改善する) ・みんなが取り上げたい順にProblemについて話すことはできてない(しばらく慣れるまでは追加の作業とかは増やしたくないのでそのままにする) ・Problemの数が減ったが、いいことが原因なのか、悪いことが原因なのかわからないから判断できてない ・若干時間に追われているところはあって本質的な改善になるTryを出せているかというとまだまだ良くなりそうという肌感。(これも慣れるまでは時間を延ばしたりしたくないので、続けてみる。Tryがdoneになったのに再度同じようなProblemがでるような場合はちゃんとその問題にフォーカスして話せるようにする) Try: ・今週の不具合対応進捗ももとにしてKPTを出せるのが良さそうと思ったので、やり方考える。 ・次回のKPTでは今週話せなかったProblemも含めて話し合う。
ポイント
- KPTの会の場ではProblemについて話し合い、Tryを出すだけにしたことで、問題への向き合いと改善のアクションを出すことができるようになりました。
- 25分の時間内にTryを出し切ろうとすると、本質的な改善になるTryが出せているのかというところに疑問は残りました。
- 不在のメンバーがいたので、次回のKPTの会に持ち越すことにしてみました。
3回目の開催について
Keep ・Keepの数がまた増えた ・Problemの数も増えた ・KeepだけでなくProblemについてもKPTの場だけでなく、コメントで議論が進んでいる ・時間内に終わるようになった Problem ・Tryを出した数が減った(アクションが不要なProblemや個人に閉じた話が多かったからかも。こういう話も共有するのは大事) ・メンバーとしては、KeepとProblem全てに対して意見を持っているわけではないので全てについてコメントや意見を求めるのは必要ないかも Try ・前日までにKeepにコメントを書いてもらう対象としては、自分が気になったやつだけで良い旨を改めて周知する ・KPTの場では、Problemにあるチーム全体に関わることについては全員に意見を出してもらう、その他は、意見がある人に聞く形でファシリテーションをする ・コメントで議論が進んでいるものについては、そこから話し合いをスタートできるようにする
ポイント
- チーム外に対してのKeepも増えたこともあってか、Keepの数が増えました。
- 慣れてきたこともあってか、25分の時間内に全てのProblemに対するTryを出せるようになりました。
- アクションが不要なProblemも多く出たことは良いことだが、Problemの数に対してはTryの数が少なくなってしまったので、改善活動としてはあまり出来なかったかもしれないです。
最後に
私は、一定期間(1週間、2週間くらいの)単位でチームメンバー全員でチームの状態について話し合う場を設けることは、チームで成果を出すためにとても大事だと思っています。
振り返りのやり方自体に慣れることが必要だったり、思いっきり意見を出してもらえるようになるまでは時間がかかるかもしれませんが、長い目で根気強く、意見を出す場所を提供し続けることが大事だと思います。
チームで改善活動が行えていないような状況でしたら、ぜひ場だけでも設けてみてはいかがでしょうか?
デザイナーチームでも最近自己肯定感を高めてチームが成長する振り返り「MGT」という記事を出されていたのでぜひ御覧ください。