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【人生はマラソン】フルマラソンを初参加で完走した話

こんにちは、サービス基盤のkumashunです。この記事はfreee Developers Advent Calendar 2022の14日目です。

突然ですが、自分は今年の11/23に開催された荒川トライアルというマラソン大会に参加し、フルマラソンを4時間17分29秒で完走しました!成人男性のおおよそ平均タイム4時間30分を下回るサブ4.5と呼ばれる実績をクリアしたことになります。今回は、このゴール達成に至るまでの1年間の記録をあえて共有します。

荒川トライアル(フルマラソン)の記録証
荒川トライアル(フルマラソン)の記録証

目指すきっかけ

挑戦のきっかけになったのは、新卒配属当時のJM(freee用語でマネージャーの意)であるkawamuraさんが市民ランナーだったことでした。自分が入社した2020年当時はコロナ禍の影響で大会そのものが開催されない時期が続きましたが、2021年になると徐々に大会が開催されるようになり、kawamuraさんはじめ社内ランナー達の参加報告がちらほら出るようになりました。そのムーブメントに乗っかりつつ、せっかくなら目標がある方がモチベーションも上がるか と思い立ち、来年となる2022年にフルマラソン完走を目標に掲げました。

目標達成のプランとしては以下。結果としては思いのほか時間がかかってしまいましたが、概ねこの流れに乗れたことになります。

  1. (kawamuraさんの記録だった)サブ4.5を狙える1キロ6分ペースで走れる距離を伸ばす
  2. 20キロに到達した時点でハーフマラソン(42.195/2=21.0975キロ)に挑戦
  3. ハーフをキロ6分で完走できたら 練習の負荷を上げてフルマラソンに挑戦

コツコツランから突然ギアを上げ...

phase1は去年の11月 距離は5キロからスタートしました。練習のPDCAに役立ったのが、Under ArmorのBluetooth対応ランニングシューズです。StravaやNIKE run clubといったワークアウトトラッキングアプリはたくさんありますが、このシューズは専用アプリを起動させたデバイスとBluetooth接続すると、走行中の歩幅(ストライド)と足の回転数(ケイデンス)をリアルタイムで計測してくれるというメリットがあります。予め自分の理想ペースを設定しておけば、それに合ったストライドとケイデンスに収まるようにナビゲートしてくれます。これもリアルタイム。

ランニングを始めたばかりだと、タイムや平均ペースだけが走ったあとに分かるだけでは、次のランでどうすればペースを改善できるかがハッキリしません。以上のツールを使ったことで、"何となく前回より早く走ってみる"ではなく"前回よりも短い歩幅で走ってみる"という具体的なトライを意識できたのはとてもいい体験だったと思います。日毎にそういったデータを振り返りながら走り続け、12月中頃にはphase1の進捗は7キロに到達しました。

Bluetooth対応ランニングシューズ。半年間履き潰してボロボロに
Bluetooth対応ランニングシューズ。今は半年履き潰してボロボロに

アプリで見れるランの結果画面
アプリで見れるランの結果画面

という感じで1ヶ月半くらいコツコツやっていたのですが、

「思い切って10キロくらい走れるんじゃないか?」

というやっていきの心が突然生まれます。そして謎に有言実行を果たし、大崎の自宅からスカイツリーまでの15キロを(信号待ちが結構ありましたが)走り切ることができたのです。この調子なら来年早々phase2達成もワンチャンと自信が生まれ、2022年2月開催のハーフマラソンにそのままの勢いでエントリー。年末年始に帰省中もバンバン走って、モチベーションはかなり高まってきた、のですが...

自宅~スカイツリーの走行記録
自宅~スカイツリーの走行記録

リハビリと地道なステップアップの始まり

異変が起きたのは帰省明けの今年1月上旬。いつものように走っていると、突然左膝に激痛が走りました。立ち止まり、歩いていると何ともないけれど、走り始めると再び痛み出す。1週間、2週間と待ってみたものの一向に回復せず、結局1月下旬時点では、痛みに耐えきれずに2,3キロしか走れなくなってしまいました。2月になるとハーフマラソンはさすがに断念して、整形外科に診てもらうことに。

結果は自分でもネットで調べて当たりが付いていた"腸脛靭帯炎”と診断されました。以下の説明の通り、脚の付け根から膝に繋がる大きな腸頸靭帯と膝の骨が擦れて炎症が起きていたのです(走った場合だけ痛みがあったのは、走るときに膝を曲げる角度で摩擦が起こっていたから)。

腸脛靭帯炎のイメージ図
腸脛靭帯炎のイメージ図。赤くマークされた箇所で靭帯と骨の間で摩擦が起きる

腸脛靭帯とは大腿四頭筋の外側に位置し、大腿筋膜張筋と大殿筋の付着部から脛骨近位前面のGerdy結節に停止する筋膜様組織である。 ランニングなど繰り返しの膝運動で、腸脛靭帯と骨性隆起である大腿骨外側上顆との間で摩擦が生じ限局性の炎症がおこり、疼痛を生じる病態を腸脛靭帯炎という。

引用: 腸脛靭帯炎(ランナー膝)- 独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター

初心者ランナーがオーバーユース、ハードなメニューをこなすとよく発症することから "ランナー膝" とも呼ばれるそうです。自分に起こっていたことはざっくりこんな感じで、言わずもがな急にギアを上げたことが原因だったと考えられます。

  1. 急に長距離を走ったことで脚の筋肉がバテて、普段通りに脚を動かせなくなる
  2. そのまま走り続けると靭帯にも負荷がかかってしまい、負荷の集中した箇所が癒着を起こす(理学療法士の方曰く"ガムがくっつくみたい")
  3. 靭帯がスムーズに動かなくなって、普通なら擦れない骨と擦れてしまい 炎症を伴う

幸いにもランナー膝と呼ばれるほどメジャーな症状なので、リハビリの手法も確立されていました。以下を徹底しながらphase1をコツコツ進める方針で仕切り直しです。

  • 筋膜リリース: 専用の器具を靭帯が癒着した箇所にぐりぐり当てて、ほぐしていきます。通常のストレッチも、今まで以上に時間をかけるようにしました。癒着が治ってくると摩擦が起きなくなり、スムーズに膝を曲げ伸ばせるようになりました。
  • お尻や太ももの筋トレ: そもそも靭帯が過負荷にならないよう、筋トレをして脚力upを図ります。メニューは理学療法士の方とbi-weeklyで経過を見つつ、徐々に負荷を上げていきました。

その甲斐あって3月に7キロ、4月に8キロと再び距離を伸ばしていき、5月には年末の15キロに戻すことに成功!走りきった距離は同じでも、ギリギリ走れたのではなく ここまでの筋トレでついた脚力でしっかり走れたというのが達成感として大きかったです。

勢いそのまま、6月上旬にはphase1のゴールである20キロに到達します。さぁ、いよいよphase2!!

ハーフ、そしてフル完走へ

phase2決戦の地として選んだのは6/25(土)開催の第7回東京豊洲ナイトハーフマラソン 。普段走っている夕方スタートの大会をチョイスしましたが、今年は6月下旬の時点でかなり暑かった。。。現地に到着した時点で気温は28度位で、今までで一番気温が高い中でのランになりました。しかし自分自身のコンディションは万全。いざスタート!!

ずっと一人で走ってきたので、初めて一緒に何十人のランナーと走る緊張感がやばい。颯爽とたくさんのベテランから追い抜かれて焦りますが、"普段通りのペースで走ればいい"と都度自らに言い聞かせます。そしてそのマインドは消えることなく、すっかり陽が落ちた豊洲で無事21.0975キロを完走しました。記録は2時間3分19秒。リタイア含め、男性参加者76人中25位 初参加で中の上の結果を出せたのは素直に嬉しかったです。平均ペースもキロ6分をギリ守れていたので、満を辞してphase3 11月のフルマラソンにエントリー。

東京豊洲ナイトハーフマラソンの記録証
東京豊洲ナイトハーフマラソンの記録証

そこからフルマラソンにかけてはガッツリ練習量を増やして、20キロはコンスタントに走れる状態に仕上げます。7~9月の猛暑のなか 平日は軽い4,5キロを2回, インターバル走を1回、土曜は20キロ、日曜は10キロの週5ラン生活の始まりです。部活は中学でやめた自分としては、人生で一番汗を流した夏になりました。おかげで脚力、スタミナ共に安定して、20キロ走った次の日にもちゃんと走り出せるくらいにはなっていました。

10月になって大会当日の気候に近づいてくると、土日の練習を夕方から大会と同じ午前中にしたり、ランニングシューズをフルマラソンビギナー推奨モデルに買い替えたりと本番を意識した準備を始めます。10月の終わりにはハーフ以上の距離30キロを前哨戦として走ってみました。さすがに膝に負担が来ましたが、ランナー膝の再発は許させません。それ以降はウォーミングアップのつもりで、max10キロ程度の練習に留めました。

そして迎えた当日。phase3決戦の地は冒頭の通り11/23(水)第33回となる荒川トライアル。疲労はどうにか治まったものの、天気が最悪。5,6ミリの雨が朝から降り続けて、結局大会が終わるまで止みませんでした。ハーフ同様今までで最もハードな気候の中、ハーフ以上の緊張感でスタート。

悪天候の荒川トライアル当日 開催地付近
悪天候の当日 開催地付近

フルということで、一緒に走っている人たちのガチ度が一気に増します。ウェアやシューズ、筋肉、全てがタイムを出すために最適化されてる感がすごかった... ここでも引き続き自分は自分。ペースをキロ6分以内に収めることだけに集中してひたすら距離を積み重ねます。走り慣れた20キロから30キロに到達するまでが一番しんどかったですが、残り10キロをきってからは "あとちょっと!" の気持ちでモチベーションが復活。ペースはキロ6分を超え、両脚共に疲労がピークに達して立ち止まったりもしましたが、4時間17分29秒、気合いでゴールしました。

結果はゴールした5人中では当然最下位だったのですが、それ以外の参加者11人は途中でリタイアしていました。大会のスケール的に練習試合みたいなものなので、悪天候で無理をするのは危険と判断したのかもしれません。前日に買ったウィンドブレーカーが無かったら、自分も危なかった...

また長期戦であるフルマラソンでは栄養補給も大事ということでポケットサイズのゼリー飲料を持参しましたが、一番効いたのはエイドステーション(運営側が用意してくれるピッチコーナー)でもらったコーラ。30キロ超えたあたりから飲むと糖分がめちゃめちゃ効いて、疲労感が軽減されました。

次の日は平日で普通に出社したのですが、両膝共にかなり靭帯にダメージを受けていたせいで階段が地獄でした。それでも2,3日すれば回復、10日も経てば軽い距離はランを再開できるようになった というリカバーの速さからも成長を感じています。

おわりに

「人生はマラソン」なんてよく言われますが、ここまでやってみると本当にその通りだなと感じました。日々やることを淡々とこなす、軽い距離を走り続けるだけでも価値は十分にありますが、そこで少々無理のある目標を自らに課してみる。今まで以上の力を発揮するために挑戦し、挫折を経て、積み重ねていったものが実を結ぶ。フル完走自体はもちろんですが、この一連の経験ができたことはとても価値がありました。がむしゃらに最後までやり切るマインドを、日々の業務にも生かそうと思います。

最後まで読んでいただき ありがとうございました!
明日はSREのnakagawaさんの記事です! お楽しみに〜