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freee QAが初めて新卒インターンシップをやってみたら、全員選考を希望、NPS 93.8だったよ

QAチームで採用担当をしているkiichiです。今回は、昨年freee QAとして初めてチャレンジした新卒採用特に8、9月に開催したインターンシップについてお伝えしていこうと思います。

freee QAチームとして、これまでキャリア採用にはかなり力を入れてきましたが、新卒採用は一度もチャレンジしたことがありませんでした。開発エンジニアとして採用された新卒社員がQAチームにアサインされていますが、それも2年前から始まったばかり。 多くの企業でQAエンジニアの採用には苦労されていると思いますし、ましてや新卒採用となるとfreee同様にチャレンジしてこなかったという企業も多いのではないかと思います。

今回、新卒採用に取り組み始めて真っ先にあがったのが、QAエンジニアという職種自体が学生に知られていないという問題。この問題をクリアするために、私たちがどのようにインターンシップに取り組んできたのか、そしてタイトルにあるとおりの「全員選考を希望*1」、「NPS 93.8*2」という成果にいたったのか、業界の課題解決という『社会の進化を担う責任感』を発揮するため『あえて共有』しようと、freee Developers Hubで広く公開することにしました。

学生にQAエンジニアという職種が知られていない!

私がQAエンジニアの新卒採用にチャレンジしたいと考え始めたのは、今から1年ほど前のこと。その時点で学生にQAエンジニアという職種が知られていないことは、既存のQA社員に聞いてみてもある程度予想できていることでした。学生時代にQAエンジニアという職種を知っていた人はゼロ。

大学でコンピュータ・サイエンスを専攻していたfreeeの新卒開発エンジニアに聞いてみたところ、学生時代にQAエンジニアという職種は知らなかった、なんとなくテストをする人がいることは知っていたけど、詳しい業務内容はまったく知らなかったという答えが返ってきました。

新卒採用担当のしみちゃんから最初に言われた一言は「QAエンジニアってどんな仕事をしているんですか?」でしたし、サイボウズ社とメルカリ社の採用担当と情報交換した際も、やはり学生のみなさんにQAエンジニアという職種が知られていないというのが共通の問題ということがわかりました。

これって、ようするに業界全体の問題じゃん!

こうして、インターンシップの最大の目的は、学生のみなさんにQAエンジニアという職種を知ってもらうということになりました。学生のみなさんが、何をする職種か分からなければ、自分にあっているか、何がやりがいなのかという大切なこともわからないですからね。

インターンシップ・プロジェクト始動!

24卒QAインターシッププロジェクトメンバー5名の写真
24卒QAインターシップ・プロジェクトkickoff
インターンシップを開催するには、多くの人の協力が必要ということで、まずはこの5名のQAチームメンバーでインターンシップ・プロジェクトを開始しました。その後、コンテンツ作りを進める中でさらに2名が加わり、7名でインターンシップの準備を進めていきました。

課題解決となるコンテンツは?

私たちが感じた問題は、先にも書いたとおり学生のみなさんにQAエンジニアという職種が知られていないことでした。QAエンジニアという職種を知ってもらう、魅力を感じてもらう、自分のキャリアとして選択してもらうという課題を解決するためのコンテンツを考えることからスタートし、ミーティングを繰り返した結果、プロジェクトメンバーで出した答えがこれです。

4つのコンテンツでインターンシップ・プログラムを構成

  1. 座学 ソフトウェアテストを知る
  2. ハンズオン ソフトウェアテストを体験する
  3. エンジニアトーク QAエンジニアの解像度を高める
  4. 成果発表 QAエンジニアを理解しているか確認する

インターンシップは、1ターム2週間とし参加者を変えて2回実施することは事前に決定していたので、各コンテンツにどれくらい時間を割り当てるかなど、細かな調整をしながら、コンテンツの中身を具体化していきました。

インターンシップ参加者が無事に決定

コンテンツづくりと並行して、新卒採用担当のしみちゃんと協力しながら、ペルソナづくり、採用基準策定、事前説明会、エントリーシートの項目策定などを経て、100名を超える学生のみなさんにエントリーしていただくことができました。事前説明会には、採用担当だけでなく現場の社員も参加して、質疑応答の対応をしたことが、このエントリー数につながった要因の一つと分析しています。 エンリーシート確認、インターンシップ面接を経て、16人の学生がfreee初のQAサマー・インターンシップに参加してくれることが決まりました。

freeeQAが24卒を対象にサマーインターンシップを実施した際のスケジュールの画像
freeeQA サマーインターンシップ・スケジュール

インターンシップ初日、はやくもピンチに!

今回は完全オンラインで実施したため、貸与PCのセットアップに時間を要したこともあり、遅れを取り戻そうとすぐにインターンシップコンテンツに突入してしまいました。初日はインプット中心の座学だったこともあり、結果として参加学生のみなさんとインタラクティブに進めることができずにいました。

1日の終わりに行うメンターとのデイリー夕会にて、学生のみなさんからは、「この夕会がなかったらたぶんこのままインターンシップを続けることができないと思った」という声が聞こえてきました。こちらとしては、2日目からは演習などで手を動かすことや、それぞれの考えを発表してもらうなどインタラクティブな内容を準備しているので、そこまで問題視していなかったのですが、オンライン開催のため何気ない会話をする場もなく、大学のオンライン授業よりも厳しいかもというフィードバックをもらい、ハッと気付かされることになります。

インターンシップ・コンテンツのうち、座学パートで利用したスライドの1枚の画像。品質保証の説明インターンシップ・コンテンツのうち、座学パートで利用したスライドの1枚の画像。インターンシップ・コンテンツのうち、座学パートで利用したスライドの1枚の画像。インターンシップ・コンテンツのうち、座学パートで利用したスライドの1枚の画像。
座学研修スライド

すばやくカイゼンするのはfreeeの強み

翌日の朝会で、さっそく参加学生のみなさんからもらったフィードバックを謙虚に受け止めていること、カイゼンできることはすぐにカイゼンするのがfreeeのカルチャーなので、これからもどんどんフィードバックをしてほしいこと、今日の座学は演習もあるのでインプットばかりにならないので安心してほしいことなどをお伝えしました。2日目の講師を担当するメンバーには、初日のフィードバックの内容も伝えた上で、コミュニケーションを大切にしてもらう方針を再確認しました。なんといっても感動したのが、プロジェクトメンバーやメンター社員が、本業もあるなか座学のmeetに入ってくれ場を盛り上げたりサポートしてくれていたことです。言われて何かをするのではなく自ら考えて行動できるfreeeメンバーの特徴にとっても助けられました。

ちなみに2ターム目は、この経験を生かし、インプット中心ではなく参加者の発言を多く求めるようにしたことで、問題なく無事に進められました。

目玉コンテンツ!ハンズオン

座学パートが終わり、今回のサマーインターンシップの目玉コンテンツであるハンズオンに入ります。学生のみなさんに実際にfreeeのプロダクトに触れてもらいたい、私たちfreeeのQAエンジニアが行っている普段の作業に近いことを体験してもらいたい、少しでも馴染みのあるプロダクトで実施したいということで、freee人事労務を使うことに決めました。その中でも勤怠、給与明細というのはアルバイトを経験していれば触れたことがあるということで、特にこの2つの機能をテスト対象とすることにしました。

プロダクトマネージャー(PdM)、開発エンジニアがそれぞれ作成するドキュメントを吸収する形で、今回のインターンシップ向けに「仕様書」を作成。freeeのプロダクトはヘルプページが充実していることもあり、「仕様書」の作成にあたっては、とても参考になります。

参加学生のみなさんに2人1組のチームを組んでハンズオンに臨んでもらいました。各チームに分かれて仕様書を読み込み、テスト分析・設計を実施してもらいます。ここでもメンター制度をフル活用し、1日4回のメンターフォローの時間を設け、またSlackの専用チャネルを作り、いつでも相談できる体制をとりました。このあたり、初めてのことで、どこまで手厚いサポートをすればよいのか、あるいはどこまで参加学生自身に考えてもらうのかというバランスが難しいところです。

勤怠のハンズオン用仕様書。打刻機能についての仕様部分の画像。給与明細のハンズオン用仕様書。給与明細一覧画面の仕様部分画像
ハンズオン用仕様書

ハンズオン2回の効果

ハンズオン1回目を終え、チームと全体での振り返りを経て、それぞれがKeepしたいこと、次回はカイゼンしたいこと、他チームの取り組みを参考に取り入れたいこと、あらたにTryしたいことなど、いろいろと考えることができていました。ここで、ハンズオン2回目に入り、それらを実践する場があるというのが、今回のコンテンツの大きな工夫の一つと言え、参加者アンケートでもとても好評だった点でもあります。

freeeの価値基準にある『アウトプット→思考』を体感してもらう意味でもこの振り返りからの2回目のハンズオンはとても良かったと思っています。インターンシップ中も日々カイゼンを繰り返している私たちの姿を間近でみている学生のみなさんには、私たちが価値基準を大切にし、かつ実践していることが伝わるよい機会になったと思っています。

ハンズオンの課題

どうしてもバグを仕込んでいるという先入観から、間違い探しになってしまう傾向があり、この点は1、2両タームを通じて感じられたことでした。あえてバグを仕込むということをせず、リグレッション・テストを実施するのも一案かもしれません。社員が一例として事前に作成したテスト設計や実行結果を共有すると、それが正解という風に捉えてしまわれがちなことも、なにか一つの正解があるという思い込みに起因しているように感じます。インターンシップ中の課題に閉じた場合、テスト設計をせずにStaging環境と開発環境を比較するという、ある意味効率的な間違い探しをすることも可能になってしまうので、Staging環境をあえて解放しないというのも必要な工夫の一つだと感じました。実際、2ターム目はStaging環境は共有せず、開発環境のみでハンズオンを実施しています。

新卒採用の流れがわかる簡単なフロー図。5月から6月にかけて説明会実施、7月いっぱいかけて書類選考と面接を実施、8月9月にインターンシップを実施し、10月11月で面接を実施したうえで、内定という流れ。
新卒採用の流れ

エンジニアトーク

QAエンジニアとしてのキャリアをイメージしやすいように、各タームで複数のQAエンジニアに登壇してもらいました。 freeeのQAエンジニアは、QA歴30年近い超ベテランエンジニア、10年前後というミドルエンジニア、新卒入社、ジョブチェンジしたエンジニアといった幅広いキャリアのエンジニアが在籍しているのが強みの一つです。 インターンシップ中に、APIテストをバリバリやっている人に話を聞きたい!なんてリクエストをもらい、急遽別枠でエンジニアトークを開催するなど、こうした柔軟さや機動力を発揮できたのもNPSに現れているのかもしれません。

また、開発チームで常に一緒に仕事をすることになる開発エンジニアを始め、PdM、プロダクトデザイナー(PD)にも登壇してもらったことで、今後のキャリアを考える上での参考になり、また外からみたQAエンジニアの理解にもつながり、QAエンジニアの解像度が高まる狙いどおりになったと思っています。

エンジニアトークのスライド。人事労務WebエンジニアとQAエンジニアの関わりについて開発フローを使って解説している図。エンジニアトークのスライド。人事労務WebエンジニアとQAエンジニアの関わりについて開発フローを使って、QAのアクションの説明している図。
エンジニアトークのスライド

参加者の工夫がたくさんみられた成果発表

成果発表のテーマを「まだQAエンジニアを知らない学生向けの説明資料作成とプレゼンテーション」としました。

今回のインターンシップは、人を評価するのではなく、あくまでもQAエンジニアを知らない学生のみなさんに知ってもらうことにしたこともあり、成果=QAエンジニアを良く知ることができたということになります。こういったことから、発表テーマを決定した経緯があります。うれしいことに、本当にみなさん様々な工夫をしてくれて、25卒採用にそのまま利用できるのではないかというものばかりでした。 この成果発表会には、多くのQAメンバーが参加して、称賛してくれたのもとてもfreeeらしくてよかったです。

成果発表のスライド。QAエンジニアに必要なスキルについての説明。成果発表会のスライド。QAエンジニアの魅力についてのスライド。成果発表会のスライド。QAエンジニアにとって大切なこと1成果発表会のスライド。QAエンジニアにとって大切なこと2。
成果発表のスライド

充実したメンターの関わり

コンテンツを準備したり、講師をしてくれたメンバーに加え、なんといってもメンターを担ってくれたQA社員の貢献が、このインターンシップの成果につながっていることは間違いありません。 初めてのことで加減もわからず、学生2名に対してメイン・サブを分けずに2名の社員をメンターとしてアサインしました。経験を通じて、学生2名に1名の社員でも問題なくいけそうということが分かったのも、今回快く協力してくれたメンター社員のおかげです。 デイリー夕会や数回実施した1on2に加えて、ハンズオン中の数時間おきのフォローアップ、成果発表資料づくりのサポートと、freeeの開発文化にある『世話を焼くするスタイル』のまさに実践となりました。参加者のアンケートでも、メンター社員をバイネームでかなりの分量の感謝の言葉があったことからも、どれだけしっかりと寄り添えていたのかを実感することができました。

インターンシップ参加学生につくメンターのためのスケジュールの画像
メンタータイムスケジュール

学生のみなさんに泣かされた!

1タームの最終日。休憩後にmeetに入ると、学生のみなさんの壁紙が変わっていることにすぐ気がつきました。

参加学生がサプライズで準備していた壁紙。freeeのブランドチーム進めたリブランディングのときに作成されたイラストを使った壁紙。パン屋さん、花屋さんなど複数のスモールビジネスの方のイラスト。
参加学生がサプライズで準備していた壁紙

2週間、フルコミットで走り続けていたこともあり、学生のみなさんの粋な計らいに思わず涙がこぼれてしまいました。初日にメンターに「このままでは続けられないかもしれないと思った」というある意味最悪のスタートから、しっかりとリカバリーし、事前準備の効果、メンターのホスピタリティ、随所でfreeeらしさを感じられるインターンシップだったからこそ、こうした感謝の言葉につながったのだと思います。

全員選考を希望、NPS 93.8

私たち社員が何気なくしている会話からもいわゆるフラットな組織で自由に意見が言いあえることが伝えられるのも、インターンシップならではのことかもしれません。事前説明会でもそうした雰囲気は感じてもらえたと思いますが、1時間程度の説明会と2週間という期間では、その伝わり方はまったく違ってきます。私たちが自然とできていることが、学生のみなさんに良い印象を与えるというのもとても良い機会になったと考えています。

2ターム目もいくつかの課題を乗り越え無事に終了し、NPSを計測したところ「93.8」、全員がfreeeの選考に進んでくれるという、本当にうれしい結果となりました。

推奨度のヒストグラム。推奨者15人、中立者1名、批判者0名。NPSの求め方とインターンシップのNPS。NPS=推奨者の割合-批判者の割合。インターンシップのNPSは推奨者の割合93.8で批判者の割合が0なので、結果93.8。
NPS

参加者の声
  • 私の課題点に対してきちんと向き合ってくださり、インターンシップだけでなく、研究や私生活でも活かせそうなアドバイスをくださいました。とてもありがたかったです!2週間、本当にお世話になりました!!!!

  • メンターのお二人には様々な質問をぶつけてしまいましたが、一つ一つに丁寧にお答えいただき、ハンズオンをスムーズに進めることができました。また、1on2の夕会ではキャリアについて考えていること、少し迷っていることを親身になって聞いてくださり、それぞれの職種の実際(苦労していることも含めて)をお話しいただけたのは本当にありがたかったです。加えて、フィードバックをいただく際は、goodだけでなくmoreもしっかりと伝えてくださったので、本当に良い成長の機会だったと思います。お二人から学ばせていただいたことを、今後の就活や就活後にしっかり活かしていきたいと思っております。

  • 1on2では仕事に対する姿勢とか大事にしていること、軸にしていることなどを教えていただき今後の就活だけでなく、仕事をする際にも参考になると思うのでとても感謝しています。

今年もfreeeのQAエンジニア サマーインターンシップを開催します!

24卒インターンシップの経験を生かして、今年も開催に向けて準備を始めたところです。 後任のオーナーもアサインされ、いよいよ25卒採用も本格始動します。 今回、この記事を書いたのは、タイトルどおりの内容をアピールしたいという部分も正直なところありますが、それよりもQAエンジニアという職種が学生のみなさんに知られていないという共通の課題を抱えている方にとって、なにかアクションのきっかけになったり、今抱えている課題の解決に繋がればうれしいという純粋な思いの方が圧倒的に強いです。 あえてタイトルで釣っているかもしれませんが、内容を見ていただければ私の思いはしっかりと伝わると思っています。

最後に改めて、freeeQAの初めての新卒採用、インターンシップに関わってくれたメンバーへの感謝と、初めて開催したインターシップに参加してくれた学生のみなさんに感謝したいと思います。

ありがとうございました!

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*1:1名はQAエンジニアを良く知ることができたことで、開発エンジニアの選考を希望

*2:※NPS(Net Promoter Score、ネットプロモータースコア):顧客満足度に変わる顧客ロイヤルティを測る指標