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freee EM NT (Ninja Talk) 大会を開いたぞ!

こんにちは、 freee でエンジニアリングマネージャー (以降 EM) をやっている sentokun と申します。 この記事では、先日 freee 内で開催した EM の Ninja Talk (以降 NT) 大会の背景や当日の様子を紹介します。

開催の背景

NT 大会を開いた背景は、一言で言うと「アウトプットを通して、チームの不確実性に立ち向かうための集合知を作りたい!」です。まずは背景について説明していきます。

チームの不確実性に立ち向かうエンジニアリングマネージャーこと EM

プロダクトの価値をユーザーに最速で届け続けるには、プロダクトの理想について向き合うこと、そしてどうユーザーに素早く提供するかを考えることが重要です。そのためには様々な観点での理想を追求する必要があるため、役割を分けてチームで連動して動くことが大事です。

例えばプロダクト開発の中では以下の理想とそれをリードする役割が存在しています。

  • 理想のソフトウェアアーキテクチャ→テックリード
  • 理想のプロダクト体験→プロダクトマネージャー
  • 理想のユーザー価値を実現する → そのリード人材 (freee の名称では PdL、プロダクトリード)

では、理想のチーム体験については誰がリードするのか?を考えてみると、エンジニアリングマネージャーがその役割に当てはまると考えられます。

以前に freee のカルチャーとも絡めて近しい話を記事にしたので、興味がある方は以下を参照ください。 developers.freee.co.jp

では、理想のチーム体験とはなんでしょう?

これはチームの文化や特性によって変わってくると思いますし、理想に至るまでの短期的、中長期的な状態目標もチーム状況や体制、成熟度合い等色々な要素によって変わってくると思います。例えばチーム全体の底上げからはじめる、理想を考えられるリード人材を育てる、マネージャー含めチーム全体のマインドを切り替えるなど。

要は、理想のチーム体験を目指すことは、ソフトウェア開発のように不確実性の高い行為であり、 EM はそんな不確実性に立ち向かうエンジニアのような役割を担っているのではないか?と考えます。

不確実性に立ち向かうための学びを得よう。そうだ、 NT 大会だ!

ソフトウェアの世界で不確実性に立ち向かうには?検査と適用が重要です。経験を重ね、学びに繋げ改善を繰り返すサイクルを回すことが大事。理想のチーム体験を目指す不確実性でも大事なことは変わらないはずです。

この学びを得るためには、実際にチームで色々なトライをしていくことも重要ですが、同じように学びのサイクルを重ねている EM たちが得た様々な経験も使えると良さそうです。チーム状況や体制、成熟度合いで理想像は変わるからこそ、色々な状態のチームに関する経験を共有し、集合知を作っていけると価値は高そうです!

また、 EM に求められる期待値について考えると、銀の弾丸や方程式自体はないですが、効果のある振る舞いや期待値、ノウハウ自体は存在しています。ファシリテーション、コーチング、メンタルコントロールのようなスキルやスクラム開発のようなプラクティスなど。そうすると、やはり各自での体験を幅広く集め、学びの共有ができるとよさそうです。

そんなわけで、学びを共有する活動を freee 内でやっていきたい!という思いで、 EM たちの中で様々な取り組みが生まれてきています。相談会での悩み共有、勉強会でのインプット、アウトプットによる思考の深掘り

そんな取り組みの中で、社内登壇を通してアウトプットできる機会として Ninja Talk 大会を開催しよう!という運びになりました。

EM NT 大会とは

EM NT大会は、1 人 10-15 分程度で各自が自由に EM に関する発表を行う会です。合間合間に質問回答時間を挟みつつ、ゆるめにトーク。オフライン組は会議室で集まり、オンライン組と Google Meet で合流してわいわい発表する形式をとっています。

オフラインでの様子
オフラインでの様子

オンラインでの発表
オンラインでの発表

ちなみに、第一回の当日は EM LT 大会と呼んでいたのですが、Lightning Talk は厳密には 3-5 分時間厳守の発表大会であり、上で書いたようなゆるゆるとした会には不適切な名前であるため、最近改名しました。Ninja Talk という名称は、大江戸Ruby会議などで使われている名称とのこと。

参考: LT 大会の歴史 ライトニングトークスの歴史(original version)

第一回 EM NT 大会の様子

freee では、社内イベントを行う際慣習として slack でわいわいやりとりをするスレを作ります。以下は当日のわいわいスレなのですが、合計 413 件のやりとりが行われる賑やかな場となりました。

第一回 EM NT 大会わいわいスレのキャプチャ。 スレ内では 413 件のやりとりが行われた
第一回 EM NT 大会わいわいスレのキャプチャ

第一回の EM NT大会では、7 人が話をしてくれました。ここからは各自の発表内容を簡単に紹介します。

1人目. はじめに - EM NT 大会はマジ価値につながるの? - sentokun

まずは私から。会の説明兼発表として、この記事の冒頭で書いた内容を話しました。

チームで価値を出すことへの共感や、理想のチーム体験がいい表現だというお褒めの言葉をいただきました。嬉しい

1人目に対するわいわいスレの反応
1人目に対するわいわいスレの反応

2人目. EMになるまでとそこから部長をやるに至るまでの流れと変化 - sohda

2 人目は今年 7 月に freee の部長に就任した sohda さんです。 一チームをリードしていたマネージャー時代→エンジニアリングマネージャーとして複数チームを見る体制へ遷移した際の実体験と、部長就任後のさらなる期待値の変化を話してくれた形です。

ちなみに sohda さんは過去に freee Tech Night でも EM としての話をしてくれています。 www.youtube.com

当日は、個人成果やチームでの成果など、求められる期待値に対してどのように頭のリソースを使ったかを役割ごとに紹介。 sohda さん自身が意識してくれていることについて語ってくれました。

2人目に対するわいわいスレの反応
2人目に対するわいわいスレの反応

3人目.「言語化」を助けるツール - taiyo

3 人目で話してくれたのは、freee 新卒生え抜きから部長になった taiyo さん。少し前までは以下記事で紹介しているコアエンジンチームを率いており、最近は新しい部に異動。その部がもたらす価値や組織成長の言語化に奔走してくれています。

www.wantedly.com

そんな taiyo さんは、「リーダーにとって、抽象的な物事を的確に捉え、言語化し、伝達するスキルは重要な要素」という点からゼロ秒思考 に書かれている言語化手法を紹介してくれました。

言語化したいテーマに対してノートを使って自問した結果の思考を書き下していくことで、直感が言語化につながっていくというアプローチ。 taiyo さんはこの方法で、実際に新しい部署で言語化を進め、アクションに繋げていました。

スレを見返してて、デ○ノートで出てきたノートの隠し方が出てきて笑いましたw

3人目に対するわいわいスレの反応
3人目に対するわいわいスレ

4人目. 強みを活かす!!(こんなこと思考してます!) - sassy

4 人目はギャラップ認定ストレングスコーチという、ストレングスファインダーに関する資格を持った sassy さんの登壇です。人にはそれぞれ違った強みがあることを理解し、最強のチームを作ろう!という話を、アニメ けものフレンズ を例に出してわかりやすく解説してくれました。

みなさんストレングスファインダーに興味津々でした。

4人目に対するわいわいスレの反応
4人目に対するわいわいスレの反応

また、sassy さんは freee 技術の日でも発表をしてくれており、自分の強みを活かして積極的に活動してくれています。動画リンク

speakerdeck.com

5人目. 視座を上げたい - ichien

「視座あげたいよね? 」「あげたい!!!」という真っ直ぐなメッセージからはじまった登壇。中部オフィスでマネージャーをやっている ichien さん(Xアカウント @ichien178) が、EM としてチームにフォーカスしつつ自己研磨を続けることの大事さについて語ってくれました。

自分を磨くためにインプットを増やし、色々な人と話をし、先を見据えた Why について考えることが大事。そのための一つの取り組みとして発表でアウトプットしていくぞ!という思考と行動が重なったわかりみの深いいい話でした。アウトプット駆動、めっちゃいい

5人目に対するわいわいスレの反応
5人目に対するわいわいスレの反応

6人目. EMとしてのポジションが変わると何が起きるか(マネージャー〜VPoEまで) - yoshi

6 人目は freee の VPoE である yoshi さんの発表です。マネージャー時代から課長、部長、事業部長、VPoE というキャリアの遷移を通して、期待値の変化を言語化して話してくれました。自分としては、部長あたりで「自分の意思決定が、メンバーの人生に影響を与える」という意識の変化があったという話が印象に残っています。

6人目に対するわいわいスレの反応
6人目に対するわいわいスレの反応

yoshi さんは freee 技術の日でも VPoE として開発組織作りについて語ってくれていますので、興味ある方はどうぞ。動画リンク

speakerdeck.com

また、組織の不確実性というテーマでめっちゃいい話をされた記事がこの blog を下書き中に公開されてたので、こちらも併せてご覧ください。

ttj.paiza.jp

7人目. マネジメント範囲が変わるということ - mattsun

最後は mattsun さん。これからご自身のマネジメント範囲が変わっていくということで、より俯瞰した立場でチームの成長に貢献していくためにどうすればいいかの思考を発表してくれました。範囲変更によりプレイヤー的役割を手放す必要がある話には共感の声が上がっていました。その後の質問スレでも EM の成果ってなんだ?コーディング = エンジニアなのか?といった話題に展開していてめっちゃ面白かった。

7人目に対するわいわいスレの反応
7人目に対するわいわいスレの反応

mattsun さんは、ご自身の EM としての取り組みを freee 技術の日でも話してくれています。発表資料は以下、動画リンク

speakerdeck.com

第一回をやってみた感想

狙い通り学びの共有ができたとともに、各自が EM の価値について思考するきっかけになったいい会だったと思います。とても良かった (小並感)。当日に第二回の登壇募集をかけたのですが、"手を挙げるドリブン" という造語が生まれ、すぐ反応が来たので感謝でした。

また、発表の合間で質問や感想を言い合う時間を設けたのですが、そこでも聞いてくれた人の疑問に答えたりそれぞれの意見交換ができたのがめちゃめちゃよかったなと感じています。スレの中にはラジオ感覚で楽しく聞いてくれる方もいました。

今後やっていきたい取り組み

アウトプット駆動を続けるためにもこういった NT 大会は続けていこうと思いますし、より日常的に EM について思考し意見交換できるようなコミュニティを freee 内で育てていけるといいなと思っています。こういった活動がボトムアップで生まれていくのも freee らしい文化なのかなと思うので、肩肘張らずに楽しめる場が増えていけばいいなと思います。