freeeの開発情報ポータルサイト

freee にとって、いいチーム・エンジニアリングマネージャーはマジ価値につながるの?

こんにちは、freee の 権限管理基盤マイクロサービスを開発するチームでエンジニアリングマネージャーを務めている sentokun と申します。私の現在の仕事は、もっぱらピープルマネジメントやプロジェクトマネジメントです。チームのために尽力しています!

freee には、マジ価値 というカルチャーがあります。なにがユーザーにとって真に価値のあるのか?を考え行動することを大事にしたカルチャーです。例えば freee の開発担当者であれば、ユーザーにとって使いやすいいいプロダクト機能を開発することがマジ価値に繋がるといった形です。

では、プロダクト機能を直接開発するわけではなくチームのことに尽力している私は、果たして freee にどんな価値をもたらしているのか?チームやエンジニアリングマネージャーは、freee ユーザーへ提供するマジ価値にどう繋がるのか?

この記事では、チームとエンジニアリングマネージャーの価値について考えていこうと思います。以下2点の疑問を深掘りすることで言語化していきます。

  1. freee にとって、いいチームはマジ価値に繋がるの?
  2. いいチームを作るには、エンジニアリングマネージャーは必要?

Q1. freee にとって、いいチームはマジ価値に繋がるの?

まずは、 freee にとってチームは価値につながるのか?について考えていきます。

ミッションから見るチームの価値

freee のミッション。 corp.freee.co.jp

freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、統合型経営プラットフォームを開発・提供し、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくっていきます。

起業やビジネスを育てていくことを、もっと魅力的で気軽な行為に。個人事業や中小企業などのスモールビジネスに携わるすべての人が、じぶんらしく自信をもって経営できるように。

スモールビジネスに携わる人がじぶんのやりたいことに集中できるよう、統合型経営プラットフォームを提供し freee を使えばなんでもできる世界を作ることを目指しています。

そんな統合型経営プラットフォームを実現するために、 freee では色々なドメイン領域に詳しいチームを立てています。freee 会計、freee 人事労務、freee 販売など様々なユーザー向けプロダクトを提供しています。また、そういったプロダクトの体験を合わせ、進化を加速させるために freee 社内向け基盤プロダクトを用意し、プロダクトを支えるセキュリティやインフラなどの技術に対しても注力しています。

このように、統合型経営プラットフォームとして各方面を成長させていくためには freee 全体で考えると多様なスキルセットが必要となります。そしてその体制を作り上げるには専門的な必殺技を持つ人たちでチームを組み、チーム同士が連動してプラットフォームを作り上げていく活動が不可欠となります。

カルチャーから見るチームの価値

freee のカルチャーであるマジ価値、その中には 2 つの原則として、社会の進化を担う責任感、ムーブメント型チームがあります。この 2 点とチームの関係についても考えていきます。

jobs.freee.co.jp

ムーブメント型チームについては、以下のようにチームそのものについて言及しています。

ミッションに共感し集まった仲間たちが自律的にアクションを起こす。その熱狂が伝播することで、より良い相乗効果を生み出していく集団である。

一方、社会の進化を担う責任感についてはどうでしょう?

社会全体を前に推し進めるべく、社会に信頼される存在であると同時に、本質的であればあえてリスクを取って挑戦していく。

上記は社会の進化を担う責任感の定義です。その内容について深掘りしていきましょう。

まず社会に信頼される存在であるという文言についてフォーカスしてみます。信頼される存在であるためには、プロダクトを通して安定した成果を提供し続けることが重要です。そのためには、個々人の能力を発揮するだけではなく、誰かが調子が悪くても他の人が支えられるような、継続的な安定したパフォーマンスが出せるチームが必要となると考えます。

今度は社会全体を前に推し進めるという面にフォーカスしてみます。社会を進めるような影響を与えるには、安定した成果だけではなくスピード感を持った進化をしていくことも重要です。もっとこうして欲しいというユーザーからの期待は山のようにありますし、その期待に答えることで事業も拡大しより大きな価値が出せるようになる。そう考えると、1人1人でできることの限界を超えるべく、チームで束になることで限界以上のスピード感を持って大きな価値を出すことができるようになります。

本質的であればあえてリスクを取って挑戦していくの部分も見てみましょう。挑戦をしていくには、定型化したものごとに対しても疑問を投げかけて改善していく必要があります。これもチームによる多角的な視点が得られることで加速しそうです。また、新しいことに飛び込むことなどを受け入れるチーム文化が必要となります。

というわけで、社会の進化を担う責任感で言及されている要素からも、以下のようなチームの必要性が見えてきます。

  • 継続的な安定したパフォーマンスの維持
  • スピード感を持って大きな価値を出す
  • 多角的な視点により本質に向かう

A1. freee にとって、いいチームはマジ価値につながる!

というわけで、 freee のミッション・カルチャー両面からチームの価値を見てきました。いいチームを作ることがマジ価値につながる面について実感できてきたのではないかと思います。 いいですね、いいチームを作って、価値を届けていきたいです。

Q2. いいチームを作るには、エンジニアリングマネージャーは必要?

freee にとってチームに価値があるのはわかりました。では、エンジニアリングマネージャーはどうでしょう? 自己管理型組織の理想はマネージャーがいない状態で回る組織だという声もよく聞きますが、果たしてエンジニアリングマネージャーという役割は必要なのでしょうか?

いいプロダクトを作るには?のプロダクトをチームと置き換えて考えてみる

コンウェイの法則というものがあります。「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」という法則です。参考

要は組織構造がプロダクトに影響を与えるという考えです。さらにはその考えを逆手にとり、いいプロダクト構造をベースにそれを実現するための組織構造を設計するという逆コンウェイの法則なんていうのもあったりします。

この記事では、逆コンウェイの法則の発想を参考に、いいサービス・プロダクトづくりに必要なものとは?を考え、そこからいいチームづくりに必要なものについて考えてみようと思います。

いいチームを作るには、テックリードが必要だ

コンウェイの法則の話に触れると、よく組織構造 = システムアーキテクチャでなぞらえた話が出てきます。というわけで、まずはアーキテクチャについて考えていきます。

サービス提供の初期段階について考えましょう。その時点ではまだサービス全体が大きくなく、アーキテクチャも全体に目が届きます。ここまではパワープレイでもなんとかなるでしょう。

では、ある程度規模が大きくなっていくとどうでしょう?プロダクト数が増え、個人では全体が把握できなくなります。そのため、テックリードによりアーキテクチャ設計やドメイン設計などを通じて、把握可能な状態になるよう適切な構造設計をする必要があります。

一方で、組織・チーム構造はどうかというと、同じような状態だと思います。最初のうちは組織規模が大きくないので全体に目が届きます。

しかし、プロダクト数が増えるとそれに従い人も増え、全員のことを把握しきれなくなります。そのため、なんらかの構造化を行い把握可能な状態になるよう適切な構造設計をする必要があります。

というわけで、チームに対してもテックリードのようなアーキテクチャ設計をする人が必要となります。

いいチームを作るには、プロダクトマネージャーが必要だ

プロダクトを成長させるには、技術的な構造だけではなくユーザーにとっての価値について深く考える必要があります。現時点で提供できる価値だけでなく、今後なにを提供すれば価値につながるのかを考え計画するのがプロダクトマネージャーの仕事だと考えます。

一方で、チームを成長させるにも、価値を提供し続けられるような体制を考える必要があります。現時点でチームとして大きな価値が出せるような体制を考えるだけでなく、今後どうすればチームがより大きな価値を出せるのかを考え、育成計画をしていく必要があると考えます。

いいチームを作るには、プロジェクトマネージャーが必要だ

プロダクトに対して価値を提供し続ける際、計画を立て、その状況をウォッチし変化に対応するプロジェクトマネージャーがいると安定します。

成熟したエンジニアが回すプロジェクトであれば、もしかしたらプロジェクトマネージャーがいなくても回るかもしれません。しかし、ソフトウェア開発は不確実性のあるもの。何かしらの想定外の問題が発生するものです。その際に定点で状況を観察するプロジェクトマネージャーがいることで、安定した状態に近づけることができます。

一方で、チームにとっても、育成計画を立てて状況をウォッチし変化に対応するピープルマネジメントをする人がいると安定します。

成熟したメンバーであれば自律して回るかもしれませんが、不確実性のあるソフトウェア開発の中で働くエンジニアたちです。なにかしら想定外の問題が発生すれば、チームも不安定になることもあります。また、人生は仕事だけではないわけで、開発以外でもなにかしらトラブルが起こることもあります。その際に定点で状況を観察する人がいることで、安定した状態に近づけることができます。

A2. つまり、いいチームを作るには、エンジニアリングマネージャーが必要だ

今までの話を総括すると、いいチームを作るには、以下の振る舞いが必要となりそうです。

  • テックリードのように、チームのアーキテクチャを考え、 (Team build)
  • プロダクトマネージャーのように、チームの価値を考え、 (Team & Culture Management)
  • プロジェクトマネージャーのように、状況を把握し安定に近づける (People Management)

このような振る舞いは、まさにエンジニアリングマネージャーに求められる責務と考えられます。 実際開発の上でもテックリードやプロダクトマネージャーといった役割の必要性については、エンジニアとしては体感しているところがあると思います。それと同じように、マジ価値を追求するためにチームを作ろう!そのためにチームを適切に設計していこう!という役割としてエンジニアリングマネージャーを当てることの必要性も腹落ちしてくるんじゃないかと思います。

A2 補足. freee 内ではエンジニアリングマネージャーをどう捉えてるの?

現在 freee では様々なキャリアパスを想定した役割定義 *1 をしており、その中で EM (=エンジニアリングマネージャーの略) を以下のようになっています

  • Team build
    • チームミッションを実現するための強いチーム作り
  • Team & Culture Management
    • チームを育て、継続させる
    • チームのカルチャーを育て、より強いチームにする
    • 真の意味での心理的安全性を醸成する起点となる
      • それぞれの考えや感情、懸念、疑問、アイディアを素直に表に出して議論できる環境を作る
  • People Management
    • メンバーの特性に寄り添い、メンバーの成長速度を最大化する
    • メンバーのモチベーションを最大化させ、それをチームや会社のミッションとアラインさせる

先ほどの考えとも噛み合っていますね。逆コンウェイの法則ベースで私なりにエンジニアリングマネージャーの価値について考えた結果、 freee の中で深掘りし始めた EM というキャリアの期待値に重なるのは面白いところがあります。ロジカルに価値を考えると収まるところは近くなるのかもしれませんね。

さいごに. freee にとって、いいチーム・エンジニアリングマネージャーには価値がある!

freee にとってなぜチームやエンジニアリングマネージャーがマジ価値をもたらすのかについて言語化してみました。この辺一度アウトプットしたかったので大変満足。いいチームを定義して理想を追求することが、プロダクトがスピード感を持って価値を出すことにつながるということが見えたんじゃないかと思います。

直接のプロダクト開発だけではなく、開発に関わる全てのことで価値を追求できるのが、マジ価値を文化とする freee のいいところだと思います。なんでもハックしたい・エンジニアリングして解決していきたいと思う方にとって面白い取り組みも多いかなと思います。

freee に興味を持たれた方はぜひ採用も覗いてみてください!

*1:freee の人たちが様々なキャリアパスで活躍できる道筋を作るための活動。定義は社内で日々アップデートしているので、記事内の記載は 2024/02/15 時点のものとなります。