家庭内インフラエンジニアのすゝめ

どうもこんにちは。いつでもどこでも五里霧中。自分はどこへ案内すれば良いのか。 freee では蕎麦打ちの空き時間でエンジニアをやっている仙波です。

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本記事は freee Developers Advent Calendar 2017の 14日目です。

今年のアドベントカレンダーも折り返し地点を過ぎました。

この時期は新そばも出回っている関係で本業が忙しく、今年のアドベントカレンダーをまだ追えていません。 おすすめの記事があったら教えてください。

f:id:inage782:20171214124453p:plain昨日の社内蕎麦打ちワークショップ

さて、そろそろプリンタが動かないって実家から電話がかかってくる季節ですよね。インクの発注は済ませましたか?

今年はみんなスマートスピーカーや IoT 、ブロックチェーンやら機械学習やらについて書いていると思うので、自分はその前段階について書きたいと思います。

テーマは「よくわからないけど難しそう(だからイヤ)」を超えていくです。

家庭内インフラエンジニアとは

ご家庭内でいちばん難しそうなことに詳しいと思われている人のことで、情報技術や機械に強そう実家と比較して都会に住んでる若い、などといった、本人の能力にあまり関係ない要素で判断されがちな、独断と偏見でいうとこの記事を読んでるあなたのことです。

あれですよ、パソコンに詳しい = DVDプレイヤーにも詳しいっていう謎の図式ありますよね。(あとなぜか LED 電球にも詳しい) よくある家庭内エンジニアの定期イベントと言えばこんな感じでしょうか

  • 時候のお便り(プリンタが動かない!はがきの図案作って!)
  • OS/アプリのアップデート判断(ポップアップが出た!よくわからない!)
  • 機械の故障(何もしてないのに動かなくなった!)

大変だ。

一緒に住んでいればなんとか出来るけれども遠隔地から電話越しにデバッグは辛い。*1帰省も辛い。

でも家族だしそれくらいはほいさかとやってあげたい。

この記事はそんなご家庭の期待を一身に背負ったあなたへのエールです。

世は大デジタルデバイド時代

そうです。世はまさに大デジタルデバイド時代です。この情報格差の大海原を乗り越えた先には安息と信頼とリスペクトを得られるはずです。

エンジニアはリスペクト無くして生きていけません。

最大限のコスパでリスペクトを得ることこそその本分ではないでしょうか?

デジタルデバイドとは

いわゆる IT を活用できる人と出来ない人の間に横たわる格差のことです。

ユビキタスコンピューティングな世界に向けて順調に進歩している昨今、自分が必要な情報を入手したり活用したり検証したりする能力差がさまざまな要因で大きくなり、IT を活用できない人が被る不利益も大きくなっています。

ほらあれですよ、独居してるうちの田舎のばあちゃんがよくわからないままに家電量販店と高額なサポート契約を結んで、インターネット回線もないのに数世代遅れの使えもしない定価のパソコンを買わされたりするの、想像するだに許せないじゃないですか。

自分が扱えるリソースと必要なサポートの加減を把握し、継続的な啓蒙を行っていくことで家庭内の情報リテラシーを底上げしていく。そんな家庭内インフラエンジニアの重要性は年々高くなっています。

「よくわからないけど難しそう(だからイヤ)」を超えていく

食わず嫌いならぬ触らず嫌いをいかに超えていくか、デジタルデバイドが家庭内インフラエンジニアに立ちふさがる最も大きな問題です。 なにごとも懇切丁寧に説明するほど、よくわからないけど覚えることが多くて難しいのだなと思われがちです。

そこで機能を限定しハードルを下げ、既存のサービスを置き換えていくことで難しいのハードルを下げていく必要があります。 駅の掲示板は使われなくなり、固定電話の番号は契約に不要になって久しく、公衆電話はほとんど見かけなくなりました。

すべて携帯電話が代替していったわけです。

というわけで、自分の経験を一例に、こんな事が必要だよなというお話です。

シュレディンガーの独居ばあちゃん(あるいは IT が苦手な人に携帯電話を導入した話)

先日、数年がかりで二人の祖母への携帯電話の導入が完了しました。

携帯電話の導入はあくまでも手段であって目的ではありません。家庭内のコミュニケーションを円滑にするのが目的なのです。安否確認サービスではコミュニケーションの機会は増えません。

個人的な持論として「親の代わりに祖父母孝行」というのがありまして、たんに親孝行だけをするよりも、親に代わって祖父母に孝行すると親の親孝行代わりにもなるという、孫への投資の逆バージョンというか、そんなサイクルがいいなと思っています。

ただ、そのためには複数世代間での円滑なコミュニケーション手段が必要でして、そのコミュニケーション手段、話題の提供も家庭内インフラエンジニアの腕の見せどころだと思うのです。

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自分の持つリソースを把握する

無理をすると体と心を壊す*2ので、なるべく負担の総計が小さくなるように考えることが必要です。

そのためにはまず己を知ること。いま現在で目的に近似したことに対して支払っているリソースを確認する必要があります。

自分の場合は以下な感じ

  • 実家に帰るのは年に一回数日程度。あと冠婚葬祭
  • 年賀状とか面倒なので送らない
  • 季節のギフトも送らない
  • 月に一回くらいは電話で近況を確認する
  • たまの食事代くらいは出す

家族仲が悪いわけでもなし、子供がいるわけでも無いのでまあこんなもんです。

可処分所得や可処分時間はいきなり増えるものではないので、この範囲から大きく逸脱しないよう計画しました。

興味を持ってもらう

何事も満たされた状態では変化は望むべくもありません。不便かどうかなんて結局は主観です。

自分が携帯電話を使えるようになることでどういった変化が起きるか、それを具体的に想像してもらい、相手から導入したいものに対してコミュニケーションを取りたいな、と思ってもらえる環境や状況をつくることが肝要です。

今回導入してもらいたい携帯電話は固定電話と比べ利点と欠点がはっきりしています。

携帯電話の利点
  • 外出先から連絡をとることができる
  • e-mail の送受信ができる
  • カメラ代わりになる
携帯電話の欠点
  • こまめな充電が必要
  • 料金体系が複雑
  • 紛失しやすい
  • 壊れやすい

といったところでしょうか。

また、いまならスマートフォンとフューチャーフォンが選択肢に上がりますが、これは必要な機能と目的に合わせてフューチャーフォンを選択しました。

導入までの実施計画をたてて実行する

興味を持ってもらうには、利点をわかりやすく見せ、欠点をなるべく小さくする必要があります。 すでに固定電話を扱うための基本的なスキルを持っているということは分かっているので、そこに合わせた計画を考えました。

  1. 使用感の確認・機能の紹介
    • 実際に通話を途中で代わる
    • カメラ撮影を行ってもらう
    • メールによる情報共有を体験してもらう
  2. ユースケースの想定と対処
    • 充電のタイミング、場所などのルールや指針を決める
    • 首掛けストラップなどのオプションの供給・装備
  3. アフターフォロー
    • 単純化によるサポートコストの低減
    • 自分が料金を払っちゃう

というわけで三段階!

帰省の度に電話を使うところを見せ、家族との電話を途中で代わったり、近況報告を写真を使って行いつつ、ちょっと連れ出しては一緒に撮影をして家族にメールで画像を共有するのを体験してもらい、検討段階に入ってからはもうどれだけ普段の運用を単純化するかなので、ユースケースを想定して落とし込むだけです。

利用契約は更新や変更も含め面倒なことが多いので自分名義で契約を行いましたが、実際に使ってもらえないと意味が無いのでとりあえず買ったげるってのはやめました。

家の隅に転がるガジェットの分だけ、人は成長するのです。

未来を見せる、運用をまわす

携帯電話は多機能なので個々の要素を分解していけばさまざまなサービス導入へのハードルが下げることが出来ます。音声検索の布石はすでに打っているので、スマートスピーカーは来年にも導入できるでしょう。

日常的にネットワークにつながる導線さえ作れば、安否確認とか余裕です。

「よくわからないけど難しそう(だからイヤ)」を超えていく過程を体験してもらっていくことで、巡り巡って円滑な家庭内インフラの運用がまわるってもんです。ぐるぐる。

ちょっと時間ギリギリまで*3記事を書いているもので、まとまっているかまとまっていないかは記事を公開して冷静になった自分に判断を任せ、最後に事前インタビューした付録を書いて終わります。

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付録: 本職にコツを聞いてみた

弊社の CIT チーム(ざっくりいうといわゆる情報システム部門)にもありがたいコメントをもらいました。

ITスキルの底上げは無理なので自分で降りていくことが肝要

(相手の能力に)期待しすぎない。まずは1番かんたんな方法から試してもらう。

監視ツールかリモートデスクトップ

(相手の能力に)期待しすぎない。あらかじめ調査手段を仕込んでおく。

PC故障はオンサイト保守(駆けつけ修理)

(自分の能力に)期待しすぎない。メーカーさんに任せた方が無難。距離の壁は厚い。

取りまとめ役を指名する

遠隔のオフィスの場合は取りまとめ役を指名すると負荷分散が効いてよいそうです。

  • 連絡役として応対が出来る
  • 実務的には総務寄り。技術に詳しくなくても良いし、物理対応できなくてもよい
  • ヘルプデスクは総務兼務で30~50人規模くらいから必要

とのことです。400人以上に膨れ上がった弊社を支える CIT のコメントは家庭内インフラエンジニアにも共通点の多いためになる話ですね。

さて、明日は弊社のエースエンジニアふすたんこと id:foostan のキーボードまみれなキーボード愛が炸裂する予定です。お楽しみに!

*1:メールやチャットが使えたら御の字だ

*2:去年のアドベントカレンダーもそんなネタ

*3:12/14 16:51現在