こんにちは。フリー人事労務でQAエンジニアをしているyamaeriです。 freee QA Advent Calendar2024 2日目です。今日は私がグローバルQAエンジニアチームのマネージャーになってみた話をします。
自己紹介
私は2022年4月にフリーにQAエンジニアとして入社し、半年間はフリー会計のQAを担当していました。 QAは「Quality Assurance(品質保証)」の略で、QAエンジニアとはプロダクトを本当にリリースして大丈夫なのか、事前にプロダクトをテストする計画を立てたり、テストの実施をしたり、品質の改善に向けた活動をするエンジニアのことです。
入社して半年が経つ頃、「英語、話せますか?グローバルチームがあるんだけど...」と話をいただき、グローバルチームへ異動することとなりました。それからずっとグローバルチームでQAエンジニアとして働いています。
グローバルQAエンジニアチームって?
海外の開発拠点を作るということで、Likha-iT(フィリピンの開発会社)がフリーグループにジョインしています。 詳しくは私がAdvent calendar 2023で公開した下記の記事をご覧ください。
グローバルチームで働くQAの日々 - freee Developers Hub
新規サービスなどの開発を担うことの多かったグローバルチームですが、最近はフリー人事労務など、すでにある大きなプロダクトの中の一部分を担当することも増えてきています。
なぜマネージャーになったか
フリーではマネージャーのことはジャーマネ(JM)と呼ばれ、見習いのお試しマネージャーのことはアソシエイトジャーマネ(AJM)と呼ばれます。 正確に言えば現在の私はAJMの立場ですが、読みやすさのためにマネージャーとして記事内では表記します。
私は以前から「チームで何かをやること」や「人の成長に関わること」に興味がありました。 私は趣味でバンド活動をしており、ドラムやキーボードの演奏を担当しています。音楽というのは一人では作ることはできず、他の楽器の担当者と協力して一つの曲を演奏するものです。 その中で、どうしたらバンドとして調和が取れた演奏ができるのか、どのような演奏をしたら聞いてくれる人たちに心地よい音楽を届けることができるかなどを考えるようになり、「バンドというチームで曲を演奏する」ことを意識するようになりました。
また、私は学生時代に塾講師や家庭教師などのアルバイトを長く続けていました。生徒に勉強を指導する中で、今までわからなかったことがわかるようになって成績が上がりお礼を言われたときや、志望校に合格して喜んだ生徒の顔を見たときに、とてもやりがいを感じていました。
それらの経験を経て、会社という組織の中でチームをより良くしていきたい、メンバーの成長を支援したいという気持ちが生まれ、マネジメントに挑戦したいと考えるようになりました。 入社して以来、ことあるごとに「マネジメントに興味あるんです〜」「ジャーマネやってみたいですねえ」という話をしていたところ、マネージャーに挑戦する機会をいただけました。
マネージャーは何をしているのか
フリーのマネージャーは人によって様々な取り組みをしていると思いますが、ここでは私のやっていることの一部について紹介します。
1. 隔週の1on1
メンバー全員と、隔週で1on1を行なっています。各メンバーのプロジェクトの状況のキャッチアップをしたり、その中で困っていること、普段の仕事の中で困っていること、今後やってみたいことなどをヒアリングしています。 他の人に繋ぐことで解決できそうな悩みが出た際には、その人と連携を取って、そのメンバーの悩みが解決できるようにします。
2. 評価
各メンバーの目標設定やそれに対する期末評価を行なっています。マネージャーが評価を書いた後も、チーム内でキャリブレーションを行い、各メンバーのどういった行動がどの評価に値するのかを主張します。 自分のメンバーの活動をしっかりアピールできるよう、関わったプロジェクト数や作成したPR(プルリク)数など、様々なデータを集めて数値で出しています。
3. マネージャーミーティングへの参加と情報共有
フリーのQAエンジニアチームは週に1度、マネージャーで集まってミーティングをしています。 そこでは組織の体制変更についてだとか、アサインについて考えたりだとか、各チーム内での困りごとはないか、誰かがヘルプに入れないかなどの相談を行なっています。 詳細は書けませんが、QAのマネージャーミーティング(JMミーティング)は楽しいです。気になる人はマネージャーになってみてください。
4. なんか色々
こまごまとしたことも多く書ききれないのですが、とにかくメンバーが働きやすくなるよう、メンバー自身が目標に向かって取り組めるよう、様々なサポートを考えて実行しています。もちろん私自身にもマネージャーがいるので、何をしたらいいか、どうしたらいいか悩んだときは私のマネージャーにも相談しています。
グローバルチームのマネージャーの難しさ
ところで、私はグローバルチームでマネージャーをしています。 普段の仕事で使う言語はもちろん英語、そしてメンバーは日本のみならずフィリピンにも多数います。言語のみならず文化も違う中で、試行錯誤しています。 私にとっては下記の点に特に難しさを感じました。
1. そもそもマネージャーって何するの?
マネージャーになったとはいえ、何をしたらいいのかは具体的には把握できていませんでした。
「マネジメントとは何をどうやるのか?」「マネージャーの仕事は何なのか?」という部分にモヤモヤしており、自分自身のマネージャーに「マネージャーって何やるんですかねえ...」「なんかミーティングだらけで大変なんですけど...」と迷走した相談をしたこともありました。まだ迷ったり悩んだりすることもたくさんありますが、私は周りのマネージャーを見て、どんなことをしているのか観察するようにしています。そこから、自分のチームでやったら良さそうなことや、自分のチームで活かせそうなことなどを考えています。
2. 言語の違い
グローバルならではの難しさとして、言語の壁がまず挙げられます。日本語で日本人のメンバーをマネジメントした経験もない中、英語で海外のメンバーをマネジメントするのです。
英語がなんとか話せるようになったとはいえ、相手の考えを聞き出したり、悩みごとを聞いて解決方法を一緒に考えたり、といったような複雑な議論や細かいニュアンスを含んだ話の難易度が高いです。 フリー社内のマネージャー研修で1on1のやり方やコーチング手法についても学びましたが、それらをさらに英語で活かしていくとなると、まだまだ実践できているとは言い難い状況です。
3. 文化の違い
日本人であれば、なんとなく共通の文化があって、将来に対する考え方や仕事に対する考え方というのも理解しやすいと思います。 しかしフィリピンは日本とは違う国です。もちろん文化も違います。 「なんのために仕事をするのか」という考え方も、もしかしたら国ごとに異なる可能性があります。そういったバックグラウンドを情報収集したり類推したりしながら、フィリピンのメンバーの考え方を探っている状態です。 また、フィリピンでは12月半ばごろから冬休みを取るメンバーが多いです。彼らにとってクリスマスは一大イベントだそうで、12月後半に出勤するメンバーはあまりいません。そのため、フィリピンのメンバーがいる場合は、長期休みに向けてプロジェクト内のQAリソースの調整などが必要になってきます。
最近では、フィリピンの文化を知るために、フィリピン関係の書籍を購入して読んでみたりもしています。まだまだ知らないこともたくさんありそうです。
4.日本メンバーとフィリピンメンバーの壁
普段の業務ではグローバルチーム外の日本のQAメンバーと、フィリピンのQAメンバーが関わる機会はほとんどありません。しかしグローバルチームがフリー人事労務の開発に関わるようになってからは、日本のチームとグローバルのチームでやり取りをする機会が増えてきました。弊社のslackには翻訳用のbotがいるため、そのbotを介してテキストのやり取りをしたり、オンラインミーティングでは字幕機能を使ったりしています。しかしそれでは細かなニュアンスが伝わらないこともあり、通訳としてグローバルチームにいる日本人のQAメンバーが入ることもしばしばありました。言語的なハードルがあるのはもちろんですが、私は何よりも「普段から関わりが少ない」ことがフィリピンのメンバーと日本のメンバーのやり取りの障壁になっているように感じていました。
フリーのQAエンジニア組織では、QAオフサイトミーティングというものを定期的に開催しています。QAエンジニア全員で集まり、過去のシステム障害を振り返ったり、より良い品質保証のためにどうしたらいいかを考えるワークショップを行ったりしています。「そのオフサイトミーティングにフィリピンのQAメンバーを混ぜたら、もう少しコミュニケーションが取りやすくなるのでは?」「フィリピンのメンバーからも何か発信してもらえれば、グローバルチームがどんなことをしているのか、どんな人たちが働いているのか理解してもらえるのでは?」と考え、自己紹介はもちろん、LT(Lightning talk)をしてもらったりしました。それにより、以前よりは日本メンバーとフィリピンメンバーの距離が近づいたように感じます。今後はフィリピンのQAメンバーからの情報発信を日本側に向けてさらにやってもらいたいと考えています。
マネージャーをやってみてよかったこと
大変なこともたくさんありますが、もちろんよかったこともたくさんあります。
1. 今までと異なる視点が得られたこと
私がマネージャーになる前は、自分がマネジメントされる立場でした。自分が困ったことがあった時には自分のマネージャーと相談をして動いていました。 しかし自分がマネージャーになると、メンバーが困っていることを解決して、メンバーが成長できるような手助けをしていくという動きが必要になってきます。
自分の成長だけでなく、メンバーの成長、ひいてはチームや組織の成長といった広い視点で物事を考える必要があります。今、どこのチームがどんなことをしているのか、これからどんな動きがありそうかなど、今までよりも違った視点でプロジェクトやプロダクトを見るようになりました。
2. 組織を良くするための考え方をするようになったこと
今までは「こういった背景があって、このようにしました」「こういう事情で、こういう組織編成になります」と情報を受ける側だったのですが(もちろん意見があれば意見は言えます)、 「じゃあ、今後の組織についてどうしていこうか」「こういったことが考えられるから、チームの構成をこうしたほうがいいのではないか」などといったところを考えるようになりました。 なんとなく受け身でいた部分ですが、自分自身で、またマネージャーたちで考えていくことで、より良いチームや組織にしていくんだ、といった連帯感を強く感じることができました。
3. 英語めっちゃ喋れるようになったこと
昨年のAdvent calendarでは「英語、ちゃんと話せるようになりたい...」と書きました。 あれから一年が経ち、英語はかなり話せるようになりました(自分比)。 隔週でそれぞれのメンバーとの1on1で英語を話し、チームのDaily meetingやSprint planningでも英語を話し、評価やキャリブレーションでも英語を話してきました。 最近ではLikha-ITでのフィリピンメンバーの採用活動にも関わり始め、さらに英語を話す機会が増えています。各メンバーとの1on1をしていると、英会話のレッスンの受講をしているような気持ちになることもあります。 普通に話す分にはなんとかなっている、という実感はあるので、今後は「英語でしっかり議論ができるようになりたい」「英語で自分の主張を相手にわかりやすく伝えられるようになりたい」という気持ちで頑張っていこうと思います。
おわりに
マネージャーになってみてまだ半年という短い期間でしたが、たくさんの学びがありました。今後もメンバーのために、チームのために自分ができることは何なのかを考え、実践していきたいです。
明日は、フリー人事労務のQAエンジニアのsae-san が「アジャイルQAってなんだ?をみんなで考えた」について記事を書いてくれます。お楽しみに〜! よい品質を〜