3ヶ月ほど取り組んでいたチーム開発の改善がひと段落し、その手法を振り返ることができるフェーズになりました。
freee会計の債務チームで働いていた私は、当初開発のやり方に不満を抱いてはいたものの改善の仕方がわからず模索しており、書籍やスクラムガイドをチームメンバーと読み合わせたり、試しに小さくスクラムで開発してみたりしていました。結果的にはこれらの活動によってチーム改善の道を歩めたわけですが、後になって振り返って見ればこれはマーケティングやセールスといった、SaaS型Webアプリケーションでは当たり前に行われていることを模倣していました。普段SaaSビジネスを開発していたのにこれに気付かずうっかりしていたものです。
あなたはいまチームに不満を持っているかもしれません。それを何とか自分の手で良くしようとし始めているかもしれません。しかしチームを改革したいなら効率の良いロードマップをあなたが引いてチームを導いていく必要があります。あなたが改善のとっかかりさえわからずに混乱しているのなら、このチーム改革手続き入門が参考になるでしょう。
マーケティング:新しい手法の効能を知る
あなただけがチームの開発手法を良くしようとしている最初の状況では、まずは改善する方法をチームに共有し、改善したいという欲求の種をまく必要があります。これには同期的に時間を取り、同じドキュメントを読みながら対話することが効果的です。
私たちのチームではスクラムガイドを読む会をしました。これはGoogle Docsに移してきたガイドをまず各自黙読しながらコメントを残していき、それからコメントを見ながら対話する勉強会です。1.5時間ほどかけてガイドを学ぶとともに、自分のチームでは何ができるかという気づきを得ることができます。
一冊の書籍から学ぶような場合はアクティブ・ブック・ダイアローグを行うのも良いでしょう。これは本を参加者の数だけ裁断して分割し、それぞれの担当箇所をその場で読んで他の参加者に共有し、また対話を行う勉強会手法です。短時間で知識と気づきを得ることができます。
セールス:プロトタイプを体験する
新しい手法を学んだら、それを体験して自分のチームで使えるかを検証しましょう。ここで重要なのは、他でもないあなた自身がファシリテートしていくことです。この段階では他のメンバーはまだ新しい手法がしっくりこず、あなたのモチベーションが一番高いという場合が多いでしょう。自分のチームに適用する場合のフォーマットを考え、人を集めてミーティングを主催する必要があります。
Webサービス開発の鉄則、「小さく始めて高速で改善を回す」を実践しましょう。最初のステークホルダーを少なくすることは、新しいやり方を始めるコストを低くする、柔軟に調整できるようにする、失敗したときのリスクを減らすといった効果があります。
リテンション:より良い効能を得続ける
新しい手法を体験し、自分のチームでも効果を出せそうだと感じたら、改善サイクルを回して続けていけるようにしましょう。どんな良さがあるか書き出して確認していくことと、どのように調整していけるか貪欲にフィードバックを求めていくことが大事です。
私たちのチームではスクラム開発を行っていますが、スクラムガイドでのやり方に追加してスプリントレトロスペクティブで「ふりかえりのふりかえり」というセッションを行っています。このセッションによってスプリントイベントの手法やスクラム全体の進め方、ツールの運用について自由に議論を行うことができます。
チームを良くするということ
クリエイタは熱意や気分が成果物に影響を与えてしまう生き物です。それと共に悪い開発体制は悪いプロダクトを生み出します。だからあなたが、第一に楽しく働きたいと思っていて、第二に良いプロダクトを作りたいと思っているなら、まずはチームを改革して望んだ形の開発をできるようにすることが良いでしょう。それが個人として取れる高速で軽量な方法なのです。
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