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リモート勤務で、人の言葉を忘れ始めてしまいました — 九岡 佑介 (mumoshu) インタビュー(後編)

こんにちは id:ymrl です。おととい公開した前編に引き続き、freeeでSREエンジニアとして働く九岡佑介(@mumoshu)さんのインタビューをお楽しみください

mumoshuさんの写真

人の言葉を忘れ始めてしまいました

— ところでmumoshuさんはfreeeでも珍しい、地方からのリモート勤務をされているわけですけど、リモートでのやりづらさはないですか?

最初の数ヶ月は五反田の本社で勤務していたんですけど、いまは完全にリモートで月に1〜2回東京に来る生活をしています。ほとんどの開発メンバーが五反田にいるのでもともと月1回は本社に来るという約束になっていたんですが、いまのところ東京での登壇の予定などがよくあるので、それに合わせて本社に出社しています。

freeeメンバーとのやり取りほとんどがWorkplace上でやっていて、ずっとオンラインでやりとりしてきた人とこのあいだのオフサイト(社員合宿)で初めて会って、顔と名前がようやく一致するなんていうこともありました。やりとりは非同期的なテキストコミュニケーションが多いんですが、自分はついミーティング中に仕事しちゃうタイプなので、都合のいいときに非同期に話が来る状態のほうがやりやすいです。基本的にコミュ障なんだと思うんですよね。

自分みたいなタイプはマネージメントする立場からはやりづらいと思うんですけど、それでもチームの理解があることと、自分がこっちのほうが向いているなと思えること、そして人から指示されて動くような内容の仕事ではないというのが、リモートで仕事ができている理由のように思います。

リモートで働くようになって困ったことといえば、人と喋る機会が減って人の言葉を忘れ始めてしまいました(笑)。もともとあんまり喋らないほうなんですが、リモート勤務だとその傾向がもっと強まってしまって、朝に家族と話して、子どもを保育園に預けるときに先生に挨拶すると、あとはお昼にカレー屋さんでカレーを注文するくらいしか喋らなくなっちゃうんですよね。

そういう話をマネージャーとの1 on 1で話したら「リモートランチ」というのをセットしてもらえるようになりました。毎週いろんな人とビデオ会議を繋ぎながらご飯を食べているんですが、そのたびにそんなに話したことのない人と話せるので助かっています。

やっていき・のっていき

— freeeでの仕事の進め方はどうですか?

自分の所属しているSREチームはそんなに人数が多くないんですが、その中でいくつかのプロジェクトをやっているので、その関係で兼務兼務兼務みたいな感じで話をすることが多いです。

他のチームのエンジニアとは、Kubernetesを導入するプロジェクトで交流することが多いですね。で、デプロイが終わるとそのプロジェクトの人とは仕事上は疎遠になったりします。もちろん寂しさがないわけではないんですが、職人芸を発揮して離れていくというのは業務上の責任は果たせていると思うし、ある意味で理想的だと思うんですよ。

いちおう人なので、人との関わりは持ちつづけたいと思っているんですけどね。人間として矛盾しているかもしれません。日々出会いと別れですね。そんな感じで、常に職人芸を発揮できるものを探しつづけないといけません。

freeeでの仕事は、全体的にやりやすいなと思っていて、とにかくメンバーの「やっていき・のっていき」の精神がこの規模になっても感じられるのはすごいですよね。ふつうは会社の規模が大きくなったら、その人の仕事の範囲を越境したときのインパクトは大きくなるのでやりづらくなるはずなんですけど、そのあたりに貪欲な人が多いなと思っています。こういうのは一人のエンジニアの力ではぜったいに作れない文化で、すごくいいなと思っています。

そういう文化さえあればKubernetesだろうが何だろうが、新しくて良さそうなものなら何でも入れられるなって気がしますね。Kubernetesを入れようっていう話をしても背中を押してくれない人が誰もいなかったし、入社2日目のまだ何もよくわかってないような状態で出たミーティングで、もうKubernetesの導入が決まってしまったんですよ。あれはびっくりしました。

上手くいっているものを変えるのって、普通ならわかりづらいと思うんです。そういうときって「変えないと死ぬ」派と「今うまくいってるならいいじゃん」派に分かれて、前者がベンチャー的だなと思うんですけど、freeeはその二択という感じでもなくて、特徴的だと思います。暑苦しい人ばかりだとコンフリクトしそうだし、バランスがいいのかな。

インタビュー風景

職人が必要でなくなるときのために

— 最後に、mumoshuさんがこれからやっていきたいと思っていることををお聞きしたいんですが、将来目指しているものとかはあったりするんですか?

たぶんひととおりKubernetesの導入が上手くいってくると、Kubernetes職人みたいなかたちでインフラエンジニアがやることって無くなっていくと思うんですよ。いま社内に「Linux担当」っていう人はいないじゃないですか。あまりにもデファクトになった技術ってそうなっていくと思うんですよね。そうするとKubernetes担当の人としては一社では生きていけなくなってくるだろうし、生存戦略として他のこともやっていかなきゃと思っています。

そういう中で、機械学習のプラットフォームを作るのには興味があります。

大学院のときに自然言語処理をやっていて、テキストを解析して機械学習にかけて人間にとって意味のある結果を出す分野のことをやっていました。生データを加工して学習データを作って、それをモデルにして高速に問題を解いたりすることをしていました。

それをプロダクションに載せるっていう夢を持ってWeb業界に入ったんですけど、一転二転してインフラエンジニアやってるんですよね。

最近はどこもかしこも機械学習って言っていて、10年前とはあまりに世界が違うなと。そのわりに面倒臭さって変わってなくて、10年経ってこのままならKubernetesの次を探すときもこの泥臭いままなのかな、やることが残っていそうな匂いがしています。

それから、どこの会社の社内システムでもググれば大体のことはわかる、という世界を作ることにも興味があります。どこの会社でも何らかの自動化や効率化をしてきていると思うんですけど、それは会社によってだったり、やった人によってだったり、やり方に違いがあるんですよね。これまで何度か転職をしてくるたびに、「あ、これはあの会社とはこう違うんだな」というのを実感することを繰り返してきています。

でも、たとえばAWSを使っていて、EC2だとかRDSだとかElastiCacheの使い方のズレってそんなにないですよね。やっぱりAPIが切られているとそのAPIとして用意されている中でしかズレないのでキャッチアップしやすいですよね。

どこの会社のシステムもそういう風に同じAPIを軸に組まれていたら、もっとキャッチアップしやすい人材流動性の高い社会になると思うし、いろんな会社に首を突っ込みやすくなると思っています。そういう社会にしたいなと思っています。

いまSREチームとして他のチームの人から相談を受けるときも、社内独自でやってしまっている工夫についてはまだまだ眠っている暗黙知がある気がしていて、答えなければいけないプレッシャーにウッとなることがあります。Kubernetesのことは何を聞かれてもだいたいググって出てくるので、簡単だし怖くないんですけど。

freeeにはそういうところも期待しています。いつになるかはわからないけど、最終的には一社に一人freee担当がいて、そういう人が一人いるだけでいろんなシステムが自動化・効率化されていって会社が回る、みたいな世界を作れるといいですよね。

とはいえそういうfreee担当そのうちLinux担当とかKubernetes担当みたいになってそうですけど。やっぱりまずは職人芸の世界があって、それがだんだん職人が要らなくなっていくみたいな世界観をもって生きています。

インタビュー風景


長きにわたったインタビューでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。

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