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freeeのQAオンボーディングを体験してみて感じたこと

こんにちは。freee販売でQAエンジニアをしているtomiです。

freee QA Advent Calendar2023 2日目です。

私は2023年7月半ばに関西拠点初のQAエンジニアとして入社しました。 この記事を書いているのが11月半ばなので、入社してちょうど丸4ヶ月経ったところです。 環境や業務内容にも慣れてきて、ようやく1人でタスクを回せるようになってきたかなという感じがしています。

私はQA歴1年半弱という経歴でfreeeに入社したので、入社当初はQA業務がしっかり遂行できるか不安でした。しかし、freeeのQAは新しくjoinしたメンバーが爆速で成果を出せるように、QAオンボーディングがとても充実しており、おかげで私も自分なりの最短ルートでチームのタスクに慣れることができたと感じています。 このブログでは、そんなQAオンボーディングの内容(ざっくり)と、私が感じたこと、これから個人的に取り組もうとしていることについてお話します。 freeeのQAエンジニアに興味がある方の参考になれば嬉しいです。

本題の前に

freeeは会社全体のオンボーディングも充実しています。 会社のビジョンや社内のルール、各種手続き等についてとても詳しく学ぶことができます。 これは全職種共通のものであり、今回はあくまでもQAオンボーディングにフォーカスを当ててお話したいので、本記事では全体オンボーディングの内容については割愛します。

QAオンボーディングの目的

もともとQAチームの課題として、「ポテンシャルのある人材をできるだけ内部で育ていく必要がある」というものがありました。 常にQAの経験と実力を兼ね備えた人材だけを採用するのは難しいですし、採用できた場合でも、freeeに入って爆速で活躍してもらえるようにしたいという思いがあったからです。 その課題を解決する手段のひとつがQAオンボーディングです。 皆が同じ目的意識を持ち、アウトプットの形式がある程度標準化されていれば、どのチームに配属されたとしてもスピード感をもって現場に適応できるはず、という考えに基づいてQAオンボーディングのコンテンツは組まれています。 この辺りの内容は以下の記事に詳細にまとまっていますので、興味のある方はぜひ。

QAのスキルアセスメントシートを作って適用してみた developers.freee.co.jp

したがってこのオンボーディングの目的は、なぜそれをやるのかという「意識」の部分と、どのような形で成果を出すのかという「アウトプットのあり方」についてニューカマーに伝えることです。

逆に、やり方・手順などの細かい内容はあまり触れられていません。 (そこまで標準化すると逆に柔軟性がなくなりスピード感が落ちてしまう懸念があるためです。)

QAオンボーディングの内容(ざっくり)

※2023/7時点の内容です。オンボーディングの内容は日々アップデートされています。

スプレッドシートにQAオンボーディングの項目が並んでいる
項目は全部で40弱あります

オンボーディングの内容はこのようなかたちでスプレッドシートに一覧にまとめられており、約1ヶ月かけて計画的に進めていきます。 実際に手を動かした方がいいような内容についてはハンズオン形式も用意されています。 また、ほとんどのコンテンツに録画が準備されているので、非同期で進められる&復習のために何度も見返せるというメリットがあります。 他社をあまり知らないのでなんとも言えませんが、QAに特化したオンボーディングがここまで充実している会社も珍しいのではないでしょうか。

QAオンボーディングの内容は、大きく分けて3つにカテゴライズされます。

  1. QA全体に関する内容
    1. 人を知る
      • チームメンバーとの1on1やウェルカムランチなどが設定されています。
    2. 普段の業務を評価するための指標について
      • 主に、QAのOKRや品質KPIについての内容です。
  2. テストに関する内容
    1. テストプロセスを学ぶ
      • freeeのテストプロセスについて詳細なコンテンツが充実しています。このプロセスはどのプロダクトのQAチームにおいても共通のものであり、freeeのQAとして業務を遂行する上で1番の土台になっています。
    2. テストの成果物について
      • ここが標準化を進めているものの1つです。各テストプロセスでどのような成果物を出すのかについて学ぶことができます。
    3. 不具合の扱い方
      • 重篤度や障害に対する判断基準などが定められています。
  3. 自動テストに関する内容
    1. Git / GitHub について
      • コーディング後のPR作成〜merge作業までできるようになることを目指します。
    2. テストスクリプトの作成
      • いわゆるE2Eテストを実装する、という内容です。freeeにはSEQチームというテスト自動化に特化したチームがありますが、実際にE2Eのテストスクリプトを作成するのは各プロダクトチームに所属するQAエンジニアです。コーディング未経験の方でも爆速で実装できるように、充実したコンテンツが揃っています。 興味ある方は下記の記事も要チェックです。
    3. テスト実行環境について
      • 自動テスト実行や結果の確認は主にJenkinsで行っています。

developers.freee.co.jp

オンボーディングを受けてみた感想

入社後約1ヶ月かけてこのオンボーディングにじっくり取り組み、土台を固めた上でチームのタスクに着手したので、冒頭でも述べたように自分なりの最短ルートで業務に慣れることができたと感じています。 非同期でもうまく進められるような仕組みがしっかりできていたので、関西拠点のQAは私だけでしたが孤独感のようなものも感じられませんでした。 このオンボーディング用スプレッドシートは業務に必要な最低限の情報が集約されているので、インデックス代わりに今でもブラウザ上でブックマークしていますし、いまだに見返すこともあります。

メンターとやりとりしているslackのスクショ
気軽に質問しやすい雰囲気です。みんなほんとに優しい。

チームのタスク、爆速でこなせた?

いいえ、そういうわけでもありません。 オンボーディングを受けただけでは情報や知識が点在している状態で、実際のチームの業務に携わるようになって、点と点がつながり仕事の全体像が見えてくる感覚でした。 この感覚をつかむまでが大変でしたし、正直今でもあやしい部分が残っています。 QAオンボーディングはあくまでも土台作り。その上でどう価値を生み出していくのかは、チームの中で学びながら考えていくしかありません。 ただ、チーム単位でのオンボーディングのようなものがあれば、そこのスピード感をもっとあげることができるのではないかと感じました。

大変だったこと

実際に私がチームの業務に関わるようになって困ったことを下記にあげてみます。

  • 開発エンジニアの名前と顔と所属チームを一致させるのが大変

    普段の業務では、開発エンジニアとかなり深く関わります。 最初はあなたはどこの誰ですか???そんな状態で、名簿や組織図を見比べる日々でした。

  • チーム独自の文化
    • Jiraプロジェクトの種類やチケットの運用フロー
    • MTGの種類や目的
    • 手順書等のドキュメントの種類や保管場所

    このあたりはQAオンボーディングでも学べるものの、実際はチーム特有の細かな運用ルールがあったりしてそれを理解するまでは大変でした。

  • プロダクトの仕様理解

    QAオンボーディングでは主にfreee会計やfreee人事労務を例にコンテンツが組まれていました。しかし私はfreee販売のQA担当だったので、freee販売を理解するために最初はヘルプページを読み込んだり、実際にプロダクトを触る時間が必要でした。当たり前のように飛び交っているドメインに関する用語をキャッチアップするのも大変だった記憶があります。

これから取り組みたいこと

ここまででお話したように、ニューカマーにとって至れり尽くせりなQAオンボーディングですが、ニューカマーがより早くチームに慣れ成果を出すために、販売QA虎の巻を作ってみようと思っています。販売チームにジョインしたQAエンジニアが、1日でも早く販売QA業務に慣れることが目的です。 メンバー紹介や、販売用語集、Jiraチケットフロー可視化など、盛り込みたい内容はたくさんあるのですが、まずは、プロダクトを知るためのオンボーディング用テストチャーターを充実させていく予定です。テストを進めながら仕様も理解でき、重要なテスト観点も伝えられるような内容を目指そうと思います。

まとめ

QAオンボーディングの内容や感じたこと、見えた課題とこれからの取り組みについて書かせていただきました。 このオンボーディングの内容はまだまだブラッシュアップされ続けています。 freeeのQAエンジニアに興味があるけどちょっと不安だなと足踏みしている方にとって、その不安が少しでも解消される内容になっていれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

明日は、freee顧問先管理のQAエンジニアの yamaeri-san が「グローバルチームで働くQAの日々」について記事を書いてくれます。お楽しみに〜!

よい品質を〜