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法人設立登記のオンライン申請機能リリースしたくて実際に会社作ってみた

この記事はfreee Developers Advent Calendar 2021 - Adventarの14日目です。

こんにちは。グロースチームのbanaと申します。 「freee会社設立」という法人設立登記のその前後の手続きが簡単にできるプロダクトの開発を含むあれこれをやっているエンジニアです。

先日「freee会社設立」では合同会社の登記のオンライン申請機能をリリースしました。その際、機能のリリース前に該当機能を使って実際に会社を設立してみたよという話をします。

法人設立登記のオンライン申請って何よ?

法人(会社)設立時には、定款認証、設立登記、登記完了後の手続きで複数の行政機関に対して書類の作成・提出を行う必要があります。

何度も同じ内容を記入したり、複数の行政機関を(主に平日に)訪問したりするのは大変ですよね。 そこで、各種手続きをマイナポータルを通して一括でオンライン上で行える「法人設立ワンストップサービス(法人設立OSS)」が国から提供されています。

参考 内閣府 https://www.cao.go.jp/bangouseido/myna/index.html#houjinoss

この法人設立OSSを利用できるマイナポータルAPIが民間事業者に対して公開されています。freeeでリリースした機能はマイナポータルAPIを利用して、合同会社の設立における登記部分を一部オンライン化したものです。

参考 プレスリリース https://corp.freee.co.jp/news/mainapo1012.html

今回freeeからリリースした機能には含まれていませんが、オンライン申請は一定条件を満たせば24時間以内処理(=申請から24時間以内に登記を完了できる)ができるなど、設立手続きをもっと便利にできる可能性を秘めています。

なぜ会社を作ったの?

法人設立登記のオンライン申請機能をリリースするにあたっては懸念がありました。 1つはテスト環境がないこと(正確には一部しか検証環境が用意されていなかったこと)、もう1つは利用するAPIの仕様をクリアできているとしても本当に設立登記が完了できるかは別であることです。後者についてはfreeeが既存で提供している機能と同等の提出フォーマットであれば基本間違いはないはずですが、前者は非常に気がかりでした。

担当の省庁の方に確認しても実際に設立するしかなさそうという話になったため、実際の会社設立手続きを通して合法的に本番環境に申請する企画が始動しました。

実際に会社作ってみた

まずは社名決めです。みんなからのエントリー→投票で社名を決めました。

slackのスタンプ投票式で社名を決定
決定した社名は秘密ですが投票の様子 ブゥは内輪ネタです

基本的にはfreee会社設立のステップに沿って法人名・法人の住所の入力・出資金などの情報入力を進めていきます*1

freee会社設立の入力ステップ
freee会社設立の入力ステップ

今回は個人の印鑑証明書を用意する必要があったので、入力を進めつつ代表社員の印鑑証明書を取りにいきました。

オンライン申請の場合は紙定款ではなく電子定款を選択します。freeeでは電子申請定款作成を専門家に依頼します。

電子定款作成依頼画面
電子定款作成を依頼

数日後定款が納品されます。

出資金を口座に入金したらいよいよ電子申請です。 必要なソフトをインストールし、手元にマイナンバーカードとカードリーダーを用意します。

さあ、電子申請です!!!*2

電子申請開始画面
いよいよ電子申請を開始

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・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

(空白のこの間にエラーとの戦い、不受理通知などを乗り越える)  

そしてついに無事合同会社が爆誕しました。終了した旨はメールでも通知されました。

申請完了通知画面
申請が完了した通知がきた みんなで喜びました

会社設立してみてよかったこと

実装の漏れを発見できた

詳細は割愛しますが、それがないと登記申請が通らないような仕様の実装漏れを実際の設立フローを通して発見することができました。

実際の手続きによってしか発見できなかったのは理想的なあり方ではないかもしれませんが、取りうる方法の中では最善だったと思いますし、何よりユーザーへの公開前に気づけてよかったと心から思いました。

ユーザーが設立するときと同じような体験ができた

普段はfreeeの画面上の操作しかできませんが、一連の会社設立手続きを通して、待ちの時間も含めた体験やありがち(?)なミスの経験ができました。

また、今回リリースした機能ではまだやりたいことの一部しか提供できていませんが、それでもオンライン化の価値も感じることができました。

主な出来事や感想(感想は各個人の主観です)

  • 社名迷う。今回はslack投票で決めた。(前述)
  • 一部の手続きで法人印が必要だったのに、印鑑購入ステップをすっとばしていたため急ぎで買うことになった。
  • 住所などを紙に手書きで書くのがだるい。
  • 登記申請後完了通知がくるまでソワソワする。設立できたか心配。
  • 登記書類提出時に法務局に行かなくてもいいのが素晴らしい。登記後の手続きで複数の役所に平日いくのは大変だった。

会社設立のその後 〜清算の巻〜

設立した会社はその役割を終えたため、無事清算手続きに入りました。

清算人就任登記*3などを終え、2021年12月現在は絶賛清算中ステータスですが、思った以上に大変とのことでした。会社設立は計画的に。

清算のために作成した書類達
清算に必要な確定申告等の書類作成は社内の税理士資格を持つ人にやってもらいました(感謝)

ところでなぜfreeeはオンライン登記機能をリリースしたの?

freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、誰もが自由に自然体で経営できる環境をつくろうとしています。

これからもより便利になっていくであろうオンラインの設立手続き機能などを通してスモールビジネスを始めようとしている人のハードルを取り払い、新しいチャレンジを応援していきたいという信念をもって開発に取り組んでいます。

もしグロースチームやfreeeで働くことに少しでも興味がわいたら、以下のページをぜひ読んでみてください。 https://jobs.freee.co.jp/engineers/

明日のAdvent Calendarはokoshiさんです。何かを書いてくれるそうです。何だろう。お楽しみに!

*1:本物の住所はちょっとお見せできないのでスクショはサンプル情報です。

*2:2021年12月14日現在freeeが提供しているのは一部オンライン化・別送ありでの登記申請機能のため、このあと一部書類を郵送しました。

*3:解散から2週間以内に清算人の就任登記をし、会社の財産の整理等を行います。