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AIチームのマネージャーが40歳になるにあたり人生を見つめ直した話

どもども、freee AI-LabチームのマネージャをやっているRoy(Twitter, GitHub)です。

今回、社内ブログで公開していたタイトルのような話を多少の修正を施した上で共有してみようと思います。

お話を頂いた時のSlack投稿
お話を頂いた時のSlack投稿

投稿者の簡単な属性を以下に挙げておきますので、興味が湧いた方はぜひご覧ください。 また、あくまで社内向けに書いたものですので乱文・雑文についてはご容赦ください。

投稿者

  • 今年39歳
  • 元企業研究者、なんやかんやでAI-Labにいる(2社目なのでそんなに見聞知識は無い)
  • 学生時代より機械学習・自然言語処理スタック
  • 数年程度マネージャーロールやってる、但しプレイング寄り
  • 飽きっぽい

今年39になる自分が次の40代を生き抜くに当たり自分の人生を見つめ直してみた記事です。 主に自分向けに書いていますのでそのへんはご了承ください。

動機

この記事を書こうと思った理由について話します。

まず、この記事を書いている段階でfreeeにjoinして4年3ヶ月が経ちました。主観時間だとまだ1年くらいで、コロナ禍になってもう2年以上経っているのが信じられません。 ”心的時間”の経過速度は諸説あるそうですが、

加齢が進むと神経生理学的・心理学的過程における情報処理の効率や速度が低下するので、そのために心的時計がゆっくり進むという説もあります。

確かに我が家の子供を見ていると興味あることに対しては驚異的な記憶力を持っていたり無限に動いていたりするので、もしかしたら筋トレや反射神経トレーニングするといいのかもしれん。

話が脱線しましたが、それからAJM(アソシエイトマネージャーのこと。freeeではJM=ジャーマネ、AJM=アソシエイトジャーマネという呼称をします。以下そのつもりでお読みください)をやり始めたのが2019年4月で、それ以降ずっと、3年以上AJM〜JM業を続けています。 時間の速さも相まって、ちょっとダラダラやりすぎたかなーという反省もありつつ。

そんな折にタイミング良く、会社から「GBJやらないか」と言われたので「いいですよー」と気軽に答えたのが発端です。

※2 GBJとはゴーストバスター・ジャーニーと呼ばれており、freeeのJM向けに定期的に開催されている「自己認識向上・行動変容を支援して、ありたい・あるべき姿にできるだけ近づけるようにするためのプラットフォーム」です(社内ドキュメントより)

自分は基本面倒くさがりなので、自分の事は自分の頭の中にだけ在ってどこかにアウトプットすることはないんですが、当初は何やりますかと聞かれて「プレイングマネージャーとしての方向性を明確にする」みたいな事を言っていました。

が、なんか色々考えた時に「プレイングマネージャー」だとその時点で色々フィルターかかりすぎてて、ちょっとそのワードに囚われすぎている感覚がありました。もう少し客観的かつ主観的に思索したほうが良いんじゃないだろうか。という事で見方を変えてみようと思いました。 ちょうどこの頃、ロードマップ作るとか、AI/MLの投資が云々とか、そんなことばっかりやっていたので自分の人生でも同じことやってみよっかなーとか考えて、10年後の自分の人生どうなってるかな〜と考え始めました。 ちょうどあと一年半くらいで40歳なので、節目としても丁度いいなと。 色々符丁が合うのでじゃあ「40代」っていうテーマでこのポエムを投下しようという目標になったわけです。

結論と抱負

結論から言いますと、流石に10年分の動きを考えるのは無理ぽだったので動き出しは最初の3年位までにします:

  1. 自分の性向を明らかにして期待値とのギャップを埋めていくぞ
    • ちゃんと需要がありつつ、モチベーションを維持できるジョブを自分なりに開拓する
  2. 何かのトップランナーになるコストを払うよりスキルセットの柱を増やすぞ
    • 自分だけが持っている付加価値の獲得と自分の興味の対象を擦り合わせて次の10年を戦えるようにする
  3. あと寿命が平均43年しかないので時間の使い方を改善するぞ
    • 次の10年を濃く生きるために手を打つ

今話題のStableDiffusionで生成してみました(Working on the beach, relaxed, fun, exciting)。未調整一発撮りです
今話題のStableDiffusionで生成してみました(Working on the beach, relaxed, fun, exciting)。未調整一発撮りです

1 自分の性向を明らかにして期待値とのギャップを埋めていくぞ

(この節はあくまで自分の内面を明らかにして、とりわけジョブに対する方向性を動機づけるためのものです。他人に対して何かを教唆するものではありません)

アイデンティティ

自分を表現すると怠惰(Lazinss)という言葉が一番しっくりくるタイプの人間です。天の邪鬼ともいいます。人と同じことをやるのが嫌いなので「敢えて〇〇」をよくやります。

言葉遊びが結構好きなので、ここでいくつかの言葉に対して色をつけてみます。

好き:考えること、言葉遊び、解釈、実験、発明、工夫

嫌い:面倒くさい、説得、100%、同じ、毎日、計画

考えることは好きで、物事の理からとんち話まで色々可能性を巡らせるのは飽きずにやってられる自信があります。 一方で継続がとても苦手です。MLエンジニアに足を突っ込んでおきながらデータをコツコツためたりするのはとても苦手ですw家や自転車の鍵掛けるのとかすぐ忘れます。よく怒られます。よく考えに耽っているので記憶が良く飛びます。

内面的な考え方の根底はマルティン・ハイデガーに影響されている部分が多いかなと思います(※4)。また機会があれば彼の「存在と時間」を読み返したい。

「環境や行動が今の自分を自分たらしめている」、という自己認識を通して、自分の中に全ての由来を求める、みたいな考え方で何かを決めることが多いです(というかそれを意識している)。 もう少し言い換えると、自分=世界という解釈でもって世界の有り様を自己の内発的な意識に求めていく、ような感覚。

やりたいこと

この様に考えた時、自分がやりたい事=苦に思わないことは、以下の特性を持っていることではないかと考えられます:

  • アイデアや工夫をし、それを実装して検証するサイクルがあること
    • 検証が直接的であればあるほど良い。これは定量的である事を指しているわけではなく、定性的でも良いので自分にとって主観的に実感できれば良い
  • 自分が作ったものや考えたものが自分抜きで回るものである事
    • 回すことが好きなのではなく、「回る仕組み」を作りたい
  • 再現性や論拠を擁するもの
    • もう少し有り体にいうと学問的な考察から導かれた道具立てを使っているもの

上記のような条件に当てはまれば当てはまるほどモチベーションを高く保てると思います。

期待値

今のJMロールをそのままやりつづけるのはなんか違うなと思っていて、もう少しわがまま言いたいなと思っています。 表現が難しいのですが、JMをはじめVPoE(Vice President of Engineering)やHoE(Head of Engineering)みたいな区画を意識するロールじゃなくて「特殊な武器・工具を担いで開拓する」とか「未来の都市をデザインする」とか、(概念として)特殊性・専門性をテコにして活躍できる場所が世の中に在るのかを探っていきたいと思っています。

そしてなるべくならあんまり他の人がやってないものがいいなぁ。とはいえそういったものは需要もまだなかったりするので、辛い戦いをしたくは無いなぁという思いもあります。

ちなみに、仮にエンジニア職として自分を定義づけた場合には、海外だと大抵はICの道を深めるかEngineering Manager路線に舵を取るそうです(日本は更にゴチャッとしている気もする)。

progression.fyi

上記の例はDropboxのものですが、他にもこのようなdual-trackのcareer ladderを持つ会社はいくつもあります。

これを書いている時点では、自分は強いて言えばICの路線がいいんかなーと思っていますが、EM trackの"理論"(組織の理論とか科学的分析とか)には結構興味があるので、「組織運営自体はやらないけど理論武装して設計したり改善したりする」職責とかは無いのかなと思ったりしています。 人事とかは違うか?

楽して生きていきたい成分を併せ持つ自分としてはこのあたりのニーズを探っていきたいなと思ってます。

2. 何かのトップランナーになるコストを払うよりスキルセットの柱を増やすぞ

1の話とも密接に関連してきますが自分は天の邪鬼なので、例えば「MLエンジニアとして名の知られた人間になるぞ」見たいな目標には興味ありません。 一方で今までの事を総合すると「学術的な要素をまぶして実践や工夫をする」「あんまり人口が多くないやつ」が良いので、ML以外の学術的な要素のあるスキルセットをもう一つ位、40代前半までに加えておきたいところです。

実は、現在最も興味があるのは経済学で、少し前から読み始めたに「経済学とは、人々の選択に関する学問である」と書かれていて、なるほど面白そうだなと思っています。

例えば、さっと調べただけの情報で申し訳ないのですがこういう資料も出てきていたりして、「人々の選択」をどう予測・分析・仮説検証するかの道具立てを学べたら良いなと思っています。 既に機械学習との親和性高い部分は色々とやられているようだし、「意思決定」をとある側面から科学するのは自分の役にも立ちそうです。

問題はどう実績作るかなんだけど、泊をつけるならMBA取るのが良いのかな?MBAよくわかってないけど。

他には「組織の科学」だったりやオペレーションズ・リサーチも少し興味あります。今まで雑にしか考えてこなかった部分なので視野が広がりそうだし実務的にも既に大きい需要はありそう。

とにかく一つ何かを決めて単位でも取ろうかな?と思っています。

他にはスキルセットではないけど、会社作って(これはついで)何かサービスを一つ立ち上げて(別に流行らなくて良い)運用するのも面白いかなと思っています。freee入ってやろうやろうと思って出来てないやつ。

最後にもう少しサマった内容を貼り付けておきます:

  • 自分のスキルセット
    • 専門知識
      • 機械学習、基礎自然科学、ソフトウェアエンジニアリング
    • ソフトスキル
      • 人当たりの良さ
      • 独創性
      • 話題の引き出しの独自性
  • 今足りて無くて、今後役に立ちそうで、面白そうなテーマ
    • 異なる専門性:経済学・金融学
      • 機械学習は手段の科学なので実体を研究する専門知識が一つ欲しい
      • 経済学は(人間の)選択に関する科学であり、個人的な興味とも合致する
      • 機械学習の知識との相性も良さそう
      • 応用が高まるのは間違いないが、希少価値があるかは???
    • 足りていない:ソフトウェア・エンジニアリング
      • せめて自分で実のあるサービスを一つ作って(潰す)くらいは経験しておきたい
    • 実益ありそう
      • 投資の勉強
        • 自分の専門性を最大限活用して不労所得を増やすのにトライするのも面白いかも

3. あと寿命が平均43年しかないので時間の使い方を改善するぞ

今までちゃらんぽらんに生きてきたので全くもって目的とか計画とかをしてこなかったんですが、 もう少し人生の残り時間を意識して生きていこうと思います。

色々考えた結果、以下の方針を取ることにしました:

  • 明確に「仕事だ」と思う時間を週40時間労働として、「その中で最大限やる」
    • 燃費を上げる努力をしたい
    • 有給やら祝日を加味すると実質は週に36時間
  • 「勉強」「実益を伴う趣味」の時間を毎週5時間取る事にする
    • とにかく続くように工夫したい
  • 平均睡眠時間は6時間とし、起きる時間を揃える
    • 人間は加齢に伴って睡眠が浅くなるそうです。如何に布団に入ってから爆速で意識を失うかが鍵になりそうです
    • 去年とかは3時間位しか寝てない期間があったりしましたが、明らかに日中眠かったので睡眠はちゃんととろう

という方針にしてみます。まぁそんなにきっちり決めても仕方ないけど。

本当は家族と意識的に接する時間とか、趣味の時間とかに関しても整理したいですが、それやってるとキリがなさそうなので一旦分割して思考を切り替えようと思います。

さて、せっかくなのでもう少し具体的に生活プランを練ってみます(よくテレビとかでやってる〇〇さんの一日てきなやつ):

  • 6:00に起きて、6:30から30minをinput 時間にする
  • 7:00に朝食
  • 8:00に犬の散歩
  • 8:30から仕事開始
  • 仕事終わりは日によって違う
    • (7.5h) 16:00に仕事終わり、18:00まで勉強時間
      • 週2日
    • (8h) 16:00に仕事終わりだがなんか夜にイベントが入るパターン
      • 週1日
    • (8.5h) 17:00終わり
      • 週1日は18:00まで勉強時間
      • 週1日はプレミアムデーなので何もしない
  • 就寝24:00

まぁ今の働き方とほぼ同じなんですが、

  • 朝活を新たにはじめてみる
  • 仕事の区切りを明確につけて効率的に働く意識をつける

あたりが違いますね。 ちなみに書いている今、まだ実践できていませんwどうやったら習慣付くんでしょうねぇ。 そういえばメザミーという朝起きれなかったら課金する目覚ましアプリがありますが、こういうインセンティブの付け方で良いんだろうかw

最後に

今回は特にマイルストーンを定めない形で「意気込み」を記述しました。 ここまで読んでいただきありがとうございました。

おしまい