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freeeアクセシビリティー・ガイドライン Ver. 202408.0を公開しました & アクセシビリティー関連の問い合わせもしやすい体制作りを始めました

こんにちは、freeeのアクセシビリティー・ガイドラインおじさんの中根です。 1年ほど前にこちらで書いた記事で触れた健康年齢、1年後の健康診断の結果によると10歳くらい下がって、実年齢とほぼ一致しました。こんなに値がぶれるものに一喜一憂するのは馬鹿馬鹿しいので、今後は気にせず暮らしていくことにしました。

さて、こちらに書くのは久しぶりですが、例によってfreeeアクセシビリティー・ガイドラインの更新情報です。

そして、今回はそれに加えて、freeeのプロダクトをご利用いただいている方や導入を検討してくださっている方などからの、アクセシビリティーに関連するお問い合わせをしていただきやすくなることを目指して始めた施策についても、簡単に紹介します。

最新版はVer. 202408.0

こちらで最後に更新情報を掲載したのは、Ver. 202311.1の公開時でしたが、その後実は今回も含めると8回リリースを実施しています。 細かな修正も多いので、詳しくはぜひ更新履歴をご覧いただきたいのですが、以下主なものについて簡単に紹介します。

アクセシビリティー・チェック・リストを更新

Googleスプレッドシートの形でも公開しているアクセシビリティー・チェック・リストについて、対象が「プロダクト」のチェックの見直しを行いました。

まず、これまでチェックID順に並べてあったチェック内容を、freee社内で比較的定着しているチェック実施順序に合わせて並べ替えました。

そして、そのチェックの要件を満たしているかどうかの判断に当たって、複数の観点の確認が必要なものについて、いわばサブチェックのような位置づけの項目を作りました。

例えば、コントラスト比に関するチェック(チェックID0021)では、axe DevToolsで問題が指摘されない、または問題が指摘されたとしてもWebAIM Contrast Checkerを使うなどの方法でチェックして問題がなければOKとなります。 新しいチェックリストでは、この2つのチェックを別のものとして扱い、どちらかがOKとなれば0021がOKとなる、といった構造にしました。

0021の例はOR条件の2つのサブチェックですが、他にもAND条件やANDとORを組み合わせたようなものもあります。

ちなみに、このチェックとサブチェックの関係や条件は、各チェックを定義しているYAMLファイルに書けば、ガイドライン本文に含む文章やGoogleスプレッドシートがそれっぽく生成されるようにしました。(Googleスプレッドシートへの出力のためのGoogle Apps Scriptについては、現時点では非公開です。) この仕組みを作るのにかなりがんばりました、主にAIが……。

FAQの追加

新たによくある質問と回答(FAQ)のセクションを作りました。 社内外から寄せられるよくある質問や、ありがちな誤解などについて、参考情報のセクションに書くほどのことでもなさそうなものを中心に掲載するセクションです。

「新たに」と書きましたが、実は去年の12月頃に作ってリリースもしていて、いくつか記事も追加しています。

本当はいくつか追加したいものがあるのですが、ここのところずっと前述のチェックリストの改造に時間を取られていました。 これからまた徐々に追加していきますが、もしこのセクションに回答があると良さそうな疑問があれば、ぜひGitHub Issuesからお知らせください。

英語版の公開

これまでも、Googleスプレッドシートで公開しているチェックリストに関しては英語版のシートも含めていましたが、ガイドライン本文についても、英語版を公開しました。

参考情報に未訳の部分もありますが、ガイドライン本文やチェック内容などについては翻訳済みです。 また、基本的に更新するページは必ず英語版も同時に更新する、もし未訳なら更新時に英訳する、という方針で運用しています。(今の所その方針で運用できています。)

アクセシビリティー関連の問い合わせも受け付ける専用窓口の開設

さて、続いては冒頭で触れた「アクセシビリティーに関連するお問い合わせをしていただきやすくなることを目指して始めた施策」についてです。

ポイントは、上の見出しの通り、アクセシビリティー関連のお問い合わせも受け付ける専用の窓口を設置した、ということなのですが、もう少し詳しく紹介します。

この窓口は、障害に起因したニーズがある方と、積極的に対話し、問題を解決していこうというfreeeとしての姿勢(いわゆる合理的配慮の提供)を明確にするために実施した社内体制整備の一環として設置したものです。 ですから、実際にはfreeeのプロダクトのアクセシビリティー以外のことに関するお問い合わせなども受け付ける窓口です。

障害がある人の中には、自身の障害に起因する困りごとについて問い合わせることを躊躇する人が少なくないのではないかと思います。 これは全盲の視覚障害がある僕自身の経験ですが、例えばスクリーン・リーダーに関連する問い合わせをしても理解してもらえないのではないかとか、もっとひどい、いわば差別的な対応をされるのではないかとか、そういうことを心配して問い合わせを躊躇することがあります。(もちろん実際にそういうことが過去にあったから心配するわけです。)

しかし、freeeとのコミュニケーションにおいては、そんな心配はしなくて良いということを、この施策を通して明確にしたいと考えています。

なお、この施策を勧めていくなかで、とうとうこんなページもできました:

このページに、お問い合わせ窓口の情報も掲載していますので、アクセシビリティー関連を含め、障害に起因するお困りごとがある方は、ぜひご利用ください。

この一連の施策については、以下のプレス・リリースもご覧ください:

引き続きご意見などお待ちしています

ガイドラインについては、引き続きご意見などお待ちしています。 GitHubリポジトリーのIssuesやPull Requestsでお知らせください。