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インボイス制度QAメンバーで勉強会をして品質を向上できた話

こんにちは。freee会計のQAをしているminachikaです。 freee Developers Advent Calendar2023 13日目です。

2023年10月からいよいよ始まったインボイス制度。freee会計の多くの機能がインボイス制度に対応しました。 今回は、インボイス制度のQAを実施するにあたり、チーム横断で勉強会をしたり、情報交換をすることでプロダクト全体の品質を向上することができたので、その取り組み内容について話します。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を用いて消費税の仕入税額控除を計算し、証拠資料として保存することで仕入税額控除が適用される仕組み(適格請求書等保存方式)のことです。詳細は、こちらの記事 をご覧ください。 インボイス制度の業務の流れを説明した図

インボイス制度のQA、何が難しかったのか

1. ドメイン(インボイス制度、消費税)の理解が難しい

インボイス制度の概要を理解するとともに消費税の知識も求められるため、学習範囲が広く、複雑な業務内容を理解するのに苦戦しました。制度の内容が適宜変更されることもあり、都度キャッチアップすることも大変でした。

2.同じプロジェクトを複数の開発チームで並行している中でテストするのが難しい

freee会計の開発体制は、機能、ドメインごとに開発チームがわかれています。インボイス制度対応は会計の多くの機能が対応するプロジェクトでしたが、インボイス制度専任の開発チームを作るのではなく、各開発チームがそれぞれインボイス制度対応の開発を担当するような体制で進めました。マスタ系の機能が先行で開発し、その後マスタを参照する側の機能の開発を進めていきました。各チームそれぞれで開発していると細かい仕様の差異が発生していたり、チーム間の開発方針の認識のズレが発生していることもありました。(マスタ機能が参照側機能の仕様を考慮して開発しきれていない、参照側機能がマスタ機能の仕様を把握しきれてなくて考慮漏れが発生しているなど)こういった問題が発生して品質低下につながらないよう他チームの開発情報をキャッチしていくのも大変でした。

インボイス制度のQAで取り組んだこと

では、どういう取り組みを行なって品質を向上できたのかを話します。

インボイス制度のキャッチアップを始める

まずは、制度内容について、個人でキャッチアップを始めました。体系的に知識をキャッチアップするために、インボイス制度についての概要がまとめられた入門書籍を購入して読み始めました。freeeには、書籍費用を支援する福利厚生(書籍費freee)があり、一人月3冊まで購入できるため、複雑な会計知識の習得にとても助かっています。

インボイス制度、消費税は難しすぎる、、

キャッチアップをする際は制度の内容を理解するだけではなく、ユーザーのユースケースはどうなっているのか、プロダクトではどのように利用する想定なのかを想像しながら書籍を読み進めています。インボイス制度は消費税に関わる制度であり、「そもそも消費税とは何か」から理解して、ユーザー業務を理解しようとしましたが、税理士ではない自分がキャッチアップするにはかなり難しく、一人でキャッチアップしていくことに心が折れかけていました。

同じ悩みを持つメンバーを発見する

freeeでは、slackでtimesチャンネルを作成して個人の見解をつぶやいたり、日報を作成して業務の振り返りを公開するなど、個人の発信が活発に行われています。先行してインボイス対応のQAを行っているメンバーの日報を読んだ際に自分と同じような悩みを抱えていることに気づきました。同じ目的をもつ同士、一緒にキャッチアップして効率的に学びたいなと思い声をかけてみたところ、快く快諾してもらいQAの勉強会が発足しました!

あえ共の大切さを学ぶ

freeeはあえ共という会社の行動指針があります。

あえ共に関してのイメージ図

今回の件はまさにメンバーがあえ共していたから始まった勉強会であり、メンバーに感謝するとともに、発信することの大切さを改めて実感いたしました。

勉強会でやったこと

インボイス対応のQAを実施していた他のメンバーも含め、複数人で集まって勉強会を開始しました。勉強会でやったこととその効果について以下にまとめます。

1. インボイス制度開発についての情報交換場所をつくる

当初、QAメンバーがそれぞれ個人的に情報をキャッチアップしている状況でした。「他のインボイス対応チームのメンバーに共有したほうがよいな」という内容があっても気軽に情報共有する場所がなかったため、slackにインボイス開発用のあえ共チャンネルを作りました。

<効果を感じたこと>

・個人で感じた制度の不明点はチャンネル内で質問し、即座に解消できた

・同時期に複数の開発チームで案件開発が進められていたが、各チームで検討している開発仕様などを適宜共有しあっていたため、チーム横断でプロダクトの統一性を図ることができた。(他チームの開発内容についてレビューし合うことができた)

・テストデータ(適格請求書レシートなど)も共有し、データ準備の時間を削減できた。

・開発期間中に、制度の内容についてアップデートがあった際もチャンネル内で情報交換し、各チームでどう対応したほうがよいのかなど活発に議論する場となっていた

2. 国税庁のQ&Aの輪読会を行う

インボイスのシナリオテストを作成する際に、インボイス制度のあらゆる業務パターンに対応する機能になっているか、開発対応漏れがないかをキャッチするため、国税庁のインボイス制度に関するQ&Aの輪読会を行うことにしました。

<勉強会の進め方>

・資料のページ毎に担当を決め、持ち回りで発表担当者を担当する

・発表担当者の人は、事前に資料を読み込んで疑問点は調べてくる。可能であれば、社内共有用のまとめ資料を作成する

・当日は、発表担当者が講師のようなかたちで内容を説明する

・疑問点やプロダクトのユースケースを想像しながら意見しあう。開発やテストが必要なところがないかを確認する

<効果を感じたこと>

・持ち回りで講師をやることで、一人でキャッチアップするよりスピード感をもってキャッチアップできた

・複雑なドメインを理解するのは難しいが、複数人でキャッチアップすることで心理的な負担軽減に繋がり前向きな気持ちで学習できた

・発表担当者を持ち回りにすることで、自分の担当部分の理解が深まり、そこを軸に他の部分の理解も深めることができた

・輪読会の中で、この要件をどのようにシステムに実装するのかを考え、適宜開発チームにFBできた(輪読会用に作成した資料を各チームの開発メンバーにも共有できた)

・輪読会参加者がチームを横断しているため、担当チーム以外の開発対象、状況などのシェアの場になっていた(プロダクト知識の向上に繋がった)

おわりに

インボイス制度のQAは色々と大変なことも多かったですが、勉強会を通して普段交流することのないQAメンバーとも交流することもでき、楽しみながらQA活動をすることができました。また、チーム横断で情報交換をすることで、かなり品質を向上できたと思います。今後もドメインの難易度が高かったり複雑な案件のQAを担当する場合は、開発チームのメンバーも巻き込んでキャッチアップ会できたらなと思います。

明日は、人事労務QAのkairi-sanが「プロダクト知識の理解を促進するテスト分析レビューの話」について記事を書いてくれます。楽しみですね! 最後まで読んでいただきありがとうございました。それでは、良い品質を〜