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トロントで行われた Strive. The 2019 UX Research Conference に参加してきました

UXチームの @toofu__ です。以前オンライン英会話の先生から「いまこんな感じのシューティングゲーム作ってるんだ、何かアドバイスくれよ」と言われ、良い感じの英語が出てこなくて「more zombies.」とだけ返事したことがあります。

普段は会計freeeのUI設計やデザインシステム構築をメインで行いつつ、ユーザーインタビューやデータ分析などのリサーチ業務も行ったりしています。リサーチに関する知見を集めるべく、6月6日〜7日の2日間、カナダのトロントで行われた Strive. The 2019 UX Research Conference に参加してきました。

uxresearchto.com

トロントの風景
トロント、英語とフランス語しかない品川みたいな感じでした。

UX Research Conference って?

トロントを拠点に活動しているUXリサーチャーのコミュニティ「UX Research Collective」が主催するオフラインカンファレンスで、年一回行われています。学生やUXリサーチ初心者向けのものから、UXリサーチチームのマネージャー向けのものまで、ワークショップを含めて32のセッションが行われ、約1,000人が参加したとのことです。

ちなみに日本人は自分以外に見かけませんでした(「日本からの参加者がいる」というので会場から拍手を受けたくらいです)。

会場内の写真。ステージ両脇には書き起こしされた発表内容が表示されている。
アクセシビリティにも配慮されており、リアルタイムの書き起こしテキストも表示されています。英語ヒアリング苦手マンが助かる

どんな感じだったか

セッションはいくつかのコースに分かれており、自分は1日目の "Leadership in Research" コースと2日目の"Main Stage" コースに参加しました。

1日目のLeadership in Researchコースは比較的小規模なセッションで、参加者も150人くらいでした。「UXリサーチのインパクトを組織の中でどのように高めていくのか」に焦点が置かれ、LyftやGroupon、Googleといったテック企業のリサーチ部門リーダーやシニアリサーチャー的な人たちが各自のテーマで45分ほどの講演をしてくれました。

講演の様子。窓をバックにスクリーンが用意されている
IDEOのDesign Research LeadであるOvetta Sampsonによる「データサイエンスとUXリサーチの融合に向けて」

休憩時間の参加者の様子
休憩時間に軽食をとりながら参加者同士でコミュニケーションを取る感じでした。

2日目のMain Stageコースはイベント参加者すべてが参加する大規模なカンファレンスで、AtlassianやSalesforce、Slackなどのテック企業のリサーチャーや、カナダ政府のデジタル専門組織であるCanadian Digital Serviceのリサーチャーといった様々な登壇者による9つの講演がありました(ボリューム多くて正直疲れた)。

講演の様子
SlackのDirector of Research & Analytics、Christina JanzerとStaff Researcher、Michael Massimiによる「Slackでのリサーチ体制構築」。ケーススタディとして、Slackの日本ローカライズプロジェクトにおけるリサーチが紹介されていました。

客席の中にグラフィックレコーディングのブースが用意されていて、大きな白いボードにグラフィックレコーディングが行なわれている
会場でグラフィックレコーディングも行われていました。

セッション自体のまとめはUXR Collectiveのブログでも公開されているので、ここでは私なりのまとめを簡単に書いてみます。

数十人規模のUXリサーチチームを有する企業がゴロゴロしている

カンファレンス以外に休憩時間に参加者同士で会話した内容も含まれるのですが、まずリサーチチームが組織としてだいぶ完成されている事例をよく耳にしました。

Airbnbは100人規模のリサーチチームを有し、そのうち50人がUXリサーチャー。Googleでは単体のプロダクト(Google Maps)のリサーチに従事するUXリサーチャーが60人以上いるなど、組織全体の規模の違いはあるものの、UXリサーチという役割が組織の中に浸透している様子を感じました。

また、そういった組織はUXリサーチ業務の効果を最大化するためのResearchOpsも発展してきており、すでにResearchOpsチームを立ち上げて数年経つ企業がいくつも存在しています。Atlassianでは30人規模のリサーチチームに対して、リクルーティングやリサーチ結果のアーカイブ、リサーチ技術の収集検証を専門的に行うResearchOpsチームを6人有しているそうです。

UXリサーチャーはプロダクトの未来を理解するエキスパートである

「UXリサーチャーは未来のニーズやインサイトを自分たちで見つけ出していくプロフェッショナルである」という話がSlackのDirector of Research & AnalyticsであるChristina Janzerからされました。

当然、リサーチ自体が専門スキルです。Grouponではコンバージョンと同列に扱われる信用(trust)を計測するため、心理学の博士を持つリサーチャーが1年かけて心理測定尺度を用いた計測体制を構築したという話が紹介されていました。参加者同士の会話では「心理学やHCI(Human Computer Interaction)の学位を持った優秀なリサーチャーを採用するのが難しく、リサーチチームの体制を整えられていない」というような話もされていました。

スキルだけでなく働き方においても、「リサーチ業務が社内下請けになってはいけない」という話がありました。プロフェッショナルである自負をリサーチャーが持ち、組織から裁量を与えられ、未来のニーズやインサイトを見つけ出すことが重要ということです。

古風な建物の写真。煉瓦作りで中央には大きな塔がある
会場の眼の前に古風な屋敷?があった

freeeもUXリサーチチームをつくりました

UXリサーチ組織の先進事例を見てきた感じになるのですが、freeeも7月からUXリサーチチームを立ち上げました。ざっくり言うと、プロダクト成長に向けたユーザー理解をミッションとした専門チームです。これまでUXデザイナーがデザイン業務と並行して行ってきましたが、専門チームをつくることで、よりユーザーにとって本質的に価値のあるプロダクトづくりを目指します。

というわけで、freeeではUXリサーチャー、およびリサーチに強みのあるUXデザイナーを募集しています。ご応募お待ちしています。

jobs.freee.co.jp