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Intel MacからM1 Mac導入決定するまでに行ったこと

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こんにちは、freeeのCIT(Corporate IT)に所属しているmymt & マネージャーのnbmtです。

今回は、freee従業員に貸与しているPCの一つである、AppleさんのIntelチップのMacBookからM1チップのMacBookに切り替えるまでに起こった出来事と、M1 Macを導入しきるまでにやったことについてお話ししたいと思います。

※納品の都合上まだ導入完了していませんが、納品予定の5月以降導入を進めて行く予定です。

背景

昨年突然IntelチップのMacBookが販売終了となり、M1チップのMacBookのみの販売となってしまいました。 更に、コロナ禍で物流や製造が滞り通常だと納期が通常約1ヶ月の所、約3ヶ月かかる状況となっていました。

freeeではM1 Macの対応が準備しきれていなかったため、如何にしてIntel MacからM1 Macの導入に漕ぎ着けたか、「必要なときにすぐに調達出来ない」といった問題に対してどの様に対処する方針にしたのかを書いていきます。

Intel Macの発注キャンセル

もともとM1 Macは検証用で数台購入しており動作検証もしていましたが、セキュリティソフトがM1 Macに対応しきれていないことや、エンジニアの開発環境でまだまともに使えないツールがあったりなどでM1 Macの導入はストップしていました。

Intel Macが販売終了となった後も、幸い?毎年リリースされる新しいMac OSへセキュリティソフトが対応するのに時間がかかるため、Intel Macが販売終了となる1ヶ月以上前から予めIntel Macを大量(100台くらい)に発注していました。 これで、在庫も潤沢となりM1の検証は急いでやらなくてもよいだろうと考えていました。1

しかし発注してから1ヶ月以上経っていたある日、発注済みのMac全台がキャンセルとなり、Intel Macはもう買えないと言われ急に焦り始めます。

このままだと来年早々にMacの在庫が尽きる & M1 Macを購入したとしてもエンジニアがMacを使えない状況となるため、急遽M1 Macの対応について考え始めました。

M1 Macを導入するうえで考慮すべきこと

  1. freeeでM1 Macを導入するうえでまず考慮しないといけないのがエンジニアの開発環境です。 freeeのエンジニアは開発環境をMacのローカルで構築している部署があるため、開発で使用するツールがM1 Macに対応している必要があります。

  2. セキュリティソフト(EDR)も未だM1 Macに対応していなかったためこちらもどうするか考える必要があります。

  3. M1 Macが販売開始されたのがコロナ禍で納期に約3ヶ月を要すため、3ヶ月先を見越した購入を行う必要があります。

※Salesなど非エンジニアの方でもMacを使っているユーザはいるのですが、ローカルにファイルを置かない & 置きっぱなしにしているとログイン時に毎回自動で削除される仕組みにしており、且つ業務で利用するツールはほぼSaaSでWebブラウザさえあればよい状況のため、非エンジニアのMacはセキュリティソフトがM1 Macに対応したら即配ろうと考えていました。

実際にやったこと

セキュリティソフト(EDR)のリプレイス。

今freeeで使用しているEDRがM1 Macが出て1年以上経っているのに対応していないこと、新Mac OSへの対応にも時間がかかっていることからMacへの対応に力をあまり入れていないと判断し、別の製品を探してもらえないかとEDRを管理しているCSIRTに相談をしました。

すると、早速動いてくれてMac OS対応の早いメーカーのEDRの選定を行ってもらい3社でPoCをすることになりました。

開発者たちへM1 Macを実際に使ってもらいスペックや使い勝手の検証してもらう。

まずは、エンジニアの中でM1 Macの検証に協力してくれる方を募集しました。 (協力してくれた方には、M1 Mac導入後優先的にM1 Macに機種変更することをお約束)

そして、エンジニア全ての部署の開発環境標準化に取り組んでいて、一番エンジニア全般の環境に詳しいであろうCTO室2にどれくらいのスペックが必要かなども含めM1 Mac検証の取りまとめを依頼しました。

エンジニアのM1 Mac検証に合わせて、PoCをしている3メーカーのEDRをそれぞれ分けてインストールし同時にEDR検証も同時に行いました。

協力してくれたエンジニアの方々はSlackのM1検証チャンネルで積極的に情報共有してくれていました。

中古Intel Macを扱っている業者へ連絡

購入できたとしてもスペックがバラバラであったり、まとまって大量購入できないなどあまり現実的ではなかったので止めました。

AppleさんにIntel Macを購入できないか交渉

M1 Mac対応もやらないといけないですが、キャンセルによってMacの在庫の確保もできていないので、販社さんを通してAppleさんにIntel Macをなんとか買えないか交渉しました。 すると割とまとまった台数が買えることになり、一先ず安心しました。言ってみるもんです。

ここで購入できていなかったら去年の12月ごろにfreeeのMacの在庫は無くなっており、Mac利用希望者にも一時的にWindowsを配布する計画を立ててました。

(このあともう一回購入できないか交渉しましたが、流石に無理でした)

購入予算の策定

予算の策定は、スペック選定中に並行して実施しました。 まず前提となる条件の確定のお願いをする必要がありました。

例えば、ライフサイクルが終了している、またはFY23で終了するPCは何台あるのか、対象者の職種は何か、FY23からはどれだけ増員の予定があるのか、など。

この点についてはCTO室とEng企画3チームと連携して、なる早で集計しました。

特に難しかったのは、FY23に協力会社さんからアサインして頂く人数の算出です。契約の範囲内でどういった人を何人アサインするのかはこちらで指定できないor予測できないことがあります。この辺りの取りまとめや対象者数の設計をCTO室とEng企画チームにお願いし、合意形成および集計をしてもらいました。 その予定人数情報とスペック選定結果をもらい、スペック別の単価とそれぞれの人数をかけ合わせて金額を算出し、不測の事態に備えた予備台数も含めて合計金額を算出しました。 同時に非エンジニア職の方々のライフサイクル終了PCとその予算も集計しました。

CTO,CDO4の承認

しかるべきMTGに参加して、策定した購入したいPC台数と予算について、なぜ今決裁の必要があるのかを説明しました。

エンジニアの方々が、新機種ではないことで作業効率の向上が妨げられている現状については、共通認識としてありました。それ以外の、世界情勢に関連して納期が数ヶ月におよぶこと、MacBookの新機種が大量に必要であること、その根拠となる数字の説明、納品がFY23の期初にギリギリ間に合うかどうかという状況を伝え、すぐ購入意思決定が必要である旨を説明しました。結果、その場で承認をもらいました。

具体的な台数はここでは述べませんが、エンジニア職と非エンジニア職のそれぞれで数百台ずつ必要という内容なので、合計金額は、家計で考えたら目玉が飛び出そうな金額です。

検証の結果導入が決まったM1 Macのスペック

freeeはどんなスペックのMac使ってるんだ?と気になる方がいるかも知れませんので書いておきます。

まだ、M1 Macの納品がされていないので、導入後必要であればUpdateしますが、ひとまず下記のスペックで貸与することに決めました。

  • エンジニア向け:14インチ MacBook Pro (M1 Pro/CPU8コア/GPU14コア/メモリ32GB/SSD 512GB/JIS or US)
  • モバイル開発チーム向け:16インチ MacBook Pro (M1 Max/CPU10コア/GPU24コア/メモリ64GB/SSD 1TB/JIS or US)
  • その他非エンジニア向け:13インチ MacBook Air (M1/CPU8コア/GPU7コア/メモリ16GB/SSD 512GB/JIS or US)

なお、今回検証で利用したスペックはエンジニア向けと同じ14インチのMacBook Proです。

最後に

CSIRT、CTO室、Eng企画チーム、開発のエンジニアの方々に協力してもらいなんとかM1 Mac移行までこぎつけることができました。 CTO室は発足したばかりでしたが、エンジニア全体とのハブ役になってくれたおかげでスムーズに進めることができとても助かりました。

そして今回のことを通じ何かを進めるうえで、いろんな部署、人を巻き込む力は大事だなと思いました。

CSIRT、CTO室、Eng企画チーム、検証にご協力いただいたエンジニアの皆様本当にありがとうございました!


  1. 新OSリリース後に購入するMacは新OSがインストールされた状態で納品され、旧OSへのダウングレードができない

  2. エンジニアの開発環境の標準化に取り組んでいるチーム

  3. エンジニア組織の開発生産性UPのための制度設計や投資計画のとりまとめを行うチーム

  4. CDO(Chief Development Officer)