データ部の okoshi です。
フリーのデータ組織には「アナリティクスエンジニア(Analytics Engineer)」というロールがあります。データ活用が進むにつれ、このロールの必要性は年々高まっています。この記事では、役割、価値、業務内容、必要スキルをコンパクトに紹介し、なぜこの職種がビジネスインパクトに直結するのかを解説します。
1. 概要
アナリティクスエンジニア(Analytics Engineer)は、 「データエンジニア」と「データアナリスト」の中間に立ち、ビジネスで安全・高速に使える“整ったデータ”を継続的に届ける役割です。
- データエンジニアが整備した基盤・生データを受け取り
- ビジネスサイドやアナリストがすぐ使える形にモデリング・変換し
- 品質と再利用性を担保した「信頼できるデータ資産」として提供する
ことで、フリー全体のデータドリブンな意思決定・プロダクト改善を支えます。
この役割は、dbt Labs社が提唱したモダンデータスタックにおける新しい職種であり、「データの加工(Transform)と品質管理」に特化したエンジニアと捉えるとイメージしやすいです。
2. 立ち位置:他ロールとの違い
| 職種 | 主な責任範囲 | 焦点 |
|---|---|---|
| データエンジニア | データの抽出・格納(Extract/Load)、インフラ構築 | データの可用性・パイプラインの安定性 |
| アナリティクスエンジニア | データの加工(Transform)、モデリング、品質保証 | データの信頼性と再利用性 |
| データアナリスト/BI | 可視化、分析、インサイト抽出 | 事業の意思決定・施策立案 |
フリーのアナリティクスエンジニアは特に次の部分を担当します。
- データ基盤組織が整備したデータレイク / DWH 上のデータを
- フリーのビジネスロジック・KPI に沿った形にモデリングし
- 「誰が使っても同じ数字になる」「壊れにくい」「変更に強い」状態をつくる
つまり、「データの土台をつくるエンジニア」かつ「ビジネスに近い視点を持つエンジニア」です。
3. フリーのアナリティクスエンジニアの主なお仕事
3-1. データモデリングと変換の設計・実装
ゴール:ビジネスで直接使える“クリーンなデータモデル”を DWH 上に用意すること。
具体的には:
- プロダクトや各種システムから来る生データを理解し、
- イベントログ、会計仕訳、顧客/事業所情報、請求情報 など
- フリーのビジネス定義に沿った形でテーブル(マート)を設計
- 例:
- 「顧客」「アクティブユーザー」「売上」の定義を整理し、それに沿ったテーブルを作る
- 会計・人事労務など複数プロダクトをまたいだ横断テーブルを作る
- 例:
- dbt/PySpark等を用いて、SQL ベースで変換ロジックを実装し、DAG として管理
3-2. データの品質保証と信頼性担保
ゴール:フリー社内で「このテーブルを見れば大丈夫」と言える“信頼できるデータ”をつくること。
- dbt テストなどを用いた自動テスト
- NOT NULL / UNIQUE / 参照整合性などの制約チェック
- 期待値レンジの逸脱検知(異常値検出の簡易版)
- パイプラインの監視・アラート設計
- 定期バッチ / ストリーミングの失敗検知と対応
- スキーマ変更や新機能リリース時の影響調査・マイグレーション
- 「上流でカラムが変わったときに、どのモデル/ダッシュボードが影響を受けるか」を把握し調整
結果として、「数字が信用できる」「いつ壊れたかすぐに分かる」状態を維持します。
3-3. データの民主化支援
ゴール:SQL が書けない人でも、正しいデータにたどり着きやすい環境をつくること。
- テーブル/カラムの説明を含めたドキュメント整備・データカタログの更新
- データリネージ(どのテーブルがどこから作られているか)の可視化
- 代表的な指標・ビューを「推奨データセット」として整理し、迷わないようにする
- BI ツールでの標準的なエクスプローラ/ビューを準備
全社への貢献を見据え、単なる「データ整備」で終わらず、事業インパクトまでつなげる動き方が求められます。
3-4. データサービング(Reverse ETL)
アナリティクスエンジニアがいるチームの一つにデータサービングまでを対応するチームがあります。
ゴール:DWH 上で整備したデータを、プロダクトや業務システムに届けること。
そのチームのアナリティクスエンジニアは、dbt によるモデリングだけでなく、整備したデータを実際にプロダクトへ届けるところまでを業務範囲としています。
- プロダクト側でビッグデータを利用可能にするためのReverse ETL 基盤の設計・構築・運用
- DWH のデータをプロダクト側のデータストアや API に同期する仕組み
- データの「整備」から「活用」までを一気通貫で担うことで、プロダクト価値の向上に直接貢献
一般的なアナリティクスエンジニアの業務は DWH 内のモデリングで完結することが多いですが、フリーではデータをプロダクトまで届ける データサービング も重要な役割の一つです。
4. メンバーの声
実際にフリーでアナリティクスエンジニアとして働くメンバーの声を紹介します。
入社の決め手
- 大規模なデータを扱える環境であること
- これまで所属していた会社ではデータを整備しても十分に活用されない場面があり、データが実際に活用される現場で働きたいと考えていた
入社後に感じたこと
- 想像以上にデータ活用の取り組みが進んでおり、整備したデータがしっかり使われている実感がある
- アナリストと協業しながら開発できる体制が整っており、利活用を前提としたデータ整備ができるため充実感がある
- プロダクト側でまだ活用されていないデータを使えるようにする 0→1 フェーズにやりがいを感じる
- 一方で、モデル設計に必要なドメイン知識は幅広く深い。複数のプロダクトにまたがるドメインを理解する必要があり、そこは大変な部分でもある
5. 一般的なアナリティクスエンジニアとの違い
一般的なアナリティクスエンジニアは、dbt を用いたデータモデリングや品質管理を中心に DWH 内で業務が完結するケースが多いです。フリーのアナリティクスエンジニアはそれらに加え、以下の領域にも携わる点が特徴的です。
- データサービング(Reverse ETL): DWH のデータをプロダクトまで届ける Reverse ETL 基盤の設計・運用。モデリングした結果をプロダクト側のデータストアや API に同期し、エンドユーザーに価値を届けます。
- マイクロサービス開発: DWH のデータをプロダクトへ提供するためのマイクロサービスの開発・運用。データ基盤とプロダクトをつなぐブリッジの役割を担います。
- 今後のチャレンジ領域: MLOps を含むレコメンドデータの生成や特徴量ストアの構築など、データ活用の幅をさらに広げる取り組みも視野に入っています。
このように、フリーのアナリティクスエンジニアは「データを整備する」だけでなく「プロダクトに届ける」ところまでを一貫して担う点で、他社にはない経験を積める環境です。
6. アナリティクスエンジニアがいることで何が変わるか
Before:各自がバラバラに巨大 SQL を書く世界
- 各チームのアナリストやメンバーが、それぞれ独自に SQL を書いてレポート作成
- 同じ「売上」なのにダッシュボードごとに数字が違う
- プロダクト側でカラム名や仕様が少し変わると、多数のダッシュボードが一斉に壊れ、復旧に数日かかる
After:共通の「信頼できるデータモデル」がある世界
- アナリティクスエンジニアが、共通のデータマートを dbt 等で管理
- アナリストや事業側メンバーは、そのクリーンなデータを組み合わせて分析するだけでよい
- 上流の変更があっても、アナリティクスエンジニアが 1 箇所のモデルを修正すれば、全てのダッシュボードに反映される
- 結果として、
- 分析スピードが上がる
- 数字への信頼が増す
- データ活用の範囲が広がる
アナリティクスエンジニアはデータドリブンな意思決定の基盤となる、“データの土台”をつくるキーロールと言えます。
7. フリーのアナリティクスエンジニアに求められるスキル
7-1. テクニカルスキル
- SQL
- 複雑な結合・ウィンドウ関数・集計を使った変換ロジックを設計・実装できる
- dbt等の変換ツール
- モデル設計、テスト、ドキュメント化を一通り扱える
- DWH / クラウド基盤の理解
- BigQueryなど列指向 DWH の特性
- パーティショニング・クラスタリング・コスト最適化
- ソフトウェアエンジニアリングの基礎
- Git によるバージョン管理・Pull Request ベースの開発
- CI/CD やコードレビューの文化への理解
- マイクロサービスを開発・運用するスキル (オプショナル)
- DWHのデータをブリッジ提供するマイクロサービスの開発
- MLOps / 機械学習パイプラインの知識(オプショナル)
- レコメンドデータや特徴量ストアの生成・管理
7-2. データモデリング・品質の知識
- 正規化・スター型スキーマ・スナップショットなどの基本的なモデリングパターン
- テスト戦略・監視設計など、データ品質を守るためのプラクティス
7-3. ビジネス・コミュニケーションスキル
- プロダクト仕様・業務フローの理解
- 「売上」「顧客」「アクティブ」「解約」といった指標を、プロダクトと会計・契約の観点から正しく定義する力
- 利害関係者との合意形成、データ定義のドキュメント化・説明
8. まとめ
フリーにおけるアナリティクスエンジニアは、
- データエンジニアが整備した基盤と、
- ビジネスサイドの意思決定との間をつなぐ“橋渡し役”であり、
- 信頼できるデータモデルとデータ品質を通じて、
- フリー全社のデータドリブンな意思決定・プロダクト価値向上を支える専門家 です。
実はまだまだ生まれたての職種なので人によって解釈が違う部分もあると思います。本記事を通じて、皆様に具体的なイメージを持っていただければ幸いです。
9. 採用情報
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