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freeeアクセシビリティー・ガイドラインVer. 202011.0を公開しました

こんにちは、freeeのアクセシビリティーおじさんというよりはガイドラインおじさんの中根です。
LiDARスキャンに惹かれてついうっかりiPhone 12Proを発注したのは良いのですが、とりあえずケースだけ届いて何とも言えない気持ちになっています。ちなみに次に届くのはMagSafeの充電器らしいです……。

さて、今回もfreeeアクセシビリティー・ガイドラインの更新情報をお届けします。 なお、本稿で触れていない変更もありますので、リリース・ノートも合わせてご覧ください。

WCAG 2.1との対応を確認

まず、今回は新たに以下の情報を追加しました:

前者は、WCAG 2.1の各達成基準について、「この達成基準を満たすにはfreeeのガイドラインのどれを満たせば良いんだ?」と思った時に参照できる一覧表です。

後者は、このガイドラインの優先度とWCAG 2.1の各達成基準の適合レベルの関係などについて示しています。
というのもよく分からない説明な気がするので、この情報の冒頭部分を引用します:

各ガイドラインには、[MUST]または[SHOULD]のいずれかの優先度を割り振っています。

この優先度の決定に当たって、まずWCAG 2.1の各達成基準を精査しました。 各達成基準に割り当てられている適合レベルについて、freeeのプロダクトの性質などを考慮して見直し、一部の達成基準についてはWCAG 2.1が示すものとは異なる適合レベルを前提とすることにしました。

ここでは、見直しの結果WCAG 2.1が示しているものとは異なる適合レベルを前提とすることになった達成基準の一覧と、適合レベルを見直した理由を示します。

どうでもいいことですが、このガイドラインのソースの記述に使っているreStructuredTextでこれらの表を作るのは、もうそれは大変な作業でした。特に一度作ったものを更新するのは、面倒この上ない感じです。
もう二度と更新したくありません……。

ガイドラインの見直し

上記の情報をまとめる過程で、いくつかのガイドラインについて見直しを実施しました。

場合によっては、過去のチェック結果との整合性がなくなることも考えられますので、ガイドラインを活用してくださっている場合にはぜひご確認ください。

画像化されたテキストに関するガイドライン

まず、画像化されたテキストに関する以下のガイドラインを見直しました:

[MUST]画像化されたテキストを用いないと実現できない表現が不可欠な場合(例:ロゴ)を除いて、文字情報は画像化せず、テキスト・データで提供する。画像化されたテキストを用いる場合は、以下に示すコントラスト比に関する要件と、代替情報に関する要件を満たす。

その結果、このガイドラインは以下のように変更しました:

[SHOULD]画像化されたテキストを用いないと実現できない表現が不可欠な場合(例:ロゴ)を除いて、文字情報は画像化せず、テキスト・データで提供する。

これまでは、以下のいずれかを満たすと[MUST]の条件を満たしているということになりました:

  • 画像化されたテキストが使われていない
  • 使われている画像化されたテキストが、コントラスト比や代替情報に関するガイドラインを満たしている

できるだけ画像化されたテキストは使うべきではないという考えに基づいてこのようになっていました。

しかし、実際にコンテンツのアクセシビリティーに与える影響の大きさを考えると、この2つの条件を同等なものとするのは必ずしも適切ではないだろうと考えました。 WCAGでもこの2つの条件は異なる適合レベル(前者がAA、後者がA)となっているわけで、同等ではないという判断は妥当そうです。 ということで、ここは素直にWCAGに合わせることにしました。

この結果、これまで[SHOULD]の項目をすべて満たしているとされていたコンテンツであっても、もし画像化されたテキストが使われていれば[SHOULD]を満たさない状態であるという判断になってしまいますのでご注意ください。

動画の音声解説に関するガイドライン

これまで動画の音声解説に関するガイドラインとして、以下がありました:

[MUST]テキストの代替情報ではない音声・映像コンテンツにおいて、映像がある収録済みコンテンツの場合、映像の内容が分かるような同期した音声情報、またはテキストによる説明を提供する。

つまり、その動画以外に同等の情報を提供しているテキスト・コンテンツがない場合は、映像を見られない人にも理解できるように音声解説を付けることが求められています。

WCAGでは、これに加えて、同等のテキスト・コンテンツがある場合でも音声解説を付けることを適合レベルAAで求めていますが、freeeアクセシビリティー・ガイドラインにはこれに相当するガイドラインがありませんでした。

そこで今回、以下のガイドラインを新たに追加しました:

[SHOULD]すべての音声・映像コンテンツにおいて、映像がある収録済みコンテンツの場合、映像の内容が分かるような同期した音声情報を提供する。

動画コンテンツがある場合には、チェック結果に影響する可能性があります。

なお、参考情報の中でも触れていますが、元々動画に含まれている音声から、映像の内容を充分に推測できるような場合は、音声解説を追加する必要はありません。

ショートカット・キーに関するガイドラインの優先度の変更

ショートカット・キーに関するガイドラインについて、優先度をWCAG 2.1に合わせて[SHOULD]から[MUST]に変更しました:

ショートカット・キーを提供しているコンテンツにおいては、チェック結果に影響する場合があります。

引き続きご意見などお待ちしています

今回の変更についても、それ以外の部分についても、ご意見やお気付きの点など、GitHubリポジトリーのIssuesやPull Requestsでお知らせください。